2 / 18
男爵家での日々
しおりを挟む
ララは、銀色の髪に空色の目で生まれてきた。
父親のハロルドは金色の髪で深い青い目、母親のブルネッタは茶色い髪に緑の目だった。
一年後に生まれた妹のバーバラは、父親譲りの金色の髪に母親譲りの緑の目で生まれた。
明らかに自分達の子供だと分かるバーバラが生まれたのを機に、ハロルドはバーバラの婿探しを理由に領地経営を弟たちに押し付け、王都暮らしを始めた。
一切働かず、優秀な弟たちから巻き上げた生活費で、好き勝手に暮らしていた。
色素の薄いララは、両親から気味悪がられ、疎まれていた。
特に、喧嘩をする度にハロルドに不貞を疑われるブルネッタからは、頻繁に暴力を受けていた。
部屋は屋根裏の小さな空間。
食事は台所の外か屋根裏で、余り物をもらって、一人で食べていた。
一度も両親と同じ食卓を囲んだことはなかった。
身の回りの物も、身に着ける物も、粗末な物ばかりだった。
ハロルドとブルネッタ、バーバラに虐げられているララに、使用人たちは優しくなかった。
けれど、みんなララが男爵家の長女であることは認識していた。
いつ何時ララの立場が変わるか分からない。
ララが男爵家の道具として、高位の貴族に嫁がされる可能性もある。
ハロルドとブルネッタの顔色を窺い上手く立ち回っている使用人たちは、ララについてもあらゆる可能性を考えて対応していた。
少しでも肩を持てば、自分たちが罰せられる。
けれど、万が一ララが力ある立場になった時に、自分たちが彼女を虐げた過去があれば、自分たちの身が危ない。
みんな絶妙な距離を保ちながら、ララと接していた。
そのおかげで、食事は余り物ばかりではあったが、足りないと思うことはあっても、ひもじいと思うことはなかった。
父親のハロルドは金色の髪で深い青い目、母親のブルネッタは茶色い髪に緑の目だった。
一年後に生まれた妹のバーバラは、父親譲りの金色の髪に母親譲りの緑の目で生まれた。
明らかに自分達の子供だと分かるバーバラが生まれたのを機に、ハロルドはバーバラの婿探しを理由に領地経営を弟たちに押し付け、王都暮らしを始めた。
一切働かず、優秀な弟たちから巻き上げた生活費で、好き勝手に暮らしていた。
色素の薄いララは、両親から気味悪がられ、疎まれていた。
特に、喧嘩をする度にハロルドに不貞を疑われるブルネッタからは、頻繁に暴力を受けていた。
部屋は屋根裏の小さな空間。
食事は台所の外か屋根裏で、余り物をもらって、一人で食べていた。
一度も両親と同じ食卓を囲んだことはなかった。
身の回りの物も、身に着ける物も、粗末な物ばかりだった。
ハロルドとブルネッタ、バーバラに虐げられているララに、使用人たちは優しくなかった。
けれど、みんなララが男爵家の長女であることは認識していた。
いつ何時ララの立場が変わるか分からない。
ララが男爵家の道具として、高位の貴族に嫁がされる可能性もある。
ハロルドとブルネッタの顔色を窺い上手く立ち回っている使用人たちは、ララについてもあらゆる可能性を考えて対応していた。
少しでも肩を持てば、自分たちが罰せられる。
けれど、万が一ララが力ある立場になった時に、自分たちが彼女を虐げた過去があれば、自分たちの身が危ない。
みんな絶妙な距離を保ちながら、ララと接していた。
そのおかげで、食事は余り物ばかりではあったが、足りないと思うことはあっても、ひもじいと思うことはなかった。
0
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。

【完結】婚約破棄寸前の悪役令嬢は7年前の姿をしている
五色ひわ
恋愛
ドラード王国の第二王女、クラウディア・ドラードは正体不明の相手に襲撃されて子供の姿に変えられてしまった。何とか逃げのびたクラウディアは、年齢を偽って孤児院に隠れて暮らしている。
初めて経験する貧しい暮らしに疲れ果てた頃、目の前に現れたのは婚約破棄寸前の婚約者アルフレートだった。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる