6 / 81
妹なんていたことない②
しおりを挟む
井本 桃花(イモト・トウカ)
ハレオの妹だと宣言した少女は、そう名乗った。
むろんハレオは信じない、信じないが思い当たる節が無い訳では無い、だが、信じたくない。
「わたしのお父さんの名前は、ハレマ・ダテオだ」
「あーあーあーあーあーあーあーあー」
トウカの告白に、ハレオは耳をパンパン叩きながら聞こえない振りをした。
「小学生かっ」
「小学生に言われたくない、聞かなかった事にしてやるから帰ってくれないか」
「ヤダ、折角、気持ち悪いのを我慢して「お兄ちゃん」って呼んでやったんだ、わたしは今日からここに住む、拒否すれば、さっき撮った写真ばら撒くぞ、そしたら刑務所いきだからな」
「なんでそうなるんだよ、だいたいあんな写真如きで犯罪者扱いなんてされないし、兄妹だと言うのなら尚更役に立たないと思うぞ、兄妹とは認めないがな」
「うっ……」
ハレオは、トウカが怯んだのを見逃さなかった。
「それにな、なんで苗字が違うんだ、再婚相手の子供ならハレマ・トウカと名乗るハズだろ、みずから墓穴を掘るとは、まさにこの事だな」
「そ、そりは……」
「そりは?ソリってなんですか?トナカイですか?トナカイさん呼んで帰るんですか~?」
普段、遊び相手と言えば同世代の幼馴染達や父親の愛人達のみ、兄妹、ましてや妹、ましてや幼女などという生物と触れ合った事もないハレオは手加減を知らない。
「シャーーーーー」
「痛ーーーーーっ」
トウカは目に涙を浮かべながらハレオの手に噛みついた。
「わ、悪かったよ言い過ぎた、まさか泣くとは思わなかった、すまない」
ハレオは、興奮した小動物を宥めるが如く、噛み付かれながらも謝罪しトウカの頭を撫でる。
「じゃあ、ここに住まわせてくれるのか?」
トウカは、噛むのを止め期待感一杯の瞳でハレオを見つめる。
「それとこれと別だろ」
「うーじゃあジャンボ宝くじ当たった事バラすぞ、お母さんの友達が話してたの聞いたんだからな」
「ジャンボ宝くじ?」
(変だぞ、俺が買ったのはキャリーオーバーしてたロトくじだ、普通の宝くじじゃ51億の当選金なんて出ないし、それにお母さんの友達が話していたとは……)
そうしてハレオは、ある結論に至る。
これはハッタリ。
ハレオは宝くじの当選金の事を誰にも話していない、むろん、父親の再婚相手にもだ。
おそらく、マンション契約で親権者の同意を得た際、それを知った再婚相手が「あんな所に引っ越すなんて、宝くじでも当たったのかね」なんて憶測を、知人、つまりトウカの母親と話していたのをトウカは聞いたのだろうと憶測したのだ。
あくまで憶測だが、これでトウカは自分の肉親でも妹でも無く。ただ、この幼女は金の匂いを嗅ぎつけ、妹と偽ってハレオに取り入り、この場所でハーレムを形成しようと企んでいる。ことお金や父親絡みに関しては最悪な考えに至ってしまうハレオは、そう自分に言い聞かせ、口を開いたのだ。
「なんか勘違いしてないか?ここは俺の家じゃないぞ、ここはシェアハウスと言ってだな、赤の他人が、お金を出し合って共同生活する場所だ、それに俺は、ジャンボ宝くじなんて当たっていないっ」
ハッタリにはハッタリ、小学生相手に嘘をつくのは心が痛むが致し方ないと腹を括るハレオ。
「うぅ……」
またも、涙目になるトウカ。
「な、泣くなって」
己の憶測が間違っていのか、だとしたら最悪な考えだ、本当の妹だったとしたら、こんなに最悪な兄は居ないだろう、と怯む。
「お兄ちゃん、いじわるしないでよぉ」
「いや、お前さっき「お兄ちゃん」って呼ぶの気持ち悪いって言ってたじゃん、それに妹っていうのも嘘だろ、お前今幾つだよ」
「13」
「13歳って、まさか中学生か」
「うん」
「うんて、まぁ見た目どうこうは言わないけどさ、これで俺らが兄妹は有り得ない事が証明されたな」
「なんで?」
「だって親父がハーレム作ったのは俺が小学校入ってからだぞ、そこで愛人作って子供が生まれたとしても最低でも6,7歳は離れていないとおかしいじゃないか」
「でも、お母さんが……うっ」
「泣くなってば、ほら、お菓子でも食べてさ、飲み物も入れ直すよ、もしかしたら何か力になれるかもしれないからさ、落ち着いて話してみなよ、あ、そうだ腹減ってないか?なんか作ってやろうか?」
「うぅ、お兄ちゃんぁぁぁぁん」
「だから、お兄ちゃんでは無いと……」
ピンポーン。
今度は誰だよと、しぶしぶインターホンカメラを見に行くハレオ。
「どなたですか?」
マンション入り口に立つのは綺麗めお姉さん。
「うちの子、モモカがそちらにお邪魔していませんか?」
「モモカ、ですか?」
「はい、井本 桃花の母です」
「モモカ、桃花、トウカ……お前、名前まで嘘付いてたのか」
「へへ、だってモモカってダサいじゃん、トウカって強そうじゃん」
「……中二か、中一なのに中二かっ」
呆れるハレオだったが、これで、この謎の幼女から解放される。さっさと連れて帰ってもらおう、そう思い、ドアロックを解除し、モモカの母親を招き入れた。
ハレオの妹だと宣言した少女は、そう名乗った。
むろんハレオは信じない、信じないが思い当たる節が無い訳では無い、だが、信じたくない。
「わたしのお父さんの名前は、ハレマ・ダテオだ」
「あーあーあーあーあーあーあーあー」
トウカの告白に、ハレオは耳をパンパン叩きながら聞こえない振りをした。
「小学生かっ」
「小学生に言われたくない、聞かなかった事にしてやるから帰ってくれないか」
「ヤダ、折角、気持ち悪いのを我慢して「お兄ちゃん」って呼んでやったんだ、わたしは今日からここに住む、拒否すれば、さっき撮った写真ばら撒くぞ、そしたら刑務所いきだからな」
「なんでそうなるんだよ、だいたいあんな写真如きで犯罪者扱いなんてされないし、兄妹だと言うのなら尚更役に立たないと思うぞ、兄妹とは認めないがな」
「うっ……」
ハレオは、トウカが怯んだのを見逃さなかった。
「それにな、なんで苗字が違うんだ、再婚相手の子供ならハレマ・トウカと名乗るハズだろ、みずから墓穴を掘るとは、まさにこの事だな」
「そ、そりは……」
「そりは?ソリってなんですか?トナカイですか?トナカイさん呼んで帰るんですか~?」
普段、遊び相手と言えば同世代の幼馴染達や父親の愛人達のみ、兄妹、ましてや妹、ましてや幼女などという生物と触れ合った事もないハレオは手加減を知らない。
「シャーーーーー」
「痛ーーーーーっ」
トウカは目に涙を浮かべながらハレオの手に噛みついた。
「わ、悪かったよ言い過ぎた、まさか泣くとは思わなかった、すまない」
ハレオは、興奮した小動物を宥めるが如く、噛み付かれながらも謝罪しトウカの頭を撫でる。
「じゃあ、ここに住まわせてくれるのか?」
トウカは、噛むのを止め期待感一杯の瞳でハレオを見つめる。
「それとこれと別だろ」
「うーじゃあジャンボ宝くじ当たった事バラすぞ、お母さんの友達が話してたの聞いたんだからな」
「ジャンボ宝くじ?」
(変だぞ、俺が買ったのはキャリーオーバーしてたロトくじだ、普通の宝くじじゃ51億の当選金なんて出ないし、それにお母さんの友達が話していたとは……)
そうしてハレオは、ある結論に至る。
これはハッタリ。
ハレオは宝くじの当選金の事を誰にも話していない、むろん、父親の再婚相手にもだ。
おそらく、マンション契約で親権者の同意を得た際、それを知った再婚相手が「あんな所に引っ越すなんて、宝くじでも当たったのかね」なんて憶測を、知人、つまりトウカの母親と話していたのをトウカは聞いたのだろうと憶測したのだ。
あくまで憶測だが、これでトウカは自分の肉親でも妹でも無く。ただ、この幼女は金の匂いを嗅ぎつけ、妹と偽ってハレオに取り入り、この場所でハーレムを形成しようと企んでいる。ことお金や父親絡みに関しては最悪な考えに至ってしまうハレオは、そう自分に言い聞かせ、口を開いたのだ。
「なんか勘違いしてないか?ここは俺の家じゃないぞ、ここはシェアハウスと言ってだな、赤の他人が、お金を出し合って共同生活する場所だ、それに俺は、ジャンボ宝くじなんて当たっていないっ」
ハッタリにはハッタリ、小学生相手に嘘をつくのは心が痛むが致し方ないと腹を括るハレオ。
「うぅ……」
またも、涙目になるトウカ。
「な、泣くなって」
己の憶測が間違っていのか、だとしたら最悪な考えだ、本当の妹だったとしたら、こんなに最悪な兄は居ないだろう、と怯む。
「お兄ちゃん、いじわるしないでよぉ」
「いや、お前さっき「お兄ちゃん」って呼ぶの気持ち悪いって言ってたじゃん、それに妹っていうのも嘘だろ、お前今幾つだよ」
「13」
「13歳って、まさか中学生か」
「うん」
「うんて、まぁ見た目どうこうは言わないけどさ、これで俺らが兄妹は有り得ない事が証明されたな」
「なんで?」
「だって親父がハーレム作ったのは俺が小学校入ってからだぞ、そこで愛人作って子供が生まれたとしても最低でも6,7歳は離れていないとおかしいじゃないか」
「でも、お母さんが……うっ」
「泣くなってば、ほら、お菓子でも食べてさ、飲み物も入れ直すよ、もしかしたら何か力になれるかもしれないからさ、落ち着いて話してみなよ、あ、そうだ腹減ってないか?なんか作ってやろうか?」
「うぅ、お兄ちゃんぁぁぁぁん」
「だから、お兄ちゃんでは無いと……」
ピンポーン。
今度は誰だよと、しぶしぶインターホンカメラを見に行くハレオ。
「どなたですか?」
マンション入り口に立つのは綺麗めお姉さん。
「うちの子、モモカがそちらにお邪魔していませんか?」
「モモカ、ですか?」
「はい、井本 桃花の母です」
「モモカ、桃花、トウカ……お前、名前まで嘘付いてたのか」
「へへ、だってモモカってダサいじゃん、トウカって強そうじゃん」
「……中二か、中一なのに中二かっ」
呆れるハレオだったが、これで、この謎の幼女から解放される。さっさと連れて帰ってもらおう、そう思い、ドアロックを解除し、モモカの母親を招き入れた。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
「学校でトイレは1日2回まで」という校則がある女子校の話
赤髪命
大衆娯楽
とある地方の私立女子校、御清水学園には、ある変わった校則があった。
「校内のトイレを使うには、毎朝各個人に2枚ずつ配られるコインを使用しなければならない」
そんな校則の中で生活する少女たちの、おしがまと助け合いの物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる