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第37話 新入部員

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 「えっと、まず先に入部してもらったのが、クラスの副委員長で保健委員の秋川さん」
 部活というのは、部室を与えられて初めて部活と呼ぶのではないかと思っている。だから、新入部員の紹介を放課後の教室で行っていることのなんと寂しい事か。部活の紹介も僕のクラス内でしか行われていないし。まぁ仮認可の部活だからしょうがないのだけれども。
 そんな、幽霊部活みたいな集いに参加するなんて、どんな物好きかと思ったら、なんだただの秋川だった。
 隣近所で付き合いが長くて、すぐにツンツンしてあまり女性として見てこなかった幼馴染だけど。あのイケメンの柊山が秋山のことを気になる存在だって言ってきたからだろうか? 最近くろぶちメガネの黒い部分がやけに細くなって、なんかこんなに瞳が大きかったっけ?って畏まる秋山を見て、ふと思った。

 「こんな訳の分からない部活動は副委員長として認めません、しかも男女二人だけだなんて不純です。監視の意味も込めて入部させていただきました。どうぞ宜しくお願いします」
 全然畏まってなかった。それに不純って、僕は別に全然そんなこと思っていません。

 「ありがとね琴葉ちゃん、心強いよ」
 姫嶋さんも大概肝が据わっているな、秋川のツンツンに動じていない。
 けれども意外だな。秋川はあまり活動的じゃないから部活動なんて興味ないと思っていたのに、しかもたかがクラスの副委員長が活動を認めたくないからって入部までするのか?
 僕と姫嶋さんの邪魔をしないで欲しい。
 
 邪魔と言えば、もう一人の入部者。たぶん、いや絶対に幼馴染である姫嶋さんを心配する口実で入部したと思わせておいての秋川狙い。

 「二人目の新入部員は、弓道部主将の柊山仁くんです」
 「世話になるぜ天成」
 正直言って面倒くさいです。なんで僕の名前を呼ぶのですか、というか部活の掛け持ちってオッケーなんですかこの学校は。

 「柊山さんは、県大会近いのに、こんな所で油売ってていいんですか?」
 秋山のツンツンが早速柊山に向かった。
 「ああ、まぁ余裕っしょ」
 強がってはいるが、明らかに照れが見え隠れしている。あの時の恋バナが功を奏しているぞ、なんだかイケメン柊山が小さく見える。

 「まぁこの部も柊山さんもただの暇潰しみたいですし、やることをさっさとやって廃部にしてしまいましょう」
 「なっ、秋山っ折角姫嶋さんが作った部なのに、そんな言い方はどうかとおもうぞ」
 「あんたもあんたよ、さっさと帰って本でも読んでいればいいものをなんでこんな意味の分からない部なんかに」
 「か、関係ないじゃないか。なんでそんなにRIA部に突っかかるんだよ、嫌なら無理して関わらなくてもいいんですけど?」
 「まぁまぁ二人とも、出来たばかりの部活動だし、もっと仲良くしようぜ」
 イケメンにそういうことを爽やかに言われると、陰の者の僕はちょっとたじろいでしまう。けど君は秋川と仲良くなりたいだけですよね?

 「はい、じゃあ自己紹介はこれくらいにして、さっそくRIA部の今後の展開を話し合っていきましょうか」
 姫嶋さんは、自分が作った部を廃部に追い込もうとする者と、邪な考えの者に荒らされているのにも関わらず。とても楽しそうに舵を取った。
 だけど、今後のこの部の展開って、一体何をするつもりなんだろう。
 まさか異世界転生の仕方を探すとか言い出さないですよね?
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