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最果ての森編
53. 言質
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お昼ごはんを食べてお喋りを楽しんだ後は、魔法の練習だ。みんなで家の外に出る。
「来たときも思ったけど、ガラスの壁がいっぱいだねー」
「だな!キラキラだぜ!」
そう、僕の作品だ。土壁の残骸とも言える。ジルは消さないし、ガラスに魔法をぶつけるのは危ないので、そのまま放置していたのだ。このままだと風化を待つしかないのだが···まあ、いつか、何かしらの魔法の的として有効活用できるかもしれない。
「これ、もともとはアースウォールだよねー?なんでこんなになっちゃったのー?」
そりゃ、気になるよね。
「···ふぁいあしょっと」
正直に白状しながら、このシーン、既視感があるなと思った。ああ、そういえばライに白状して再現することになったんだっけ。
「あはは!ウィルくん、ファイアショットで融かしちゃったのー?すごいねー!」
「んん?なんでファイアショットで、アースウォールがガラスになるんだ?」
ファムは分かったようだが、テムが首を傾げている。
「ふふ、ウィル君、やって見せてあげたら?」
僕は再び、再現することになった。···ライの笑顔の圧力に屈したわけでは、決してない。
「あははは!ウィルくん、すごいねー!面白いねー!」
「すげーな!火の色が違うぜ!熱いと白くなんのか!?」
もっと熱いと、青くなるよ。そう思ったが、思うだけにとどめる。言うと大変なことになりそうだ。
「ぼくたちも練習しよー!」
「だな!ジルの黒いのもいいけどよ、白い火もカッコイイな!」
二人は早速アースウォールを作って練習を始める。
「ふふ、他にも色々面白い魔法があるよね。教えたら、二人とも喜んで練習しそうだね」
ライの言葉に、ここ最近習得した魔法を思い出す。そういえば、見えない光の弾でライにダメージを与えたこともあったな···。あれは、本当にすまないことをしたと思っている。
「ふふ、それは後にして、ウィル君は新しい魔法を練習しようか」
おお!次の魔法はなんだろうか。
「今日習得してもらうのはね、風属性の魔法だよ」
ライの得意属性だ!
「風の刃を飛ばす魔法だよ。『風刃』」
ライが魔法名を唱えると、ザシュッと音がした。目の前にある木を見たら、鋭い刃物でスパッと切られたような跡が残っている。
「スピードはウィンドショットほど速くはないし、貫通力もないんだけどね、これは『切る』ことに適した魔法だよ」
なるほど。一点集中はショット系の魔法がいいけど、切りたいときにはウィンドカッターが最適だ。上手く使い分けることも大事だよね。
切る···切り落とす?そういえば、ゴブリン狩りのときにファムがゴブリンの首をスパッと切り落としていた気がする。あれは、この魔法だったのだろうか。···ウィンドカッターを覚えたら、僕もスパッと出来るようになるのかな。
「『風刃』」
ちょっとおよび腰で撃ったせいか、あまり木に跡が残らなかった。魔力が少なかったのか、イメージがふわっとしてしまったのか。ううむ、ちゃんとしなくては。
スパッと、スパッと首を切る。···うへえ。···いやいや、諦めちゃだめだ。···スパッと!
「『風刃』!」
今度はザシュッといい音がして、幹が大きく傷付いた。よし、なかなかいい感じだ。
もっと鋭い刃をイメージしよう。あ、丸い刃を回転させるのはどうだろうか。回転によって切断力が高まりそうだ。
この勢いで魔法を放ちそうになって、踏みとどまる。僕は学んだんだ。もし、もしもだよ?木の幹を完全に切断するほどの威力になったら、木が倒れるよね?危ないよね?
僕はライを見る。
「うん?どうしたんだい?いい調子でウィンドカッターを撃ててたよ?」
「あうあう」
木が倒れる絵を地面に描いて説明する。
「ふふふ、何か思いついたんだね。大丈夫だよ。木が倒れそうになったら、私が対処するからね」
よし、言質はとったぞ。これで心置きなく魔法を放てる。
鋭い風の刃がぎゅるぎゅると回転するのをイメージする。魔力をしっかり込めて、魔法名を唱える。
「『風刃』!!」
ザザシュッ、ザシュッと音がした。
「ああ、やっぱり!そうだよね!一本だけなわけ、ないよね!」
ライが二本の木を、何かの魔法で地面にそっと置く。
「ふふふ、急に威力が上がったけど、どうしてかな?」
笑顔を浮かべるライの後ろの木が、ぐらぐらしている。
「りゃい!」
慌てて後ろを指して知らせる。
「うん?···うわっ!」
目の前に横たわる三本の木。
「ふふふ、二本でもなかったね」
で、でも、対処するって言ってくれたよね?本数までは言及してなかったけど。
あわあわしていると、テムとファムがこちらへ来た。
「あ、ウィルくん、ウィンドカッターの練習してたのー?」
「ウィルも木を切ったのか!」
うん?『も』ってどういうことだろうか。
「ファムもな、木を切るの上手いんだぜ!この家の辺りの木を切り倒したのは、ファムなんだぜ!」
あ、そういえばそんな話を聞いたな。遊びで木をたくさん切り倒したって。
「あはは!ウィンドカッター、楽しいよねー!」
そう言いながら、ザシュッと木を切るファム。
目の前に横たわる四本の木。
「あははは!」
ザシュッ、ザシュッと音がする。
···今日、敷地がちょっと広くなりそうだ。
「来たときも思ったけど、ガラスの壁がいっぱいだねー」
「だな!キラキラだぜ!」
そう、僕の作品だ。土壁の残骸とも言える。ジルは消さないし、ガラスに魔法をぶつけるのは危ないので、そのまま放置していたのだ。このままだと風化を待つしかないのだが···まあ、いつか、何かしらの魔法の的として有効活用できるかもしれない。
「これ、もともとはアースウォールだよねー?なんでこんなになっちゃったのー?」
そりゃ、気になるよね。
「···ふぁいあしょっと」
正直に白状しながら、このシーン、既視感があるなと思った。ああ、そういえばライに白状して再現することになったんだっけ。
「あはは!ウィルくん、ファイアショットで融かしちゃったのー?すごいねー!」
「んん?なんでファイアショットで、アースウォールがガラスになるんだ?」
ファムは分かったようだが、テムが首を傾げている。
「ふふ、ウィル君、やって見せてあげたら?」
僕は再び、再現することになった。···ライの笑顔の圧力に屈したわけでは、決してない。
「あははは!ウィルくん、すごいねー!面白いねー!」
「すげーな!火の色が違うぜ!熱いと白くなんのか!?」
もっと熱いと、青くなるよ。そう思ったが、思うだけにとどめる。言うと大変なことになりそうだ。
「ぼくたちも練習しよー!」
「だな!ジルの黒いのもいいけどよ、白い火もカッコイイな!」
二人は早速アースウォールを作って練習を始める。
「ふふ、他にも色々面白い魔法があるよね。教えたら、二人とも喜んで練習しそうだね」
ライの言葉に、ここ最近習得した魔法を思い出す。そういえば、見えない光の弾でライにダメージを与えたこともあったな···。あれは、本当にすまないことをしたと思っている。
「ふふ、それは後にして、ウィル君は新しい魔法を練習しようか」
おお!次の魔法はなんだろうか。
「今日習得してもらうのはね、風属性の魔法だよ」
ライの得意属性だ!
「風の刃を飛ばす魔法だよ。『風刃』」
ライが魔法名を唱えると、ザシュッと音がした。目の前にある木を見たら、鋭い刃物でスパッと切られたような跡が残っている。
「スピードはウィンドショットほど速くはないし、貫通力もないんだけどね、これは『切る』ことに適した魔法だよ」
なるほど。一点集中はショット系の魔法がいいけど、切りたいときにはウィンドカッターが最適だ。上手く使い分けることも大事だよね。
切る···切り落とす?そういえば、ゴブリン狩りのときにファムがゴブリンの首をスパッと切り落としていた気がする。あれは、この魔法だったのだろうか。···ウィンドカッターを覚えたら、僕もスパッと出来るようになるのかな。
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ちょっとおよび腰で撃ったせいか、あまり木に跡が残らなかった。魔力が少なかったのか、イメージがふわっとしてしまったのか。ううむ、ちゃんとしなくては。
スパッと、スパッと首を切る。···うへえ。···いやいや、諦めちゃだめだ。···スパッと!
「『風刃』!」
今度はザシュッといい音がして、幹が大きく傷付いた。よし、なかなかいい感じだ。
もっと鋭い刃をイメージしよう。あ、丸い刃を回転させるのはどうだろうか。回転によって切断力が高まりそうだ。
この勢いで魔法を放ちそうになって、踏みとどまる。僕は学んだんだ。もし、もしもだよ?木の幹を完全に切断するほどの威力になったら、木が倒れるよね?危ないよね?
僕はライを見る。
「うん?どうしたんだい?いい調子でウィンドカッターを撃ててたよ?」
「あうあう」
木が倒れる絵を地面に描いて説明する。
「ふふふ、何か思いついたんだね。大丈夫だよ。木が倒れそうになったら、私が対処するからね」
よし、言質はとったぞ。これで心置きなく魔法を放てる。
鋭い風の刃がぎゅるぎゅると回転するのをイメージする。魔力をしっかり込めて、魔法名を唱える。
「『風刃』!!」
ザザシュッ、ザシュッと音がした。
「ああ、やっぱり!そうだよね!一本だけなわけ、ないよね!」
ライが二本の木を、何かの魔法で地面にそっと置く。
「ふふふ、急に威力が上がったけど、どうしてかな?」
笑顔を浮かべるライの後ろの木が、ぐらぐらしている。
「りゃい!」
慌てて後ろを指して知らせる。
「うん?···うわっ!」
目の前に横たわる三本の木。
「ふふふ、二本でもなかったね」
で、でも、対処するって言ってくれたよね?本数までは言及してなかったけど。
あわあわしていると、テムとファムがこちらへ来た。
「あ、ウィルくん、ウィンドカッターの練習してたのー?」
「ウィルも木を切ったのか!」
うん?『も』ってどういうことだろうか。
「ファムもな、木を切るの上手いんだぜ!この家の辺りの木を切り倒したのは、ファムなんだぜ!」
あ、そういえばそんな話を聞いたな。遊びで木をたくさん切り倒したって。
「あはは!ウィンドカッター、楽しいよねー!」
そう言いながら、ザシュッと木を切るファム。
目の前に横たわる四本の木。
「あははは!」
ザシュッ、ザシュッと音がする。
···今日、敷地がちょっと広くなりそうだ。
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