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最果ての森編
39. ライの努力
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たくさんの壁に高速で跳ね返りながら笑い声をあげているファムを眺める。この遊び、スライムボディじゃないとできないよな。僕もふわふわボディの持ち主だが、さすがにあれは真似できない。別の遊びを楽しむことにしよう。
···はっ!そうだ!つい遊び心に誘われて、当初の予定を忘れるところだった。
「『土壁』」
少し離れたところに壁を作る。そしてそれに向けて、アースショットを放った。
「『土弾』」
ドスッという音がしたので見てみると、弾が壁に食い込んでいた。貫通してない!よし、もうちょっと多めに魔力を込めよう。
「『土弾』!」
今度はドスッと音がして、穴が空いた。弾は壁を抜けた後、ぽとりと落ちた。いい感じた!この壁には、これ以上アースショットに魔力を込める必要はないだろう。
「おお?ウィル、穴空けようとしてんのかー?オレもやってみたいぜ!」
テムが興味を持ったようだ。さっき、楽しく遊んでいるファムを見て、羨ましそうだったからな。君がソワソワしてたの、ちゃんと気づいてたよ。
どうぞ、と場所を譲る。
「うおお!『土弾』!」
テムが気合いを込めて魔法を放つ。ビュンッとものすごい速さで発射された弾は、壁を貫き地面にめり込んだ。
「ブハハ!よっしゃあ!穴空けてやったぜ!」
テムがイキイキしている。ぐぬぬ。ちょっと悔しいぞ。
「んん!『土壁』!」
今度はぎゅーーーっと念入りに固めて、厚さも増やした。ふはは、これならどうだ。
「うおー!やってやるぜ!『土弾』!」
今度はさらに速い!ドガッと音がして、土煙が舞う。じっと目を凝らして晴れるのを待つ。···やった!貫通してない!ふはははは!
「ブハハ!やるなーウィル!すげー堅さだぜ!」
「あうあう」
いや、君のアースショットもなかなか速かったよ、とお互いに讃え合う。
「ふふふ、君達、楽しそうだね」
あ、ライ···。
ライの近くには、壁がいくつもあった。ちょっとずつ色が濃くなっている。ライの頑張りを感じるとても綺麗なグラデーションだ、と思った。
「ふふふ、アースウォールも上出来だよ。むしろ私より、上手だよ。ふふふ、それじゃあ、次に進もうか」
なんだかライが暗黒面に落ちそうな雰囲気だ。ライが丁寧に教えてくれるから、僕はすぐに理解できるんだよ!ライがいないと、他に誰がちゃんとした言葉で教えてくれるんだ!
それを伝えたくて、思わずライの足にがしっとしがみつく。
「うん?どうしたんだい、ウィル君?」
どう伝えればいいんだ。
「おちえる、うりぇちい、あいあと」
教えてもらえるの、嬉しいよ、ありがとうって、言いたかったんだ。たどたどしいけど、分かってもらえたかな···?
「あ、···そうだね。教えることは、私が得意だからね。ふふ、ウィル君、ありがとう」
ライが頭を撫でてくれる。ああ、良かった。伝わった。ライの纏う空気がいつもの穏やかなものに戻って安心する。ほっとしていると、ジルがこちらへ来た。
「ライ、お前は俺やテム、ファムにはないものを持っている。···俺達は、お前を尊敬している」
「ジル···!」
おお。なんとも感動的なシーンだ。イケメン二人がこんなセリフを言うと、ドラマを観ているような気分になる。
「んん?ライ、落ち込んでたのか?お前、オレよりずっと頭いいのによー、なんでだ?」
「ライはすごいよー!頑張り屋さんで、とっても優しいよー!」
テムとファムも集まってきた。
「みんな···、ありがとう」
ライはみんなのことをすごいって思っているみたいだけど、みんなもライのいいところ、いっぱい知ってるんだ。こんなふうにお互いに尊敬し合える関係って、すごく素敵だ。僕もいつか、こんな友達ができたらいいな。そう思っていると、ライがしゃがんで目線を合わせ、頭を撫でてくれた。
「ふふ、ウィル君のおかげだね。本当に嬉しいよ、ありがとう」
嬉しいと思ってもらえて、嬉しい。でもこれは、今までライが頑張ってきたからこそなんだ。だから僕は背伸びをして、ライの頭を撫でた。
「ウィル君···!」
ライが一瞬目を見開いて驚き、がばっと僕を抱きしめた。
「ふふ、頑張って良かったなって、ウィル君に出会えて良かったなって、すごく思うよ」
僕も、ライに出会えて良かったよ。
「あのね、ぼくねー、みんなと友達になれて、とっても嬉しいよー!」
ファムがぽんぽん跳ねながら言う。
「オ、オレもだぜ!」
テムがちょっと顔を赤くしている。照れ屋さんかな?
「俺もだ」
エメラルドの瞳が優しい。ああ、みんな、最高だ。僕もこんなに素敵な人達と出会えて、本当に良かった。
「あう!」
だから僕も、ライにぎゅっと抱きついて元気良く同意した。
「ふふ、思いがけずみんなから元気をもらっちゃったよ」
スッキリした顔でライが立ち上がる。
「私は本当にいい仲間を持ったよ。ウィル君も、これからもよろしくね」
「あう!」
もちろんだよ!
「ふふ、ありがとう。ウィル君に魔法を教えるのはすごく楽しいよ。毎回面白いものを見せてくれるからね」
僕は、魔法そのものが面白い。前世にはなかったものだからね。
「魔法の練習ってね、最初は魔力が足りなくて不発に終わることも多いんだけどね。ウィル君はもともと魔力が多いし、魔力操作も出来るから、こんなに習得がスムーズなのかもしれないね」
最初に魔力操作を教えてくれたライに感謝だ。
「こんなに改良できるのは、豊富な魔力と前世の知識のおかげかな?ウィル君は、この世界の常識では思いつかないような発想をするからね。ふふ、ライトに色をつけたりとか」
そうなのか。まあ、そういうものなのかもしれない。僕は自分自身がクリエイティブだとは思わない。前世の記憶がなければ、投げライトなんて作らなかった可能性が高い。
「ふふ、それじゃあもう一つ、新しい魔法の練習をしようか」
おお!嬉しい!新しい魔法には、いつだってわくわくする。
···ところで、この世界にはドラマとか映画とかってないのだろうか。ジルとライがダブル主演する友情物語のDVDなんかあれば、何がなんでも絶対に手に入れるのに。
···はっ!そうだ!つい遊び心に誘われて、当初の予定を忘れるところだった。
「『土壁』」
少し離れたところに壁を作る。そしてそれに向けて、アースショットを放った。
「『土弾』」
ドスッという音がしたので見てみると、弾が壁に食い込んでいた。貫通してない!よし、もうちょっと多めに魔力を込めよう。
「『土弾』!」
今度はドスッと音がして、穴が空いた。弾は壁を抜けた後、ぽとりと落ちた。いい感じた!この壁には、これ以上アースショットに魔力を込める必要はないだろう。
「おお?ウィル、穴空けようとしてんのかー?オレもやってみたいぜ!」
テムが興味を持ったようだ。さっき、楽しく遊んでいるファムを見て、羨ましそうだったからな。君がソワソワしてたの、ちゃんと気づいてたよ。
どうぞ、と場所を譲る。
「うおお!『土弾』!」
テムが気合いを込めて魔法を放つ。ビュンッとものすごい速さで発射された弾は、壁を貫き地面にめり込んだ。
「ブハハ!よっしゃあ!穴空けてやったぜ!」
テムがイキイキしている。ぐぬぬ。ちょっと悔しいぞ。
「んん!『土壁』!」
今度はぎゅーーーっと念入りに固めて、厚さも増やした。ふはは、これならどうだ。
「うおー!やってやるぜ!『土弾』!」
今度はさらに速い!ドガッと音がして、土煙が舞う。じっと目を凝らして晴れるのを待つ。···やった!貫通してない!ふはははは!
「ブハハ!やるなーウィル!すげー堅さだぜ!」
「あうあう」
いや、君のアースショットもなかなか速かったよ、とお互いに讃え合う。
「ふふふ、君達、楽しそうだね」
あ、ライ···。
ライの近くには、壁がいくつもあった。ちょっとずつ色が濃くなっている。ライの頑張りを感じるとても綺麗なグラデーションだ、と思った。
「ふふふ、アースウォールも上出来だよ。むしろ私より、上手だよ。ふふふ、それじゃあ、次に進もうか」
なんだかライが暗黒面に落ちそうな雰囲気だ。ライが丁寧に教えてくれるから、僕はすぐに理解できるんだよ!ライがいないと、他に誰がちゃんとした言葉で教えてくれるんだ!
それを伝えたくて、思わずライの足にがしっとしがみつく。
「うん?どうしたんだい、ウィル君?」
どう伝えればいいんだ。
「おちえる、うりぇちい、あいあと」
教えてもらえるの、嬉しいよ、ありがとうって、言いたかったんだ。たどたどしいけど、分かってもらえたかな···?
「あ、···そうだね。教えることは、私が得意だからね。ふふ、ウィル君、ありがとう」
ライが頭を撫でてくれる。ああ、良かった。伝わった。ライの纏う空気がいつもの穏やかなものに戻って安心する。ほっとしていると、ジルがこちらへ来た。
「ライ、お前は俺やテム、ファムにはないものを持っている。···俺達は、お前を尊敬している」
「ジル···!」
おお。なんとも感動的なシーンだ。イケメン二人がこんなセリフを言うと、ドラマを観ているような気分になる。
「んん?ライ、落ち込んでたのか?お前、オレよりずっと頭いいのによー、なんでだ?」
「ライはすごいよー!頑張り屋さんで、とっても優しいよー!」
テムとファムも集まってきた。
「みんな···、ありがとう」
ライはみんなのことをすごいって思っているみたいだけど、みんなもライのいいところ、いっぱい知ってるんだ。こんなふうにお互いに尊敬し合える関係って、すごく素敵だ。僕もいつか、こんな友達ができたらいいな。そう思っていると、ライがしゃがんで目線を合わせ、頭を撫でてくれた。
「ふふ、ウィル君のおかげだね。本当に嬉しいよ、ありがとう」
嬉しいと思ってもらえて、嬉しい。でもこれは、今までライが頑張ってきたからこそなんだ。だから僕は背伸びをして、ライの頭を撫でた。
「ウィル君···!」
ライが一瞬目を見開いて驚き、がばっと僕を抱きしめた。
「ふふ、頑張って良かったなって、ウィル君に出会えて良かったなって、すごく思うよ」
僕も、ライに出会えて良かったよ。
「あのね、ぼくねー、みんなと友達になれて、とっても嬉しいよー!」
ファムがぽんぽん跳ねながら言う。
「オ、オレもだぜ!」
テムがちょっと顔を赤くしている。照れ屋さんかな?
「俺もだ」
エメラルドの瞳が優しい。ああ、みんな、最高だ。僕もこんなに素敵な人達と出会えて、本当に良かった。
「あう!」
だから僕も、ライにぎゅっと抱きついて元気良く同意した。
「ふふ、思いがけずみんなから元気をもらっちゃったよ」
スッキリした顔でライが立ち上がる。
「私は本当にいい仲間を持ったよ。ウィル君も、これからもよろしくね」
「あう!」
もちろんだよ!
「ふふ、ありがとう。ウィル君に魔法を教えるのはすごく楽しいよ。毎回面白いものを見せてくれるからね」
僕は、魔法そのものが面白い。前世にはなかったものだからね。
「魔法の練習ってね、最初は魔力が足りなくて不発に終わることも多いんだけどね。ウィル君はもともと魔力が多いし、魔力操作も出来るから、こんなに習得がスムーズなのかもしれないね」
最初に魔力操作を教えてくれたライに感謝だ。
「こんなに改良できるのは、豊富な魔力と前世の知識のおかげかな?ウィル君は、この世界の常識では思いつかないような発想をするからね。ふふ、ライトに色をつけたりとか」
そうなのか。まあ、そういうものなのかもしれない。僕は自分自身がクリエイティブだとは思わない。前世の記憶がなければ、投げライトなんて作らなかった可能性が高い。
「ふふ、それじゃあもう一つ、新しい魔法の練習をしようか」
おお!嬉しい!新しい魔法には、いつだってわくわくする。
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