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一夫多妻制なんてありえない③
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「ただいまー、お兄ちゃん聞いて聞いてー、中等部めっちゃ楽しかっ……」
一緒に下校する約束を反故にされた事も忘れるくらい、ウッキウキに帰宅したトウカの目に映ったのは、だだっ広いリビングの隅で明かりも付けず、体育座りした膝の間に顔を埋めるハレオだった。
「どうしたのお兄ちゃん、電気も付けないで」
ハレオに駆け寄り様子を窺うトウカ。暗闇の中オッドアイのコンタクトだけが光っている。
「おかえりトウカ、すまないが少し1人にしてくれないか」
「どうしたのよ、もしかしてもしかしてイジメられた?」
「イジメか、イジメだったらどんなによかったか……」
「えっ学校でイジメより酷い事あるの?高校デビュー失敗?」
「お前じゃあるまいし、デビューなんてしないって」
「じゃあ何、何があったの、話してごらんなさいよ、W中等部という楽園を教えてくれたお兄ちゃんに恩返ししてあげる」
「楽園って。随分、満足気だな、楽しかったか?」
「もうね、最高、なんでもっと早く教えてくれなかったのって思う」
「そうか、それは良かったな」
「で?どうしたの?」
トウカのそれは、明らかな興味本位だったが、今まで存在し得なかった妹というオッドアイの不思議な生物に、ハレオは心を許し全てを話した。
「はぁ?お兄ちゃん本気で言ってんの?バカじゃないの、早くスミレさんとボタンさんに謝ってきなさいよ」
トウカによる当然の返しである。普通に考えて、ハレオのハーレムに対する思考はおバカだ。
「なんでだよ、俺は絶対にハーレまないと決めたんだ。あの2人とは縁を切る」
「あのね、お兄ちゃん、スミレさんとボタンさんはお兄ちゃんの彼女なの?」
「違う、断じて違う、ただの友達だ」
「じゃあ、なんで縁を切るのよ」
「だから俺はハーレまないって」
「その“ハーレまない”って言葉、なんかイライラするんですけど、ハーレムの意味知ってて使ってる?」
「貧困に喘ぐ途上国の繁殖能力が一夫多妻制を……」
「それは金田って人の主張でしょ、ちゃんと自分の言葉で言ってみなさいよ」
「お、俺は、ただ親父みたいになりたくなくて、その……世間体が……」
「そう、結局ソレでしょ、ただ周りの目が気になるだけでしょ、そんなんで友達と縁を切るの?最悪なんですけど」
トウカの怒りは頂点に達し、暗闇で光るオッドアイはハレオの頭の中を徐々にクリアにしてゆく。
「じゃあ、スミレとボタンと遊ぶのはハーレムじゃないと言うのか?」
「当たり前でしょ、だいたいハーレムなんてのは、イケメン男子が女の子達に囲まれてキャッキャウフフしてる状態なんだから、フツメンお兄ちゃんは当て嵌まらないわよ」
トウカのハーレムに対する見解も若干ズレていた。
「そ、そうなのか……それは知らなかった」
「分かれば良し、早くスミレさんとボタンさんに連絡入れて鴨南パーティーに呼ぶのよ」
「しかし、トウカ、俺が良くても、金田が……俺がスミレとボタンを連れて歩いただけで、俺だけでなく、お前までをもキャンパスへの出入りを禁止すると……」
「そんな事出来るわけないでしょー」
「でもあいつの父親はビルのオーナーだぞ、あり得るかもしれん」
「……いいわよ、じゃあほとぼりが冷めるまで、私もオンライン授業専門にする。最悪1年我慢すれば、そいつ卒業でしょ」
腕を組み、鼻から大きく息を吐くトウカ。
「でも、お前、さっきめちゃめちゃ嬉しそうにしてたじゃないか、学校行くの楽しいんだろ」
「いいの、言ったでしょ、私はお兄ちゃんとバトロワゲーMANsの頂点を目指すのだから、オンライン授業だけでも十分よ」
「トウカ、お前……」
「でも、俺はやらんけど」とは言わなかったハレオは、スミレとボタンに連絡し、スーパーに鴨むね肉を買いに出かけた。
一緒に下校する約束を反故にされた事も忘れるくらい、ウッキウキに帰宅したトウカの目に映ったのは、だだっ広いリビングの隅で明かりも付けず、体育座りした膝の間に顔を埋めるハレオだった。
「どうしたのお兄ちゃん、電気も付けないで」
ハレオに駆け寄り様子を窺うトウカ。暗闇の中オッドアイのコンタクトだけが光っている。
「おかえりトウカ、すまないが少し1人にしてくれないか」
「どうしたのよ、もしかしてもしかしてイジメられた?」
「イジメか、イジメだったらどんなによかったか……」
「えっ学校でイジメより酷い事あるの?高校デビュー失敗?」
「お前じゃあるまいし、デビューなんてしないって」
「じゃあ何、何があったの、話してごらんなさいよ、W中等部という楽園を教えてくれたお兄ちゃんに恩返ししてあげる」
「楽園って。随分、満足気だな、楽しかったか?」
「もうね、最高、なんでもっと早く教えてくれなかったのって思う」
「そうか、それは良かったな」
「で?どうしたの?」
トウカのそれは、明らかな興味本位だったが、今まで存在し得なかった妹というオッドアイの不思議な生物に、ハレオは心を許し全てを話した。
「はぁ?お兄ちゃん本気で言ってんの?バカじゃないの、早くスミレさんとボタンさんに謝ってきなさいよ」
トウカによる当然の返しである。普通に考えて、ハレオのハーレムに対する思考はおバカだ。
「なんでだよ、俺は絶対にハーレまないと決めたんだ。あの2人とは縁を切る」
「あのね、お兄ちゃん、スミレさんとボタンさんはお兄ちゃんの彼女なの?」
「違う、断じて違う、ただの友達だ」
「じゃあ、なんで縁を切るのよ」
「だから俺はハーレまないって」
「その“ハーレまない”って言葉、なんかイライラするんですけど、ハーレムの意味知ってて使ってる?」
「貧困に喘ぐ途上国の繁殖能力が一夫多妻制を……」
「それは金田って人の主張でしょ、ちゃんと自分の言葉で言ってみなさいよ」
「お、俺は、ただ親父みたいになりたくなくて、その……世間体が……」
「そう、結局ソレでしょ、ただ周りの目が気になるだけでしょ、そんなんで友達と縁を切るの?最悪なんですけど」
トウカの怒りは頂点に達し、暗闇で光るオッドアイはハレオの頭の中を徐々にクリアにしてゆく。
「じゃあ、スミレとボタンと遊ぶのはハーレムじゃないと言うのか?」
「当たり前でしょ、だいたいハーレムなんてのは、イケメン男子が女の子達に囲まれてキャッキャウフフしてる状態なんだから、フツメンお兄ちゃんは当て嵌まらないわよ」
トウカのハーレムに対する見解も若干ズレていた。
「そ、そうなのか……それは知らなかった」
「分かれば良し、早くスミレさんとボタンさんに連絡入れて鴨南パーティーに呼ぶのよ」
「しかし、トウカ、俺が良くても、金田が……俺がスミレとボタンを連れて歩いただけで、俺だけでなく、お前までをもキャンパスへの出入りを禁止すると……」
「そんな事出来るわけないでしょー」
「でもあいつの父親はビルのオーナーだぞ、あり得るかもしれん」
「……いいわよ、じゃあほとぼりが冷めるまで、私もオンライン授業専門にする。最悪1年我慢すれば、そいつ卒業でしょ」
腕を組み、鼻から大きく息を吐くトウカ。
「でも、お前、さっきめちゃめちゃ嬉しそうにしてたじゃないか、学校行くの楽しいんだろ」
「いいの、言ったでしょ、私はお兄ちゃんとバトロワゲーMANsの頂点を目指すのだから、オンライン授業だけでも十分よ」
「トウカ、お前……」
「でも、俺はやらんけど」とは言わなかったハレオは、スミレとボタンに連絡し、スーパーに鴨むね肉を買いに出かけた。
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