聖女を隷属させてこき使う国は捨てちゃいます!

SHEILA

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男爵家での日々

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ララは、銀色の髪に空色の目で生まれてきた。

父親のハロルドは金色の髪で深い青い目、母親のブルネッタは茶色い髪に緑の目だった。
一年後に生まれた妹のバーバラは、父親譲りの金色の髪に母親譲りの緑の目で生まれた。

明らかに自分達の子供だと分かるバーバラが生まれたのを機に、ハロルドはバーバラの婿探しを理由に領地経営を弟たちに押し付け、王都暮らしを始めた。
一切働かず、優秀な弟たちから巻き上げた生活費で、好き勝手に暮らしていた。

色素の薄いララは、両親から気味悪がられ、疎まれていた。
特に、喧嘩をする度にハロルドに不貞を疑われるブルネッタからは、頻繁に暴力を受けていた。

部屋は屋根裏の小さな空間。

食事は台所の外か屋根裏で、余り物をもらって、一人で食べていた。
一度も両親と同じ食卓を囲んだことはなかった。

身の回りの物も、身に着ける物も、粗末な物ばかりだった。



ハロルドとブルネッタ、バーバラに虐げられているララに、使用人たちは優しくなかった。

けれど、みんなララが男爵家の長女であることは認識していた。

いつ何時ララの立場が変わるか分からない。
ララが男爵家の道具として、高位の貴族に嫁がされる可能性もある。

ハロルドとブルネッタの顔色を窺い上手く立ち回っている使用人たちは、ララについてもあらゆる可能性を考えて対応していた。
少しでも肩を持てば、自分たちが罰せられる。
けれど、万が一ララが力ある立場になった時に、自分たちが彼女を虐げた過去があれば、自分たちの身が危ない。

みんな絶妙な距離を保ちながら、ララと接していた。

そのおかげで、食事は余り物ばかりではあったが、足りないと思うことはあっても、ひもじいと思うことはなかった。
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