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キャンパスライフはままならない②
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新キャンパスに転入したハレオ達は、楽しいキャンパスライフを送っていた。
だが、しかし、ハレオの気持ちは未だ快晴とは言えなかった。
金田に「スミレとボタンとは友達だ」と、啖呵を切ったはいいが、この2人の女友達の容姿は、どう贔屓目に見ても美少女。父親のハーレムで育ちで女慣れしているハレオを以てしても、認めざるを得ない。加えて妹のトウカ、奇抜なファッションセンスだが、その愛らしい容姿と、普段はツンツンしているのに、話し出すと人懐っこく面倒見が良い、そして、なによりゲームが上手い。男子中学生にとって自分と同レベルもしくは格上の女性プレイヤーの存在は希少種、それが好意に変わらずとも、意識すべき異性としての十分な理由があった。
学年やクラスの概念が無いW高、むろん指定された机も無い、よってスミレとボタンはハレオと授業を受けたがり、必然的に両隣に座る。
昼休みには、トウカも加わり、ハレオの手作り弁当が並ぶ。
最初の頃は自分とトウカの分だけだったが、料理を食べてもらう喜びを知っているハレオがスミレとボタンの分を作らない理由も無く、4人が同じお弁当を食べるのが日常となるまで、そう時間は掛からなかった。
下校時は下校時で、家が近いというか、キャンパスの上が家だったため、そのままハレオ宅で勉強会(二次会)みたいなノリで遊ぶことも多かった。
これをハーレムと言わずして何と呼ぶ……金田の心の叫びがハレオの頭には木霊していたのだ。
ハレオは焦っていた。感じる他の生徒の視線。「父親が……」偶に聞こえるその単語、その意味、そのトラウマ……。
このままではマズイ、何か打開策を、この楽しいキャンパスライフがハーレムで無くなる条件を、と至った考え。
ハーレムとは【1人の男性が複数の女性を周りに侍らせる】こと。
それを覆す方法はただ一つ。
「俺と友達になってくれないか?」
男が俺1人だからダメなんだ、簡単なことじゃないか、男友達が居れば全て解決する話だ。そう結論付けたハレオは、気の合いそうな男子生徒に片っ端から声を掛けた。
「え、いやちょっと……」
「むりむり、羨ましいけど無理です」
「ハードル高いって、それ」
そういった意見が半数。
残り半数は、スミレとボタンの魅力の前にガチガチに固まり、喋ることは愚か、息をすることすら忘れ、気絶してしまう者まで出る始末。
日を重ねれば、その魅力に慣れてくる者も居るだろう、だが、それでは遅い、手遅れになる、事実、男子生徒が近寄り難い雰囲気は、女子の聖地に成り得ると考えた女子生徒の数名が既に動き始め、スミレの面倒見の良さも相まって、女友達は増えてきていた。
むろんボタンは、その全てを敵対視していたが……。
くそう、なんだよこれ、ハーレまないつもりなのに、女ばかり寄ってくる。どうすればいいんだ……こうなったら金田先輩を、と考えを巡らせたが、それだけは避けようと決心したハレオの前に、ある人物が現れる。
「えー今日からこのキャンパスに加わる新しい仲間を紹介します。1年生の遠何成泰エンカ・ナリヤスさんです。みなさん拍手ー」
ハレオの投稿初日と同じように、紹介された顔をハレオは知っていた。
「うそ、あれナリヤスくんじゃない?」
「うわ、ほんとだー懐かしー」
同様に、スミレとボタンも知っていた。
「ナリヤス……なんにも変わってないなアイツ」
嬉しそうに呟くハレオ。
ハレオ、スミレ、ボタン、幼稚園から続く関係に加わっていたもう一人の友人、小学校生活を全て同じクラスで過ごした腐れ縁だが、中学に上がった際、ナリヤスだけが親の都合で離れてしまっていた。
身長はハレオをより5㎝ほど低く、少し華奢な体格。綺麗に手入れしながら伸ばしている様子が伺えるサラサラな髪は眉を隠し、背中まで伸びる後ろ髪をゴムで纏めている。
童顔とも言える顔は少し俯き気味で、他の生徒の顔を見ようとはしていなかった。
「ナリヤスーおーいっ」
突然の再会に喜びを隠せないハレオは、思わず声を掛ける。
「……」
ナリヤスはハレオを一瞬だけ見つめ、目を見開いたが、すぐにその目を逸らした。
「なんだよ、俺の事忘れちゃったのかな」
「そんなことあるわけないじゃん、ハレオとナリヤスは誰よりも仲良しだったのに」
「そうだよ、ハレオくんの事をいっつも追いかけてたし」
ハレオの言葉を否定するスミレとボタン。
それに頷き「これで全部解決だ、ナリヤスとの腐れ縁が復活すれば男友達が出来、ここがハーレムでなくなるんだ」
と、目を輝かせるハレオだった。
だが、しかし、ハレオの気持ちは未だ快晴とは言えなかった。
金田に「スミレとボタンとは友達だ」と、啖呵を切ったはいいが、この2人の女友達の容姿は、どう贔屓目に見ても美少女。父親のハーレムで育ちで女慣れしているハレオを以てしても、認めざるを得ない。加えて妹のトウカ、奇抜なファッションセンスだが、その愛らしい容姿と、普段はツンツンしているのに、話し出すと人懐っこく面倒見が良い、そして、なによりゲームが上手い。男子中学生にとって自分と同レベルもしくは格上の女性プレイヤーの存在は希少種、それが好意に変わらずとも、意識すべき異性としての十分な理由があった。
学年やクラスの概念が無いW高、むろん指定された机も無い、よってスミレとボタンはハレオと授業を受けたがり、必然的に両隣に座る。
昼休みには、トウカも加わり、ハレオの手作り弁当が並ぶ。
最初の頃は自分とトウカの分だけだったが、料理を食べてもらう喜びを知っているハレオがスミレとボタンの分を作らない理由も無く、4人が同じお弁当を食べるのが日常となるまで、そう時間は掛からなかった。
下校時は下校時で、家が近いというか、キャンパスの上が家だったため、そのままハレオ宅で勉強会(二次会)みたいなノリで遊ぶことも多かった。
これをハーレムと言わずして何と呼ぶ……金田の心の叫びがハレオの頭には木霊していたのだ。
ハレオは焦っていた。感じる他の生徒の視線。「父親が……」偶に聞こえるその単語、その意味、そのトラウマ……。
このままではマズイ、何か打開策を、この楽しいキャンパスライフがハーレムで無くなる条件を、と至った考え。
ハーレムとは【1人の男性が複数の女性を周りに侍らせる】こと。
それを覆す方法はただ一つ。
「俺と友達になってくれないか?」
男が俺1人だからダメなんだ、簡単なことじゃないか、男友達が居れば全て解決する話だ。そう結論付けたハレオは、気の合いそうな男子生徒に片っ端から声を掛けた。
「え、いやちょっと……」
「むりむり、羨ましいけど無理です」
「ハードル高いって、それ」
そういった意見が半数。
残り半数は、スミレとボタンの魅力の前にガチガチに固まり、喋ることは愚か、息をすることすら忘れ、気絶してしまう者まで出る始末。
日を重ねれば、その魅力に慣れてくる者も居るだろう、だが、それでは遅い、手遅れになる、事実、男子生徒が近寄り難い雰囲気は、女子の聖地に成り得ると考えた女子生徒の数名が既に動き始め、スミレの面倒見の良さも相まって、女友達は増えてきていた。
むろんボタンは、その全てを敵対視していたが……。
くそう、なんだよこれ、ハーレまないつもりなのに、女ばかり寄ってくる。どうすればいいんだ……こうなったら金田先輩を、と考えを巡らせたが、それだけは避けようと決心したハレオの前に、ある人物が現れる。
「えー今日からこのキャンパスに加わる新しい仲間を紹介します。1年生の遠何成泰エンカ・ナリヤスさんです。みなさん拍手ー」
ハレオの投稿初日と同じように、紹介された顔をハレオは知っていた。
「うそ、あれナリヤスくんじゃない?」
「うわ、ほんとだー懐かしー」
同様に、スミレとボタンも知っていた。
「ナリヤス……なんにも変わってないなアイツ」
嬉しそうに呟くハレオ。
ハレオ、スミレ、ボタン、幼稚園から続く関係に加わっていたもう一人の友人、小学校生活を全て同じクラスで過ごした腐れ縁だが、中学に上がった際、ナリヤスだけが親の都合で離れてしまっていた。
身長はハレオをより5㎝ほど低く、少し華奢な体格。綺麗に手入れしながら伸ばしている様子が伺えるサラサラな髪は眉を隠し、背中まで伸びる後ろ髪をゴムで纏めている。
童顔とも言える顔は少し俯き気味で、他の生徒の顔を見ようとはしていなかった。
「ナリヤスーおーいっ」
突然の再会に喜びを隠せないハレオは、思わず声を掛ける。
「……」
ナリヤスはハレオを一瞬だけ見つめ、目を見開いたが、すぐにその目を逸らした。
「なんだよ、俺の事忘れちゃったのかな」
「そんなことあるわけないじゃん、ハレオとナリヤスは誰よりも仲良しだったのに」
「そうだよ、ハレオくんの事をいっつも追いかけてたし」
ハレオの言葉を否定するスミレとボタン。
それに頷き「これで全部解決だ、ナリヤスとの腐れ縁が復活すれば男友達が出来、ここがハーレムでなくなるんだ」
と、目を輝かせるハレオだった。
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