婚約破棄され、聖女を騙った罪で国外追放されました。家族も同罪だから家も取り潰すと言われたので、領民と一緒に国から出ていきます。

SHEILA

文字の大きさ
上 下
5 / 43
本編

婚約破棄 ~ side マリア ~

しおりを挟む
「エレノア・ベイリンガル!貴様との婚約を破棄する!!」

ゲイル様が宣言した。
白馬の王子様ほどではないけれど、金髪碧眼のまぁまぁのイケメン。
なにより、今の国王が死ねば、国王になる人。
贅沢し放題!
超玉の輿!!

「俺を立てることもできないお前のような不出来な女は、国母に相応しくない!」

そう言って、ゲイル様が私の腰を抱いて引き寄せたわ。
美男美女、お似合いでしょう?
婚約破棄を言い渡されたエレノアとかいう女が、悲しそうにこちらを見ているわ。
ふふんっ、いい気味。
ゲイル様は聖女である私を選んだのよ!
侯爵がどんだけ偉いかしらないけど、あんたは私に負けたのよ!

「俺は真実の愛を見つけた!皆の者、聞いて驚け!このマリアは、異世界から転移してきた聖女なのだ!!!」

会場がざわつき始める。

そうよ、私は異世界から転移してきた聖女。
平伏しなさい!
って、なんで誰も私を敬わないのよ。
あぁ、まずはこの無様な女の行く末を楽しみにしているのね。
しょうがないわ!
こんな一生に一度見られるかどうかのイベント、私もと~っても楽しみですもの!
この婚約破棄ざまぁイベントが終わったら、みんな私に平伏すのよ!!

ゲイル様も興奮しすぎよ!
ふふふっ、ゲームでも楽しかった乙女ゲームの断罪イベントが実際に経験できるなんて、楽しいわっ!!

「あの!伝説の!『異世界から転移してきた聖女』だ!異世界の聖女が現れた国は、あらゆる外敵から守られ、栄えて金持ちになると言う、あの伝説の異世界の聖女なのだ!!マリアがいればこの国は栄え、贅沢の限りを尽くすことができるのだ!!」

ええ、ええ、贅沢の限りがつくせるのよ!!

私は嬉しくて、ゲイル様の腕に自分の腕を絡ませて、肩に頭を摺り寄せる。
仲の良さをエレノアに見せつけて、その顔が歪むのを楽しむのだ。

「マリアこそ、国王たる俺に相応しい!!!」

国王の妻…つまり、私は女王!!

「エレノア・ベイリンガル!貴様は国外追放だ!」

ゲイル様が、エレノアに向けてびしっと指を指しながら言った。
これが、あの、婚約破棄からの国外追放イベント!

お・も・し・ろ・す・ぎ・る!!

少し距離はあるけれど、エレノアが泣いた!
ぷぷっ、ざまぁ!!

「お父様、お母様、お兄様!」
「「「「「エレノア!」」」」」

なんか家族で抱き合ってるよ、みっともない。
でも、お兄様と呼ばれた人たちはイケメンね。
ハーレムに入れてあげてもいいわ!

暫く抱き合っていた6人が離れた。
あ~あ、おばさん、ショックで座り込んじゃったよ。
これ、侯爵家から除籍されて平民にってパターンにはならないかも?ざぁ~んねぇ~ん!

階段上からゲイル様と見るエレノアは、無様で哀れだわ!
気持ちいい!!

「元婚約者、詐欺師エレノア!貴様は早くこの国から出ていけ!!そして聖女であると長年王族である俺を騙していた罪で、ベイリンガル侯爵家は、取り潰しだ!!!」

ゲイル様が私の腰を強く抱きながら宣言したわ!
除籍じゃなくて、家ごと取り潰しね!素敵!!

「畏まりました!失礼いたします!!」

ダダダダダッ
エレノアが凄い足音をさせながら、会場から走り去ったわ!
そんなに悔しかったのね!!

「謹んで承りました!長年この国に仕えさせていただいたこと、身に余る光栄でございました!!失礼いたします!!!」

ダダダダダッ!!!!
バビュンッ!!!!

ああっ!
あのイケメン兄弟は残っても良かったのに!
後でゲイル様にお願いして、私の護衛に加えてもらいましょう!

会場が騒がしくなってきたわ。
みんながこのイベントを楽しんでいるのかと思ったら…

「エレノア様が聖女?」
「どういうことだ。」
「誰か、事実を知っている者はいないか?」
「16歳のエレノア様が聖女なら、16年前からのこの国の繁栄も納得できる。」
「確かに。」
「待てよ、聖女のエレノア様がこの国から追放されたということは、この国はどうなるんだ?」

会場からそんな声が聞こえてきたわ。

失礼な!
私が伝説の『異世界から転移してきた聖女』なんだから、国は栄えるに決まっているでしょっ!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~

サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――

大好きな第一王子様、私の正体を知りたいですか? 本当に知りたいんですか?

サイコちゃん
恋愛
第一王子クライドは聖女アレクサンドラに婚約破棄を言い渡す。すると彼女はお腹にあなたの子がいると訴えた。しかしクライドは彼女と寝た覚えはない。狂言だと断じて、妹のカサンドラとの婚約を告げた。ショックを受けたアレクサンドラは消えてしまい、そのまま行方知れずとなる。その頃、クライドは我が儘なカサンドラを重たく感じていた。やがて新しい聖女レイラと恋に落ちた彼はカサンドラと別れることにする。その時、カサンドラが言った。「私……あなたに隠していたことがあるの……! 実は私の正体は……――」

【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」

まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。 【本日付けで神を辞めることにした】 フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。 国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。 人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。 「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」 アルファポリスに先行投稿しています。 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!

実は私が国を守っていたと知ってましたか? 知らない? それなら終わりです

サイコちゃん
恋愛
ノアは平民のため、地位の高い聖女候補達にいじめられていた。しかしノアは自分自身が聖女であることをすでに知っており、この国の運命は彼女の手に握られていた。ある時、ノアは聖女候補達が王子と関係を持っている場面を見てしまい、悲惨な暴行を受けそうになる。しかもその場にいた王子は見て見ぬ振りをした。その瞬間、ノアは国を捨てる決断をする――

護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜

ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。 護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。 がんばれ。 …テンプレ聖女モノです。

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

女神に頼まれましたけど

実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。 その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。 「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」 ドンガラガッシャーン! 「ひぃぃっ!?」 情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。 ※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった…… ※ざまぁ要素は後日談にする予定……

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

処理中です...