上 下
3 / 20
第0章 プロローグ

選択の間 2

しおりを挟む
「あの。私、ガチャのスキルは要らないので、その代わり、無限収納を私の望むものしていただきたいです。」

『ガチャを要らないと言った人は初めてです。そうですねぇ。好きな数字はありますか?』

数字?
なんでここで数字?

「えっと、末広がりの八が好きです。なんとなく幸せになれそうで。」

『そう…望みをすべて叶えることはできないかもしれませんが、希望を聞きましょう。』

「あの、鑑定と無限収納にはレベルがありますか?レベルアップはありますか?使うのに魔力は必要ですか?」

『三種の神器セットのレベルは通常固定にしているのですが、あなたが望むならレベルを1から10まで上げられるようにしましょう。魔力は、鑑定は使用するときに必要です。無限収納は出し入れする時にも必要ですが、中に物が入っている間は、収納したものの状態を維持するために消費され続けます。なので、実質は「魔力の増加により無制限に成長する収納」です。・・・そう・・ですね・・・・・8が好きなあなたには無限大の魔力を授けましょう。』

また数字だ。8が好きだから無限大ってどうゆう意味だろう。

「ありがとうございます?」

いけない。
お礼が疑問形になってしまった。

「あの…私、異世界転生小説を読んで、いろいろなものを採取して冒険をする収集家、コレクターに憧れていたんです。私、自分のために生きてみたいんです。人生を楽しむということをしてみたいんです。自分が働いて得たお金で好きなものを買って、食べたいものを食べて、冒険して好きなものを集めて、許されるなら、ペットを飼って、好きなものに囲まれて、幸せな暮らしというものを経験してみたいんです。」

創造神様は笑顔でうなずいてくださった。

「私、ずっと夢想していたんです。私が夢見る幸せな日々のために、私のための、私だけの収納があったらいいなぁって。
テンプレでは生物は入れられないけど、植物は入れられるって変だと思っていたんです。お花も薬草も野菜も果物も、種を植えれば育ってくれるってことは、生きているからで…だから植物も動物も、すべての生き物が入れられたらいいなって。」

創造神様は黙って耳を傾けてくださっている。

「収納したものを取り出す時、出したいものをすぐに出せるようにしたいけど、たくさん入れたら、探すのがたいへんだと思うんです。思い浮かべた物はすぐ取り出せるかもしれないけど、中に入れたことを忘れてしまったら永遠に取り出せなくなりそうで。私、あまり頭が良くないから、こんな私でも、収納したものがいつでも分かるようにして欲しいです。できれば…お話のできるAIがいてくれたら、一人旅でも寂しくないかなって……」

……なんとなくだけど、創造神様、表情が硬くなってきてる?

「それから収納の中に、冷蔵庫や冷凍庫のようなお部屋や時間が止まったり遅くなったりするお部屋、空気の無い真空のお部屋、空気があって動物や植物を入れることができるお部屋、収納したゴミを燃やして処理できるお部屋とか作りたいです。

あと、カメラやビデオが無い世界だったら、思い出を映像にして収納できたら、すごく嬉しいです。
前世では、学校の集合写真にすら写らせてもらえなくて、写真を撮ってもらったことがなかったから・・・もし、異世界でいい出会いがあったら、大切な何かができたら、思い出の記録を残すということをしてみたいです。」

創造神様の笑顔が消えた。

「あの、さっき創造神様が心配してくださった魔物や盗賊ですけど、自分を中心に球状の魔方陣を展開できて外から触れたものを全て収納できれば、私が傷つけられることはないと思うんです。攻撃魔法スキルも戦闘スキルも戦うことが怖いので欲しくないです。でも自分を守るために、人や魔物からの攻撃だけでなく、棒で殴ってきたらその棒を、魔法で攻撃されたらその魔法を、突風や雨や雷も収納して、自分の身が守れたらいいなって…だから収納方法は、私が収納したい場所に、私が思い描いた形の魔法陣を私が収納し続けたい時間だけ展開できたら…いいなって。」

「それで、旅や冒険もしたいので、小さな畑や、草木を生えている土地ごと収納で運べたら、…もう、毎日お腹をすかせてつらい思いをすることがないかなと思って…ます。」

思いつくことはすべて言った。
言ってしまった。

こんな我儘な希望、聞いてもらえるかな…?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~

丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月 働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。 いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震! 悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。 対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。 ・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。 もう少しマシな奴いませんかね? あっ、出てきた。 男前ですね・・・落ち着いてください。 あっ、やっぱり神様なのね。 転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。 ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。 不定期更新 誤字脱字 理解不能 読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

召喚されたけど不要だと殺され、神様が転生さしてくれたのに女神様に呪われました

桜月雪兎
ファンタジー
召喚に巻き込まれてしまった沢口香織は不要な存在として殺されてしまった。 召喚された先で殺された為、元の世界にも戻れなく、さ迷う魂になってしまったのを不憫に思った神様によって召喚された世界に転生することになった。 転生するために必要な手続きをしていたら、偶然やって来て神様と楽しそうに話している香織を見て嫉妬した女神様に呪いをかけられてしまった。 それでも前向きに頑張り、楽しむ香織のお話。

スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい

兎屋亀吉
ファンタジー
異世界転生にあたって、神様から提示されたスキルは4つ。1.【剣術】2.【火魔法】3.【アイテムボックス】4.【アイテムコピー】。これらのスキルの中から、選ぶことのできるスキルは一つだけ。さて、僕は何を選ぶべきか。タイトルで答え出てた。

今日も聖女は拳をふるう

こう7
ファンタジー
この世界オーロラルでは、12歳になると各国の各町にある教会で洗礼式が行われる。 その際、神様から聖女の称号を承ると、どんな傷も病気もあっという間に直す回復魔法を習得出来る。 そんな称号を手に入れたのは、小さな小さな村に住んでいる1人の女の子だった。 女の子はふと思う、「どんだけ怪我しても治るなら、いくらでも強い敵に突貫出来る!」。 これは、男勝りの脳筋少女アリスの物語。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

今さら帰ってこいなんて言われても。~森に移住した追放聖女は快適で優雅に暮らす~

ケンノジ
ファンタジー
「もうお前は要らない女だ!」 聖女として国に奉仕し続けてきたシルヴィは、第一王子ヴィンセントに婚約破棄と国外追放を言い渡される。 その理由は、シルヴィより強い力を持つ公爵家のご令嬢が現れたからだという。 ヴィンセントは態度を一変させシルヴィを蔑んだ。 王子で婚約者だから、と態度も物言いも目に余るすべてに耐えてきたが、シルヴィは我慢の限界に達した。 「では、そう仰るならそう致しましょう」 だが、真の聖女不在の国に一大事が起きるとは誰も知るよしもなかった……。 言われた通り国外に追放されたシルヴィは、聖女の力を駆使し、 森の奥で出会った魔物や動物たちと静かで快適な移住生活を送りはじめる。 これは虐げられた聖女が移住先の森の奥で楽しく幸せな生活を送る物語。

処理中です...