聖女を隷属させてこき使う国は捨てちゃいます!

SHEILA

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ヒールとバリア

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「グルルルッ・・・」

ララはハッとして檻の中の黒い狼の魔獣を見る。
その目は、邪悪さに満ちていた。

(どうしよう、怖い。さっきまでより、ずっとずっと、怖い。)

「えっ・・と、傷が痛くて機嫌が悪くなったのかな。まずは、ヒール!」

痛そうに見える傷を治そうと、治癒魔法を発動するも、パチンッ!と弾かれた。

「え?あれ?えっと、ヒール!!」

バチンッ!!

強くヒールをかければかける程、強く弾かれる感じがした。
ララはじっと目を凝らす。

(この子の体、なんか薄い膜みたいなものに覆われてる?これって、魔法耐性…ううん、バリア?)

ララはいくつかの光魔法を発動してみたが、すべて弾かれた。
先程までの威嚇や唸りなど可愛いものだったと思えるほどに、ララは恐怖を感じた。

魔法が効かないとなると、他にできるのはお腹を満たしてあげることだけだ。

(魔法が使えれば、怪我も治せるかもしれないし、毛並みも整えてあげられるかもしれないのに・・・)

ララは厨房に、バーバラの魔獣の餌を貰いに行くことにした。



厨房に辿り着くと、そこには魔獣の餌について指示をしているハロルドがいた。
ハロルドはララを見ると、忌々しそうに睨みつけながら怒鳴った。

「何をしに来た!さっさとバーバラの魔獣を魔獣小屋の檻に移さないか!!」

ハロルドは、早ければ今日、魔獣を檻から檻へ移す際に、魔獣にララが殺されると考えていたため、ララが横着をして、運ばれてきた檻に入ったままの魔獣に餌をやろうとしていると思い込んだ。

「あの、魔獣小屋の檻に魔獣は移し終わりました。お腹が空いているようでしたので、魔獣のごはんをいただきにきました。」

「はあ!?嘘をつくな!!」

「本当です。あの、確かめていただければ…」

「言われなくても確かめる!嘘だったら、覚えていろよ!!」

怒鳴りながらララを突き飛ばしたハロルドは、魔獣小屋へ走って巨体を揺らしながら歩いて行った。

「馬鹿な・・・」

魔獣小屋に辿り着いたハロルドは、檻の中の魔獣に威嚇されていた。

「どうやったんだ?・・まあいい。明日にでも、殺してやる。」

このハロルドの狂気が、短期的には幸運を、長期的には最悪の不幸を招くことになる。
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