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第六章 ガーベラ
思いやり
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「ジェルベーラちゃん。初めまして、僕はハナ、妹のエミリーとマーノリアさんだよ」
謎の魔法の発動を止め、胸を撫でおろしたハナはジェルベーラを笑顔で迎え入れた。
「おばさまは知っているわ、いつも私たちの事を大切にお世話してくれているもの、ハナさんは私を呼んだ子ね、呼んでくれてありがとう。えーと、そっちがエミリーさん? ふーん、まぁまぁ可愛いわね」
「「はっ?」」
急に品定めされたエミリーと、おばさん呼ばわりされたマーノリアは青筋を立てた。
「ジェルベーラさん? 貴女、私たちをこの世から消し去ろうとしませんでした? どういうつもりですか?」
目立たぬよう振舞うことを常とされてきたが、なんとなく“まぁまぁ可愛いわね”という言葉には反応せずにいられなかった。
あるいはケーシィの毒が残っているのかもと、自分に言い聞かせてみるエミリー。
「消し去る? なんのことですか?」
ジェルベーラは不思議な顔をした。
実際、ジェルベーラ本人には自分が何をしようとしていたのかは分からない。
初めて人の姿になり、怒りに身を任せた結果がアルテマという光魔法最強の無詠唱発動だったのだ。
「しらばっくれないで下さい。あれは間違いなくアルテマの魔法です。どれだけ光が広がっていたかは分からないですが、あれが爆発してたら確実に死んでましたよ」
「アルテマ? なんか良い名前の魔法ね……気に入ったわ」
ジェルベーラは顎に手をやって口角を上げた。
「間違えて呼んだんだから、すぐ元に戻してあげましょう。この人は危険です」
エミリーはハナの袖を引く。
「そうはさせません、さっきので力の使い方をマスターしたので、戻そうとした瞬間に光で消し去ります、こんな風に」
ジェルベーラが右手人差し指をクルクル回すと、小さな光の玉が現れ、指さした方向にあった植木鉢の破片を覆うと、一瞬でその破片を消滅させた。
「くっ、ハナの呼ぶ花は、どうしてこうもワガママばっかりなんですかね」
「エミリーさん? 勝手に呼んでおいて、勝手に追い返すのはワガママとは言わないのですか?」
バチバチと火花を散らす二人にハナはたじろぐばかり。
巨大アルテマ発動中にガーベラの花に戻るように願っていたが、やはりまだハナにはその強制力はなく、自身もそれに気付いていた。
ゴンッ。
「いったーい、おばさま何するのですか」
見かねたマーノリアが、ジェルベーラの頭を小突く。
「いい加減にしなさいジェルベーラ、貴女をそんな風に育てた覚えはないよ、花はもっとおしとやかに、相手を敬って、凛と咲くもんだ。それに、私の事はマーノリアと呼びなさい」
「ううぅ、ごめんなさい、おば……マーノリアさん」
ジェルベーラは素直に頭を下げた。
それはマーノリアが育ての親とも言える存在だったからだろう。
ハナとエミリーはその姿を微笑ましく眺め、ジェルベーラに悪意が無いことを知った。
謎の魔法の発動を止め、胸を撫でおろしたハナはジェルベーラを笑顔で迎え入れた。
「おばさまは知っているわ、いつも私たちの事を大切にお世話してくれているもの、ハナさんは私を呼んだ子ね、呼んでくれてありがとう。えーと、そっちがエミリーさん? ふーん、まぁまぁ可愛いわね」
「「はっ?」」
急に品定めされたエミリーと、おばさん呼ばわりされたマーノリアは青筋を立てた。
「ジェルベーラさん? 貴女、私たちをこの世から消し去ろうとしませんでした? どういうつもりですか?」
目立たぬよう振舞うことを常とされてきたが、なんとなく“まぁまぁ可愛いわね”という言葉には反応せずにいられなかった。
あるいはケーシィの毒が残っているのかもと、自分に言い聞かせてみるエミリー。
「消し去る? なんのことですか?」
ジェルベーラは不思議な顔をした。
実際、ジェルベーラ本人には自分が何をしようとしていたのかは分からない。
初めて人の姿になり、怒りに身を任せた結果がアルテマという光魔法最強の無詠唱発動だったのだ。
「しらばっくれないで下さい。あれは間違いなくアルテマの魔法です。どれだけ光が広がっていたかは分からないですが、あれが爆発してたら確実に死んでましたよ」
「アルテマ? なんか良い名前の魔法ね……気に入ったわ」
ジェルベーラは顎に手をやって口角を上げた。
「間違えて呼んだんだから、すぐ元に戻してあげましょう。この人は危険です」
エミリーはハナの袖を引く。
「そうはさせません、さっきので力の使い方をマスターしたので、戻そうとした瞬間に光で消し去ります、こんな風に」
ジェルベーラが右手人差し指をクルクル回すと、小さな光の玉が現れ、指さした方向にあった植木鉢の破片を覆うと、一瞬でその破片を消滅させた。
「くっ、ハナの呼ぶ花は、どうしてこうもワガママばっかりなんですかね」
「エミリーさん? 勝手に呼んでおいて、勝手に追い返すのはワガママとは言わないのですか?」
バチバチと火花を散らす二人にハナはたじろぐばかり。
巨大アルテマ発動中にガーベラの花に戻るように願っていたが、やはりまだハナにはその強制力はなく、自身もそれに気付いていた。
ゴンッ。
「いったーい、おばさま何するのですか」
見かねたマーノリアが、ジェルベーラの頭を小突く。
「いい加減にしなさいジェルベーラ、貴女をそんな風に育てた覚えはないよ、花はもっとおしとやかに、相手を敬って、凛と咲くもんだ。それに、私の事はマーノリアと呼びなさい」
「ううぅ、ごめんなさい、おば……マーノリアさん」
ジェルベーラは素直に頭を下げた。
それはマーノリアが育ての親とも言える存在だったからだろう。
ハナとエミリーはその姿を微笑ましく眺め、ジェルベーラに悪意が無いことを知った。
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