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エピソード

プロポーズ

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初のショッピングモール建設のため、市場調査で頻繁に訪れていたその国で、何となく気になる男の人がいた。
アレクスが意気投合した協力者の、と名乗る男。
恋愛的な意味合いではなく、正体気配がとんでもない気がして、気になっていた。

少し前に、この国ドラゴンに会う機会があった。

私が1人でテディに乗って獣人の国に向かっていた時、可愛いテディに以前から懸想していたドラゴンが、仲間を引き連れてテディを攫おうとして襲ってきた。
いつものように私の魔法で蹴散らそうとしていたところに、青いドラゴンが現れた。
我が領のドラゴンたちと比べても、かなりの美丈夫ドラゴンだった。
青いドラゴンはテディを囲んでいたドラゴンたちを、咆哮一つで蹴散らしてしまった。
そして私たちの無事を確認すると、獣人の国に消えて行った。

この国に”ドラゴンは生息していない”と言われているのにだ。

この国はドラゴンが人間と恋に落ちて、「異種族婚の何が悪い!すべての種族が一緒に暮らせて、みんなが幸せになれる国があってもいいじゃないか!!」って言って、作っちゃった国らしい。
王族のご先祖様は、ドラゴンということだ。

だから、予感はしていた。

「エレノア。俺の番になることを、真剣に考えて欲しい。」

(プロポーズにって、自分はドラゴンですって暴露してる自覚ないの?)

「私は家族が一番大切なのです。アーク様のお気持ちに答えることはできません。」

「だから、俺はエレノアの家族になりたいんだ。」

「無理です。」

「何故だ!エレノアは俺のことが好きだろう!?」

「友人としては好きですよ。ですがアーク様、私にはテディという妹同然の家族がいます。」

「知っているさ。あのドラゴンだろう?」

「はい。実は先日、テディが初めての恋をしました。初恋です。ドラゴンは初恋を実らせるためには、手段を選ばないところがありますよね?」

「ああ、だから俺は「テディの初恋のお相手は、貴方なのですよ、アーク様。」・・え!?」

「以前から貴方のことを気にはしていましたが、あの日、姿を見たのが、決定打になりました。」

「俺のドラ・・何を言ってるんだ?俺は人族だぞ!それより「決定打」って・・なんだ!?」

(アーク様、目が泳ぎまくっていますよ。バレる筈がないとでも思っていたのでしょうか。)

、自分を攫おうとしているドラゴンたちから助けてくれたことで、テディが貴方に恋をした、ということです。私には、テディが思いを寄せる方を奪い取って、テディを泣かせるようなことはできません。では、失礼。」

「ちょ、待てよ、エレノア!エレノア!!俺の初恋はどうしてくれるんだ~っ!!」

(いい加減気付きなさいよ、鈍感ドラゴン。貴方の初恋の相手はエレノアじゃないってことに。)



獣人の国の王太子との友情は、今も続いている。
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