112 / 115
最果ての森・成長編
109. 参加の形
しおりを挟む
ライを見送って、みんなでリビングへ戻る。
ライは調査の仕事があるからと、うちへ来てそう時間が経たないうちに出発してしまったが、テムとファムはまだいてくれるようだ。
「ねえねえ、ウィルくん。ライとの魔法の練習、明日からしばらくお休みでしょー?」
ファムに聞かれ、僕はコクリと頷く。
ライに新しい魔法を教わるのはしばらくおあずけだから、練習をどうしようかと考えていたのだ。
「それなら、ぼくたちと一緒に練習しようよー!きっと楽しいよー!」
「お、名案だなファム!オレも教えるぜ!そんで、ウィルもなんかおもしれー魔法、オレらに教えてくれよ!」
やはりそうきたか。
こうなるかもしれないと、薄々予感はしていたんだ。
それならティアも···と思って見ると、僕と目が合ったティアは、急に慌て始めた。
「ご、ご主人!ワレは自主練をしようと思うのだ!だからご主人は、ワレのことは気にせず、二人と一緒に楽しむとよいのだ!」
ティアが、自分は巻き込まれまいと先手を打ってきた。
···なかなかやるじゃないか。
テムとファムの練習···というか遊びに本気でついていくには、相当な実力、あるいは強靭な精神力を必要とする。だから、自分の実力が心許ないと自覚しているからこそ、二人と遊ぶのを避けたくなる気持ちはよく分かる。
でも、テムとファムは優しいし、天才がゆえのセンスもある。僕たちの実力が足りないことを知った上で、ちょうどよく手加減をすることくらい、二人にとってはそれほど難しいことではない。遊ぶ中で、僕たちに危険が及ぶようなことはない···はずだ。
まあ、ジルも見ていてくれるだろうし、きっと大丈夫だろう。
「てぃあ、いっしょに、ちゅよくなろう!」
僕はティアをガシッと抱きしめて、逃さないぞーと力を込める。
「がんばれば、ちゅよくなれるよ!」
仲間は一人でも多いほうがいい。
テムとファムが優しいことくらい分かっている。分かってはいるが、それでも負担というか、精神的なダメージというか、そういったものを分散させたいと思ってしまうのは許してほしい。
僕は邪な考えから必死にティアを説得する。すると、最初は今にも逃げ出しそうな勢いだったティアが、僕が言葉を重ねるにつれ、キリッと決意を固めた漢の表情を見せるようになった。
「強く···。そうか、ご主人。ワレが間違っていたのだ。強くなるためには、どんなに困難だと思うことにも、立ち向かわねばならないのだな!」
「てぃあ···」
なんだか、ごめんよ。僕の思惑を、立派な教訓かのように誤解してくれるなんて。
ティアの純粋さが、心に刺さる。
でも、その誤解はしばらく解いてあげられそうにないんだ。少なくとも、ライが帰ってくるまでは。
「てむ、ふぁむ!てぃあもいっしょに、れんしゅー、する!」
ティアの気持ちが変わらないうちに、僕は二人に宣言した。
ふはは、これでティアは絶対参加だ。思わず黒い笑みが漏れる。
ああ、僕も悪い大人に···じゃなかった、悪い一歳児になったものだ。
「ティアも一緒に遊ぶのか?楽しみだぜ!」
「あはは!テム、遊びじゃなくて、一応練習だよー!魔法の練習!楽しみだねー!」
「おお、そうだったぜ!練習、練習!何すっかなー。楽しみだぜ!」
やはりこの二人にとっては、遊びの感覚だったか。まあ、魔法を使うことは間違いないだろうし、楽しく練習できるのであれば、それに越したことはない···はずだ。
「あ、ねえねえ、ウィルくん」
ファムがまた僕に呼びかけた。今度はなんだろうか。
「あはは!大丈夫だよー。久しぶりに名前を聞いたから、気になってたんだー。セラおねーちゃんとアーダンは元気だったー?」
少し身構えたのがファムにバレて、笑われてしまった。ちょっと恥ずかしい。
ファムはセラ姉とアーダンのことを知っているようだ。そしてセラ姉のことを、『セラお姉ちゃん』と呼んでいるらしい。
「しゅっごく、げんき!」
「アーダンの頭が、いい音を出していたのだ。···あやつは、叩かれると分かっていてあのようなことを言ったのか、それとも真にアホなのか···。ワレには判別できなかったのだ」
僕は前者だと思うよ、ティア。でもだからと言って、アーダンが叩かれたがりの変態さんというわけでもないと思う。···え、違うよね?
「あははは!相変わらずだねー、二人とも!」
ファムがポヨポヨしながら笑っている。
「ねえねえ、セラおねーちゃんも、リーナみたいでかわいかったでしょー?」
うんうん、やっぱりファムはよく分かっている。
セラ姉がリーナさんの恋模様を楽しんでいるように、ファムもセラ姉とアーダンの関係を楽しんでいるようだ。
「可愛い···?オレにはカッコよく見えるけどな。だって姐御のアレ、見るたびにキレが増してると思うぜ。あれを受けるアーダンもすげーよなあ」
『アレ』って、絶対に平手打ちのことだよね。確かに、あの速度は出そうと思って出せるものではない。
そしてテムはセラ姉のことを姐御って呼んでいるのか。そう呼びたい気持ち、すごくよく分かる。
共感して頷いていると、ファムが教えてくれた。
「テムはね、本人にはまだ姐御って言ったことないんだよー。というか、セラおねーちゃんと直接喋ったことあったっけー?でもね、いつかそう呼んでみたいんだってー!」
なるほど、それもテムらしいなと思った。
ちゃっかりファムに暴露されてしまい、テムは顔を赤くしている。
「こ、心の中では何回も呼んでるぜ!」
テム、それは呼んだうちには入らないんじゃないかな?
しばらくみんなでわいわい話していると、ジルが「夕飯の準備をしてくる」と言って、キッチンへ入って行った。
いつも僕たちのために美味しい料理を作ってくれて、ありがたい。
···そうだ。お手伝いをするから、僕にも料理を教えてもらえないだろうか。
昨日は食欲に抗えず静かに待機するだけになってしまったが、今日からは僕も、料理を勉強するんだ。
そう思って、ジルの後を追いかける。
「···ウィル?どうかしたのか?」
キッチンへ入って来た僕を見て、ジルは少し驚いているようだ。
「ぼくにも、りょーり、おちえてー!」
僕はやる気満々だよ、と服の袖を捲くる。
「あ、面白そうだねー!ぼくもやりたーい!」
「オレも!オレもやるぜ!」
「ワレはまた応援か···?」
僕だけだと思っていたが、後続が次々とキッチンへ顔を出した。
「お前ら···」
ジルは相変わらず表情の動きが大きくはないけど、それでも嬉しそうな雰囲気は伝わってくる。
ジルが早速椅子を人数分用意して、キッチンの作業台に届くよう高さを調整してくれた。
「まずは野菜を切ってもらう。大きさは···これくらいだ」
ジルが包丁で野菜を刻み、見本を示してくれた。
僕が使うのはもちろん包丁ではない。この間、砂浜で魚をシメたときに使った、ウィンドカッターだ。
でも、前回は下が砂浜だったからあまり躊躇なくウィンドカッターを放てたが、今回はまな板だ。もし、ウィンドカッターの威力が強過ぎて、まな板まで切断してしまったら···最悪、その下の作業台にまで傷を付けてしまったらどうしよう。
僕が躊躇しているのを見て、ジルがその理由を察してくれた。
「···こうすれば、多少威力が強くなっても問題ない」
そう言ってジルは、まな板に手をかざす。
「『シールド』」
すると、まな板の上に光の板が出現した。シールドを傘として使ったことはあるけど、こんな使い方もできるのか。
「あははは!シールドをまな板の代わりにするなんて!ジル、面白いねー!」
隣でファムが爆笑している。
「ブハッ!ジルも、なかなかやるな!ウィルみたいだぜ!」
テムさん、僕みたいって、どういうことかな?
「ぼくもやってみよー!」
「オレもオレも!」
早速二人はジルの真似をして、シールドを出す。二人とも一発でまな板っぽいシールドを出したのは、さすがとしか言いようがない。
「あはは!これ、便利だねー!」
ファムの言う通り、シールドのまな板はかなり便利だ。
光属性のシールドは、物理攻撃と魔法攻撃の両方をある程度まで無効化してくれる。耐久値を超える攻撃を受けると砕けてしまうが、魔力をたくさん込めることで、その耐久値を上げることができる。
そして僕の目の前にあるシールドには、ジルの豊富な魔力がたっぷり込められている。僕のウィンドカッターを何度放っても、この光のまな板は、傷一つ付かないだろう。
これなら、躊躇なく野菜を切ることができる。
そう思って気合いを入れてウィンドカッターを放とうとしたとき、ふとティアが静かだということに気づいた。
ティアを見ると、なんとなくしょんぼりしているような、そんな雰囲気だ。
もしかして、自分だけお手伝いができないとか、そんな後ろ向きなことを考えているのだろうか。
···ふむ。それなら。
「てぃあ、くりーん、かけてもらえたら、うれしーな」
僕はティアにクリーンをお願いする。
そうすると、きっとこの二人も。
「あ、ぼくもー!ティア、お願い!」
「オレにも頼むぜ!」
ほら、やっぱり。
二人はすごく優しいんだ。
「ワレも役に立てるのか···?」
ファムとテムからも頼まれて、ティアからしょんぼりの空気が散り消える。
「ぼく、料理は初めてだから、クリーンをかける余裕がないんだー。だから、ティアが気づいたときにかけてくれると本当に助かるよー」
「オレも!実際、さっき忘れてたしよ!だからティア、頼むぜ!」
「わ、分かったのだ!クリーンは、ワレに任せるのだ!」
頼りにされるって、嬉しいものだ。
ティアもそうなのだろう。任せて!と胸を張りながらも、尻尾がフリフリ揺れている。
参加の形は、色々ある。それぞれができること、得意なこと、やりたいことで、誰かの役に立てるなら、それで十分だ。
こうして、全員参加のジルズキッチンが始まった。
ライは調査の仕事があるからと、うちへ来てそう時間が経たないうちに出発してしまったが、テムとファムはまだいてくれるようだ。
「ねえねえ、ウィルくん。ライとの魔法の練習、明日からしばらくお休みでしょー?」
ファムに聞かれ、僕はコクリと頷く。
ライに新しい魔法を教わるのはしばらくおあずけだから、練習をどうしようかと考えていたのだ。
「それなら、ぼくたちと一緒に練習しようよー!きっと楽しいよー!」
「お、名案だなファム!オレも教えるぜ!そんで、ウィルもなんかおもしれー魔法、オレらに教えてくれよ!」
やはりそうきたか。
こうなるかもしれないと、薄々予感はしていたんだ。
それならティアも···と思って見ると、僕と目が合ったティアは、急に慌て始めた。
「ご、ご主人!ワレは自主練をしようと思うのだ!だからご主人は、ワレのことは気にせず、二人と一緒に楽しむとよいのだ!」
ティアが、自分は巻き込まれまいと先手を打ってきた。
···なかなかやるじゃないか。
テムとファムの練習···というか遊びに本気でついていくには、相当な実力、あるいは強靭な精神力を必要とする。だから、自分の実力が心許ないと自覚しているからこそ、二人と遊ぶのを避けたくなる気持ちはよく分かる。
でも、テムとファムは優しいし、天才がゆえのセンスもある。僕たちの実力が足りないことを知った上で、ちょうどよく手加減をすることくらい、二人にとってはそれほど難しいことではない。遊ぶ中で、僕たちに危険が及ぶようなことはない···はずだ。
まあ、ジルも見ていてくれるだろうし、きっと大丈夫だろう。
「てぃあ、いっしょに、ちゅよくなろう!」
僕はティアをガシッと抱きしめて、逃さないぞーと力を込める。
「がんばれば、ちゅよくなれるよ!」
仲間は一人でも多いほうがいい。
テムとファムが優しいことくらい分かっている。分かってはいるが、それでも負担というか、精神的なダメージというか、そういったものを分散させたいと思ってしまうのは許してほしい。
僕は邪な考えから必死にティアを説得する。すると、最初は今にも逃げ出しそうな勢いだったティアが、僕が言葉を重ねるにつれ、キリッと決意を固めた漢の表情を見せるようになった。
「強く···。そうか、ご主人。ワレが間違っていたのだ。強くなるためには、どんなに困難だと思うことにも、立ち向かわねばならないのだな!」
「てぃあ···」
なんだか、ごめんよ。僕の思惑を、立派な教訓かのように誤解してくれるなんて。
ティアの純粋さが、心に刺さる。
でも、その誤解はしばらく解いてあげられそうにないんだ。少なくとも、ライが帰ってくるまでは。
「てむ、ふぁむ!てぃあもいっしょに、れんしゅー、する!」
ティアの気持ちが変わらないうちに、僕は二人に宣言した。
ふはは、これでティアは絶対参加だ。思わず黒い笑みが漏れる。
ああ、僕も悪い大人に···じゃなかった、悪い一歳児になったものだ。
「ティアも一緒に遊ぶのか?楽しみだぜ!」
「あはは!テム、遊びじゃなくて、一応練習だよー!魔法の練習!楽しみだねー!」
「おお、そうだったぜ!練習、練習!何すっかなー。楽しみだぜ!」
やはりこの二人にとっては、遊びの感覚だったか。まあ、魔法を使うことは間違いないだろうし、楽しく練習できるのであれば、それに越したことはない···はずだ。
「あ、ねえねえ、ウィルくん」
ファムがまた僕に呼びかけた。今度はなんだろうか。
「あはは!大丈夫だよー。久しぶりに名前を聞いたから、気になってたんだー。セラおねーちゃんとアーダンは元気だったー?」
少し身構えたのがファムにバレて、笑われてしまった。ちょっと恥ずかしい。
ファムはセラ姉とアーダンのことを知っているようだ。そしてセラ姉のことを、『セラお姉ちゃん』と呼んでいるらしい。
「しゅっごく、げんき!」
「アーダンの頭が、いい音を出していたのだ。···あやつは、叩かれると分かっていてあのようなことを言ったのか、それとも真にアホなのか···。ワレには判別できなかったのだ」
僕は前者だと思うよ、ティア。でもだからと言って、アーダンが叩かれたがりの変態さんというわけでもないと思う。···え、違うよね?
「あははは!相変わらずだねー、二人とも!」
ファムがポヨポヨしながら笑っている。
「ねえねえ、セラおねーちゃんも、リーナみたいでかわいかったでしょー?」
うんうん、やっぱりファムはよく分かっている。
セラ姉がリーナさんの恋模様を楽しんでいるように、ファムもセラ姉とアーダンの関係を楽しんでいるようだ。
「可愛い···?オレにはカッコよく見えるけどな。だって姐御のアレ、見るたびにキレが増してると思うぜ。あれを受けるアーダンもすげーよなあ」
『アレ』って、絶対に平手打ちのことだよね。確かに、あの速度は出そうと思って出せるものではない。
そしてテムはセラ姉のことを姐御って呼んでいるのか。そう呼びたい気持ち、すごくよく分かる。
共感して頷いていると、ファムが教えてくれた。
「テムはね、本人にはまだ姐御って言ったことないんだよー。というか、セラおねーちゃんと直接喋ったことあったっけー?でもね、いつかそう呼んでみたいんだってー!」
なるほど、それもテムらしいなと思った。
ちゃっかりファムに暴露されてしまい、テムは顔を赤くしている。
「こ、心の中では何回も呼んでるぜ!」
テム、それは呼んだうちには入らないんじゃないかな?
しばらくみんなでわいわい話していると、ジルが「夕飯の準備をしてくる」と言って、キッチンへ入って行った。
いつも僕たちのために美味しい料理を作ってくれて、ありがたい。
···そうだ。お手伝いをするから、僕にも料理を教えてもらえないだろうか。
昨日は食欲に抗えず静かに待機するだけになってしまったが、今日からは僕も、料理を勉強するんだ。
そう思って、ジルの後を追いかける。
「···ウィル?どうかしたのか?」
キッチンへ入って来た僕を見て、ジルは少し驚いているようだ。
「ぼくにも、りょーり、おちえてー!」
僕はやる気満々だよ、と服の袖を捲くる。
「あ、面白そうだねー!ぼくもやりたーい!」
「オレも!オレもやるぜ!」
「ワレはまた応援か···?」
僕だけだと思っていたが、後続が次々とキッチンへ顔を出した。
「お前ら···」
ジルは相変わらず表情の動きが大きくはないけど、それでも嬉しそうな雰囲気は伝わってくる。
ジルが早速椅子を人数分用意して、キッチンの作業台に届くよう高さを調整してくれた。
「まずは野菜を切ってもらう。大きさは···これくらいだ」
ジルが包丁で野菜を刻み、見本を示してくれた。
僕が使うのはもちろん包丁ではない。この間、砂浜で魚をシメたときに使った、ウィンドカッターだ。
でも、前回は下が砂浜だったからあまり躊躇なくウィンドカッターを放てたが、今回はまな板だ。もし、ウィンドカッターの威力が強過ぎて、まな板まで切断してしまったら···最悪、その下の作業台にまで傷を付けてしまったらどうしよう。
僕が躊躇しているのを見て、ジルがその理由を察してくれた。
「···こうすれば、多少威力が強くなっても問題ない」
そう言ってジルは、まな板に手をかざす。
「『シールド』」
すると、まな板の上に光の板が出現した。シールドを傘として使ったことはあるけど、こんな使い方もできるのか。
「あははは!シールドをまな板の代わりにするなんて!ジル、面白いねー!」
隣でファムが爆笑している。
「ブハッ!ジルも、なかなかやるな!ウィルみたいだぜ!」
テムさん、僕みたいって、どういうことかな?
「ぼくもやってみよー!」
「オレもオレも!」
早速二人はジルの真似をして、シールドを出す。二人とも一発でまな板っぽいシールドを出したのは、さすがとしか言いようがない。
「あはは!これ、便利だねー!」
ファムの言う通り、シールドのまな板はかなり便利だ。
光属性のシールドは、物理攻撃と魔法攻撃の両方をある程度まで無効化してくれる。耐久値を超える攻撃を受けると砕けてしまうが、魔力をたくさん込めることで、その耐久値を上げることができる。
そして僕の目の前にあるシールドには、ジルの豊富な魔力がたっぷり込められている。僕のウィンドカッターを何度放っても、この光のまな板は、傷一つ付かないだろう。
これなら、躊躇なく野菜を切ることができる。
そう思って気合いを入れてウィンドカッターを放とうとしたとき、ふとティアが静かだということに気づいた。
ティアを見ると、なんとなくしょんぼりしているような、そんな雰囲気だ。
もしかして、自分だけお手伝いができないとか、そんな後ろ向きなことを考えているのだろうか。
···ふむ。それなら。
「てぃあ、くりーん、かけてもらえたら、うれしーな」
僕はティアにクリーンをお願いする。
そうすると、きっとこの二人も。
「あ、ぼくもー!ティア、お願い!」
「オレにも頼むぜ!」
ほら、やっぱり。
二人はすごく優しいんだ。
「ワレも役に立てるのか···?」
ファムとテムからも頼まれて、ティアからしょんぼりの空気が散り消える。
「ぼく、料理は初めてだから、クリーンをかける余裕がないんだー。だから、ティアが気づいたときにかけてくれると本当に助かるよー」
「オレも!実際、さっき忘れてたしよ!だからティア、頼むぜ!」
「わ、分かったのだ!クリーンは、ワレに任せるのだ!」
頼りにされるって、嬉しいものだ。
ティアもそうなのだろう。任せて!と胸を張りながらも、尻尾がフリフリ揺れている。
参加の形は、色々ある。それぞれができること、得意なこと、やりたいことで、誰かの役に立てるなら、それで十分だ。
こうして、全員参加のジルズキッチンが始まった。
31
お気に入りに追加
5,855
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅
散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー
2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。
人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。
主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m
喜んだらレベルとステータス引き継いで最初から~あなたの異世界召喚物語~
中島健一
ファンタジー
[ルールその1]喜んだら最初に召喚されたところまで戻る
[ルールその2]レベルとステータス、習得したスキル・魔法、アイテムは引き継いだ状態で戻る
[ルールその3]一度経験した喜びをもう一度経験しても戻ることはない
17歳高校生の南野ハルは突然、異世界へと召喚されてしまった。
剣と魔法のファンタジーが広がる世界
そこで懸命に生きようとするも喜びを満たすことで、初めに召喚された場所に戻ってしまう…レベルとステータスはそのままに
そんな中、敵対する勢力の魔の手がハルを襲う。力を持たなかったハルは次第に魔法やスキルを習得しレベルを上げ始める。初めは倒せなかった相手を前回の世界線で得た知識と魔法で倒していく。
すると世界は新たな顔を覗かせる。
この世界は何なのか、何故ステータスウィンドウがあるのか、何故自分は喜ぶと戻ってしまうのか、神ディータとは、或いは自分自身とは何者なのか。
これは主人公、南野ハルが自分自身を見つけ、どうすれば人は成長していくのか、どうすれば今の自分を越えることができるのかを学んでいく物語である。
なろうとカクヨムでも掲載してまぁす
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる