28 / 43
エピソード
子供たちの秘密基地 3
しおりを挟む
「行くよ!」
タクトが声をかけると、青いフォレストウルフ達が一斉に岩に向けて走り出した。
「うわあああああああ~!!!」
「きゃあああああああ~!!!」
「・・・あっ・・?」
「あ・・れ・・・?」
岩にぶつかったと思った次の瞬間には、目の前に大きな洞窟があった。
「驚くのは、まだ早いよ!」
タクトが楽しそうに、声を弾ませる。
青いフォレストウルフ達は、洞窟の中を奥へ奥へと走り続ける。
いくつもの分岐点を走り抜け、階段を駆け下りた。
その先には、ありえない光景が広がっていた。
「うひょおおおっ!!!」
「ふわぁ・・綺麗・・・」
洞窟を下ったはずなのに、そこには美しい花畑があり、その向こうには緑豊かな森が広がっていた。
天井には、太陽まであった。
「ようこそ!僕と魔物達の楽園へ!!」
タクトが得意満面な笑顔で言った。
「すっげぇ~!!」
「わぁ~、ここが楽園・・素敵!」
感動して、スライムとゴブリンと一緒になって、走り回るサムとミラ。
それを見て、思い切って打ち明けて、連れてきてよかったとタクトは思った。
今までも彼らがいたから寂しくはなかったけれど、同じ思いを抱える仲間に喜んでもらえるのは、嬉しかった。
サムとミラが楽園で大はしゃぎしているのと同時刻。
3人が飛び込んで行った岩の遥か上空に、3人の行方をずっと追っていたものたちがいた。
「あー、あれ、なんだか分かる?」
『幻術。』
「いや、そうなんだけど。それは分かるんだけど。気配がねぇ・・・これ以上近付くと、見つかりそうだし、どうしようかしら。」
『ふふっ、強そうなのがいっぱい。でも私とエレだったら、楽勝。』
「いやいやいや、そうなんだけど!その好戦的な性格直しなさいよ!」
『エレのやらかしに比べたらマシ。』
「なんでそういうところ、ベアトリスに似るのよ。あのね、多分あの中には、タクトがテイムしたオーガがいると思うのよ。だから攻撃は無し!」
『ふぅん?じゃあ、エレもタクトに連れて行ってもらう?』
「それは・・だめよ。せっかくの子供たちの楽園なんだもの。子供たちには知られないで中に入りたいわ。」
『エレも子供じゃない。じゃあ、タクトにエレの魔力を纏わせる?凶悪な奴なら、自分の主に何をするって怒る。話が分かる知能がある奴なら、纏わせた魔力の主のエレだけが訪ねても、話を聞く耳をもってくれる、かも?』
数日前、エレノアは空中でドラゴンたちと遊んでいた。
重力魔法と風魔法の応用で空を飛べるようになったエレノアが、実践で技術を磨くんだ!と言って、空を飛べる仔ドラゴンたちと追いかけっこをしていた際、前方不注意で木に激突して落っこちた。
落ちた先の木の枝の上に座って、怪我をした体に治癒魔法をかけ、破れてしまった服をどうしようかと悩んでいたところに、学校が終わった3人が来て、今回の楽園訪問の内緒話を始めてしまったのだ。
「さすがテディ。そのアイデアいただき!」
(これはもしかすると、もしかするかもしれない♪)
エレノアは上機嫌だった。
タクトが声をかけると、青いフォレストウルフ達が一斉に岩に向けて走り出した。
「うわあああああああ~!!!」
「きゃあああああああ~!!!」
「・・・あっ・・?」
「あ・・れ・・・?」
岩にぶつかったと思った次の瞬間には、目の前に大きな洞窟があった。
「驚くのは、まだ早いよ!」
タクトが楽しそうに、声を弾ませる。
青いフォレストウルフ達は、洞窟の中を奥へ奥へと走り続ける。
いくつもの分岐点を走り抜け、階段を駆け下りた。
その先には、ありえない光景が広がっていた。
「うひょおおおっ!!!」
「ふわぁ・・綺麗・・・」
洞窟を下ったはずなのに、そこには美しい花畑があり、その向こうには緑豊かな森が広がっていた。
天井には、太陽まであった。
「ようこそ!僕と魔物達の楽園へ!!」
タクトが得意満面な笑顔で言った。
「すっげぇ~!!」
「わぁ~、ここが楽園・・素敵!」
感動して、スライムとゴブリンと一緒になって、走り回るサムとミラ。
それを見て、思い切って打ち明けて、連れてきてよかったとタクトは思った。
今までも彼らがいたから寂しくはなかったけれど、同じ思いを抱える仲間に喜んでもらえるのは、嬉しかった。
サムとミラが楽園で大はしゃぎしているのと同時刻。
3人が飛び込んで行った岩の遥か上空に、3人の行方をずっと追っていたものたちがいた。
「あー、あれ、なんだか分かる?」
『幻術。』
「いや、そうなんだけど。それは分かるんだけど。気配がねぇ・・・これ以上近付くと、見つかりそうだし、どうしようかしら。」
『ふふっ、強そうなのがいっぱい。でも私とエレだったら、楽勝。』
「いやいやいや、そうなんだけど!その好戦的な性格直しなさいよ!」
『エレのやらかしに比べたらマシ。』
「なんでそういうところ、ベアトリスに似るのよ。あのね、多分あの中には、タクトがテイムしたオーガがいると思うのよ。だから攻撃は無し!」
『ふぅん?じゃあ、エレもタクトに連れて行ってもらう?』
「それは・・だめよ。せっかくの子供たちの楽園なんだもの。子供たちには知られないで中に入りたいわ。」
『エレも子供じゃない。じゃあ、タクトにエレの魔力を纏わせる?凶悪な奴なら、自分の主に何をするって怒る。話が分かる知能がある奴なら、纏わせた魔力の主のエレだけが訪ねても、話を聞く耳をもってくれる、かも?』
数日前、エレノアは空中でドラゴンたちと遊んでいた。
重力魔法と風魔法の応用で空を飛べるようになったエレノアが、実践で技術を磨くんだ!と言って、空を飛べる仔ドラゴンたちと追いかけっこをしていた際、前方不注意で木に激突して落っこちた。
落ちた先の木の枝の上に座って、怪我をした体に治癒魔法をかけ、破れてしまった服をどうしようかと悩んでいたところに、学校が終わった3人が来て、今回の楽園訪問の内緒話を始めてしまったのだ。
「さすがテディ。そのアイデアいただき!」
(これはもしかすると、もしかするかもしれない♪)
エレノアは上機嫌だった。
32
お気に入りに追加
2,004
あなたにおすすめの小説

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

契約破棄された聖女は帰りますけど
基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」
「…かしこまりました」
王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。
では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。
「…何故理由を聞かない」
※短編(勢い)
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる