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最果ての森編
26. 周辺国家
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「この森についてはこれくらいにして、次はその周辺について説明するよ」
僕が特大ライトの必要性について考察を深めていると、ライが説明を始めた。まずは説明を聞こう。とりあえず、考察は後だ。
「この森の周辺にある国は、四つ。どこも大国だよ。まず、森の東にあるのがブラムス王国。ここはもう三百年以上続いている国でね、ブラムス君が自分の小さな村を発展させて治めるようになったのが始まりなんだ。今じゃこんなに大きくなったんだよ」
···ブラムス君?まるで知り合いみたいだし、子供の成長を喜ぶ大人のような台詞だ。そういえば、聞きそびれてたけどライって何歳なんだ?他のみんなの年齢も全然知らない。
今の話だと、最低でも三百歳···?こんな爽やかなイケメンが三百歳超えとか、詐欺にもほどがあるだろう。
「今のブラムス王国の印象は、優等生って感じかな。農業や産業などが盛んで豊かな国だし、長く続く大国というだけあって発言力があるんだ。多くの国と国交があるから、この国で手に入らない物はほとんどないと言われているんだよ」
ほえー、行ってみたくなるような国だ。
「ふふ、興味がありそうだね。もう少し大きくなったら、行ってみるかい?」
おお!行きたい!
これは、外国へ旅行するってことになるのか?前世も含めて初めてだ!
「あう!」
「俺も行くぞ」
「ふふ、もちろん保護者同伴だよ。楽しみだね」
「あうあう!」
これは、家族旅行ということだよね?家族旅行!うんうん、いい響きだ。これも初めてだから、楽しみ過ぎてニヤけが止まらない。
「ふふ、ウィル君、いい笑顔だね」
ニヤけ顔を褒められた。これは、ただし赤ん坊に限るというやつだろうか。
「話が脱線したね。次は森の南にある、ファージュルム王国。最果ての森から二本、大きな川が流れているのは分かるかい?」
あ、ほんとだ。森から南東に向かって一本、そして南に向かって一本、大きな川がある。
「この二本の大河に挟まれた国が、ファージュルム王国だよ。イメージは、気の良い友人といった感じかな。森から南東に流れる川をブラムス王国との国境としていて、両国の仲は非常に良いんだ。この川の数か所に橋が架かっていてね、そこを使って交流が盛んに行われているよ。もちろん海からも来れるけどね」
ほうほう。国を渡るのに船が必要ないのは、楽でいいな。大量の物資を運ぶときは、船で海を渡るのかもしれない。
「ファージュルム王国は、温暖な気候を利用した農業が盛んなんだ。この国でしか栽培できない野菜や果物がたくさんあるんだよ」
南国の果物って美味しいよなあ。友達にひと切れもらって食べたマンゴーを思い出す。明るい色で、甘くて、元気をもらえる果物だ。
「そして森の北にあるのが、イルキーヤ帝国。この森から北東の方向に続く山脈を、ブラムス王国との国境にしてるんだ。イメージは、そうだなあ、リーダーシップをとりたい人、かなあ」
ふむ。『とりたい人』ってことは、実際はリーダーシップがとれていないのだろうか。
「さっきも言ったように、ブラムス王国は豊かで発言力がある国でね、イルキーヤ帝国はそれに対抗心があるみたいなんだ。この大陸では国土面積が一番広いし歴史も長いから、自分こそが一番の国なんだってプライドがあるのかもね」
うーん、面倒くさそうな国だな。
「イルキーヤ帝国は、北にあるいくつもの部族や小国をまとめ上げてできた国なんだ。寒い地域が多いから、農業より産業の方が盛んかな。あと、ブラムス王国との国境の山脈から鉱石が採れるから、その鉱石や加工品を他国に売ることでかなりの利益を出しているようだよ」
他国にない資源があるのは、かなりの強みになるのだろう。でも天然資源は永遠ではないから、他の強みも必要になってくる。そんな焦りも、対抗心につながっているのだろうか。
「そして四つ目の国は、森の西にあるウィオラウス神聖国。四つの国の中では、唯一海に面していない国だね。この国は、創造神ウィオーラを唯一神とする宗教国家だよ。この大陸で、ウィオーラ教の信者の数は他の宗教と比べて断トツに多いんだ。この国のイメージは、うーん、一言で言うのは難しいけど、あえて言うなら商売上手、かな。でもまあ信者にも色んな人がいるからね」
リイン様とは別の神様なのか。宗教国家が商売上手とは、これいかに。
「この国には、私もあまり行ったことがないから詳しいことは知らないんだけどね。そうだなあ、聖水の値段が高いってぼやいてる人はいたよ。聖水は宗教的な行事に使われるし、アンデッドの魔物によく効くんだ。それでね、ウィオラウス神聖国は聖水の作製方法を秘匿しているんだ。光属性の上級魔法を使うのだろうとは言われているけど、詳細は分からないし、上級魔法自体が難しいからね。そして作った聖水を外部に高く売っているようだよ」
情報を漏らさず競合相手を作らない。聖水に関しては、市場を独占しているのか。
「これが、森の周辺国家についての大まかな説明だよ。ただし、国のイメージなんかは完全に私の主観だから、参考程度に留めておくこと。私は全てを知っている訳ではないし、国には色んな側面があるからね。ウィル君が大きくなって、自分で実際に見て聞いて、判断するといいよ」
「あう」
それもそうだ。立場が変われば、見方や考え方だって変わるものだ。
「いつか、この大陸を旅するのも面白いかもね。他にも面白い国や地域はいっぱいあるし、ウィル君にはこの世界のことをたくさん知ってもらいたいな」
「あうあう!」
僕も知りたい!というか、世界を旅するとか、なんだかかっこいい。僕に出来るだろうか。そのとき、ジルはそばにいてくれるのだろうか。ちょっと不安になって、ジルを見る。
「お前が必要とするなら、俺は一緒にいる」
···おっと。イケメン過ぎて鼻血が出るかと思った。僕も言ってみたい、このセリフ。いやでも、ただしイケメンに限るというやつだろうか。
「ふふ、ジルは子離れできそうにないね」
「俺の方からは離れないだけだ」
僕は鼻を押さえた。
僕が特大ライトの必要性について考察を深めていると、ライが説明を始めた。まずは説明を聞こう。とりあえず、考察は後だ。
「この森の周辺にある国は、四つ。どこも大国だよ。まず、森の東にあるのがブラムス王国。ここはもう三百年以上続いている国でね、ブラムス君が自分の小さな村を発展させて治めるようになったのが始まりなんだ。今じゃこんなに大きくなったんだよ」
···ブラムス君?まるで知り合いみたいだし、子供の成長を喜ぶ大人のような台詞だ。そういえば、聞きそびれてたけどライって何歳なんだ?他のみんなの年齢も全然知らない。
今の話だと、最低でも三百歳···?こんな爽やかなイケメンが三百歳超えとか、詐欺にもほどがあるだろう。
「今のブラムス王国の印象は、優等生って感じかな。農業や産業などが盛んで豊かな国だし、長く続く大国というだけあって発言力があるんだ。多くの国と国交があるから、この国で手に入らない物はほとんどないと言われているんだよ」
ほえー、行ってみたくなるような国だ。
「ふふ、興味がありそうだね。もう少し大きくなったら、行ってみるかい?」
おお!行きたい!
これは、外国へ旅行するってことになるのか?前世も含めて初めてだ!
「あう!」
「俺も行くぞ」
「ふふ、もちろん保護者同伴だよ。楽しみだね」
「あうあう!」
これは、家族旅行ということだよね?家族旅行!うんうん、いい響きだ。これも初めてだから、楽しみ過ぎてニヤけが止まらない。
「ふふ、ウィル君、いい笑顔だね」
ニヤけ顔を褒められた。これは、ただし赤ん坊に限るというやつだろうか。
「話が脱線したね。次は森の南にある、ファージュルム王国。最果ての森から二本、大きな川が流れているのは分かるかい?」
あ、ほんとだ。森から南東に向かって一本、そして南に向かって一本、大きな川がある。
「この二本の大河に挟まれた国が、ファージュルム王国だよ。イメージは、気の良い友人といった感じかな。森から南東に流れる川をブラムス王国との国境としていて、両国の仲は非常に良いんだ。この川の数か所に橋が架かっていてね、そこを使って交流が盛んに行われているよ。もちろん海からも来れるけどね」
ほうほう。国を渡るのに船が必要ないのは、楽でいいな。大量の物資を運ぶときは、船で海を渡るのかもしれない。
「ファージュルム王国は、温暖な気候を利用した農業が盛んなんだ。この国でしか栽培できない野菜や果物がたくさんあるんだよ」
南国の果物って美味しいよなあ。友達にひと切れもらって食べたマンゴーを思い出す。明るい色で、甘くて、元気をもらえる果物だ。
「そして森の北にあるのが、イルキーヤ帝国。この森から北東の方向に続く山脈を、ブラムス王国との国境にしてるんだ。イメージは、そうだなあ、リーダーシップをとりたい人、かなあ」
ふむ。『とりたい人』ってことは、実際はリーダーシップがとれていないのだろうか。
「さっきも言ったように、ブラムス王国は豊かで発言力がある国でね、イルキーヤ帝国はそれに対抗心があるみたいなんだ。この大陸では国土面積が一番広いし歴史も長いから、自分こそが一番の国なんだってプライドがあるのかもね」
うーん、面倒くさそうな国だな。
「イルキーヤ帝国は、北にあるいくつもの部族や小国をまとめ上げてできた国なんだ。寒い地域が多いから、農業より産業の方が盛んかな。あと、ブラムス王国との国境の山脈から鉱石が採れるから、その鉱石や加工品を他国に売ることでかなりの利益を出しているようだよ」
他国にない資源があるのは、かなりの強みになるのだろう。でも天然資源は永遠ではないから、他の強みも必要になってくる。そんな焦りも、対抗心につながっているのだろうか。
「そして四つ目の国は、森の西にあるウィオラウス神聖国。四つの国の中では、唯一海に面していない国だね。この国は、創造神ウィオーラを唯一神とする宗教国家だよ。この大陸で、ウィオーラ教の信者の数は他の宗教と比べて断トツに多いんだ。この国のイメージは、うーん、一言で言うのは難しいけど、あえて言うなら商売上手、かな。でもまあ信者にも色んな人がいるからね」
リイン様とは別の神様なのか。宗教国家が商売上手とは、これいかに。
「この国には、私もあまり行ったことがないから詳しいことは知らないんだけどね。そうだなあ、聖水の値段が高いってぼやいてる人はいたよ。聖水は宗教的な行事に使われるし、アンデッドの魔物によく効くんだ。それでね、ウィオラウス神聖国は聖水の作製方法を秘匿しているんだ。光属性の上級魔法を使うのだろうとは言われているけど、詳細は分からないし、上級魔法自体が難しいからね。そして作った聖水を外部に高く売っているようだよ」
情報を漏らさず競合相手を作らない。聖水に関しては、市場を独占しているのか。
「これが、森の周辺国家についての大まかな説明だよ。ただし、国のイメージなんかは完全に私の主観だから、参考程度に留めておくこと。私は全てを知っている訳ではないし、国には色んな側面があるからね。ウィル君が大きくなって、自分で実際に見て聞いて、判断するといいよ」
「あう」
それもそうだ。立場が変われば、見方や考え方だって変わるものだ。
「いつか、この大陸を旅するのも面白いかもね。他にも面白い国や地域はいっぱいあるし、ウィル君にはこの世界のことをたくさん知ってもらいたいな」
「あうあう!」
僕も知りたい!というか、世界を旅するとか、なんだかかっこいい。僕に出来るだろうか。そのとき、ジルはそばにいてくれるのだろうか。ちょっと不安になって、ジルを見る。
「お前が必要とするなら、俺は一緒にいる」
···おっと。イケメン過ぎて鼻血が出るかと思った。僕も言ってみたい、このセリフ。いやでも、ただしイケメンに限るというやつだろうか。
「ふふ、ジルは子離れできそうにないね」
「俺の方からは離れないだけだ」
僕は鼻を押さえた。
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