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最果ての森編
23. ライトの検証
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心地良い眠りから目を覚ました。
窓から差し込んでくる光で、どうやらがっつり寝てしまったようだと気づく。
自分の部屋に戻っているから、ジルが寝かせてくれたのだろう。ほんと、どこまでもイケメンだ。
何をして過ごそうかなと考えていると、体内の魔力量が昨日より増えていることに気づいた。今朝、僕がやらかしてしまったせいだ。
これが今の最大量なのだろうか。どこまで増えるか分からないし、また吸魔石を使うような状態にはなりたくないから、魔力を消費するとしよう。
今、使える魔法は一つ。
「『灯』」
指先に光を灯す。うんうん、かなり慣れてきたぞ。
あ、これって、体から離せないのかな?アースショットは手から飛び出したんだし、できないことはないんじゃないか。
光る指先をぶんぶん振っても、光は離れない。むう。やはり最初のイメージが大事なのだろうか。
集めた魔力を指先から外に出すイメージで、魔法名を唱える。
「『灯』」
すると光がポロンと指先から落ち、すぐに消える。
おお、離れた!でもすぐに消えたな。持続しないと不便だ。もう少し多めの魔力で固めるイメージをしてみたらどうだろうか。
「『灯』」
今度はポロンと落ちた光がそのまま輝き、しばらくして消える。成功だ!もっと多めにギュッと固めてみよう。
「『灯』」
また光が持続し、···さっきどれくらい続いたっけ?今回の方が長く光っている気がする。うん、きっとそうだ。
よし、今度は光を大きくしてみよう。暗闇を明るく照らす大きな光をイメージする。大きな光だから、魔力マシマシでやってみよう。
このとき僕はノリノリだった。ノリノリで、魔力をたくさん使った。使ってしまったんだ。
「『灯』」
途端にピカーッと眩しい光が僕の目を襲う。やばい!目がやばい!
急いで布団を被り、ぎゅっと目を閉じる。あ、危なかった。誰だよ攻撃力がないなんて言ったのは···。色白イケメン許すまじ。
完全な逆恨みだが、これくらい許してほしい。僕の目にダメージを与えたのだ。僕のせいだが。
あ、そうだ。某アニメでの大佐の有名なあのセリフ、言ってみたかったな。
···今度ライにやってあげよう。
ようやく光が消えた部屋でフフフ、と黒い笑みを浮かべていると、ジルが入ってきた。
「さっきから魔力が動いているなとは思っていたが···最後のは何をやったんだ?」
ちょっと、いやかなり多めに魔力を使ったから、心配させたようだ。でも、言えない。調子に乗って自爆したなんて、とても言えない。
はっ!そうだ!僕は喋れないんだ!
「あう~」
ニコニコ笑って誤魔化す。
「···何ともないならいい」
イケメンは、僕の下手な笑顔に誤魔化されてくれた。
「夕飯を作っているが、もう少しかかる。ここで待ってるか?」
どうやら料理を中断させてしまったようだ。申し訳ない。
一人でいてもつまらないから、リビングへ行ってもいいだろうか。
「あうあう」
ジルの方に両手を伸ばす。
「そうか」
エメラルドの瞳が優しく揺れる。
ジルが僕を抱え、リビングへ連れて行ってくれた。
そういえば、スキップができたからベッドからも降りられたんじゃないか。今度やってみよう。ジルに抱えてもらうのにすっかり慣れてしまった。
「夕飯を作るから、ここで待ってろ。···腹は減ってるか?」
ジルが僕を椅子に下ろし、訊ねる。
お昼ご飯を食べた後すぐに寝て、さっき起きたから空腹というほどではない。
「あーう」
人差し指と親指の間にちょっと隙間を作って見せる。これで伝わるかな。
「···少し、ということか?」
「あう!」
伝わった。さすがだ。
「分かった。夕飯は少なめにしておこう。···夜中に腹が減ったら、軽く食べる物を作るから安心しろ」
ありがたい!後でお腹空いたらどうしようって思っていたのも伝わった。さすがだ。
「お前は顔に出るから、分かりやすい」
さすがだ、と思っていたのも伝わった。さすがだ。
ジルが夕飯を作ってくれている間、僕はまた魔法の練習をしていた。
特大ライトじゃなくて、体から離す方のライトだ。色んな色をつけて、あちこちに放り投げる。そのうち消えるから問題ないだろう。ジルもこちらの様子をちらっと見ていたが、何も言われなかったのできっと大丈夫だ。
そうやってジルを待っていると、玄関が開いた。ライだ。
「ウィル君、また来たよ!って、え、何これ!?」
ライがリビングに散らばっている光に驚く。
「『灯』」
ライに投げライトを作って見せた。
「···ふふふ、やっぱりウィル君は面白いね」
ライの声に、ジルがリビングへやって来た。
「ライ、来たのか。もう用事が済んだのか?」
「あ、ジル。用事は終わったよ。学校のことはだいたい聞いてきて、私が教えられそうだと思ったから自宅から本を持って来たんだ」
学校?僕に何か教えてくれるのだろうか。
「そうか、助かる」
「ふふ、ウィル君といると楽しいからね。それに私も色々教えてもらっているよ」
そう言うと、ライが本を数冊取り出す。
「それとね、クリーンが出来るとはいえ一張羅じゃ足りないだろうから、服も買ってきたんだ」
そういえばずっと同じ服を着てるけど、汚れてない。お風呂も転生してからはまだ入ってないけど、体は清潔なままだ。汚れても、またキレイになっているのだ。
さっきライが言ってたクリーンというのは魔法だろうか。体や服をキレイにできる魔法は是非習得したい!今までは僕が寝ているときなどに、ジルがやってくれていたのだろう。このイケメンには毎秒感謝しても足りないくらいだ。
ライが買ってきた服を並べる。どれもシンプルで、僕好みだ。
「ウィル君の好みが分からなかったから、無難なものになっちゃったけどね」
いえいえ、ありがたいです。
「悪いな、金は払う。いくらだ?」
「いや、いいんだ。マンティコアを売却したお金で買ったからね」
「それはお前のだろ」
「ふふ、そうだね。だから私のお金で、私が買いたい物を買ったんだ」
「···そうか。ありがとな」
ライが男前だ。特大ライトは勘弁してあげることにしよう。
窓から差し込んでくる光で、どうやらがっつり寝てしまったようだと気づく。
自分の部屋に戻っているから、ジルが寝かせてくれたのだろう。ほんと、どこまでもイケメンだ。
何をして過ごそうかなと考えていると、体内の魔力量が昨日より増えていることに気づいた。今朝、僕がやらかしてしまったせいだ。
これが今の最大量なのだろうか。どこまで増えるか分からないし、また吸魔石を使うような状態にはなりたくないから、魔力を消費するとしよう。
今、使える魔法は一つ。
「『灯』」
指先に光を灯す。うんうん、かなり慣れてきたぞ。
あ、これって、体から離せないのかな?アースショットは手から飛び出したんだし、できないことはないんじゃないか。
光る指先をぶんぶん振っても、光は離れない。むう。やはり最初のイメージが大事なのだろうか。
集めた魔力を指先から外に出すイメージで、魔法名を唱える。
「『灯』」
すると光がポロンと指先から落ち、すぐに消える。
おお、離れた!でもすぐに消えたな。持続しないと不便だ。もう少し多めの魔力で固めるイメージをしてみたらどうだろうか。
「『灯』」
今度はポロンと落ちた光がそのまま輝き、しばらくして消える。成功だ!もっと多めにギュッと固めてみよう。
「『灯』」
また光が持続し、···さっきどれくらい続いたっけ?今回の方が長く光っている気がする。うん、きっとそうだ。
よし、今度は光を大きくしてみよう。暗闇を明るく照らす大きな光をイメージする。大きな光だから、魔力マシマシでやってみよう。
このとき僕はノリノリだった。ノリノリで、魔力をたくさん使った。使ってしまったんだ。
「『灯』」
途端にピカーッと眩しい光が僕の目を襲う。やばい!目がやばい!
急いで布団を被り、ぎゅっと目を閉じる。あ、危なかった。誰だよ攻撃力がないなんて言ったのは···。色白イケメン許すまじ。
完全な逆恨みだが、これくらい許してほしい。僕の目にダメージを与えたのだ。僕のせいだが。
あ、そうだ。某アニメでの大佐の有名なあのセリフ、言ってみたかったな。
···今度ライにやってあげよう。
ようやく光が消えた部屋でフフフ、と黒い笑みを浮かべていると、ジルが入ってきた。
「さっきから魔力が動いているなとは思っていたが···最後のは何をやったんだ?」
ちょっと、いやかなり多めに魔力を使ったから、心配させたようだ。でも、言えない。調子に乗って自爆したなんて、とても言えない。
はっ!そうだ!僕は喋れないんだ!
「あう~」
ニコニコ笑って誤魔化す。
「···何ともないならいい」
イケメンは、僕の下手な笑顔に誤魔化されてくれた。
「夕飯を作っているが、もう少しかかる。ここで待ってるか?」
どうやら料理を中断させてしまったようだ。申し訳ない。
一人でいてもつまらないから、リビングへ行ってもいいだろうか。
「あうあう」
ジルの方に両手を伸ばす。
「そうか」
エメラルドの瞳が優しく揺れる。
ジルが僕を抱え、リビングへ連れて行ってくれた。
そういえば、スキップができたからベッドからも降りられたんじゃないか。今度やってみよう。ジルに抱えてもらうのにすっかり慣れてしまった。
「夕飯を作るから、ここで待ってろ。···腹は減ってるか?」
ジルが僕を椅子に下ろし、訊ねる。
お昼ご飯を食べた後すぐに寝て、さっき起きたから空腹というほどではない。
「あーう」
人差し指と親指の間にちょっと隙間を作って見せる。これで伝わるかな。
「···少し、ということか?」
「あう!」
伝わった。さすがだ。
「分かった。夕飯は少なめにしておこう。···夜中に腹が減ったら、軽く食べる物を作るから安心しろ」
ありがたい!後でお腹空いたらどうしようって思っていたのも伝わった。さすがだ。
「お前は顔に出るから、分かりやすい」
さすがだ、と思っていたのも伝わった。さすがだ。
ジルが夕飯を作ってくれている間、僕はまた魔法の練習をしていた。
特大ライトじゃなくて、体から離す方のライトだ。色んな色をつけて、あちこちに放り投げる。そのうち消えるから問題ないだろう。ジルもこちらの様子をちらっと見ていたが、何も言われなかったのできっと大丈夫だ。
そうやってジルを待っていると、玄関が開いた。ライだ。
「ウィル君、また来たよ!って、え、何これ!?」
ライがリビングに散らばっている光に驚く。
「『灯』」
ライに投げライトを作って見せた。
「···ふふふ、やっぱりウィル君は面白いね」
ライの声に、ジルがリビングへやって来た。
「ライ、来たのか。もう用事が済んだのか?」
「あ、ジル。用事は終わったよ。学校のことはだいたい聞いてきて、私が教えられそうだと思ったから自宅から本を持って来たんだ」
学校?僕に何か教えてくれるのだろうか。
「そうか、助かる」
「ふふ、ウィル君といると楽しいからね。それに私も色々教えてもらっているよ」
そう言うと、ライが本を数冊取り出す。
「それとね、クリーンが出来るとはいえ一張羅じゃ足りないだろうから、服も買ってきたんだ」
そういえばずっと同じ服を着てるけど、汚れてない。お風呂も転生してからはまだ入ってないけど、体は清潔なままだ。汚れても、またキレイになっているのだ。
さっきライが言ってたクリーンというのは魔法だろうか。体や服をキレイにできる魔法は是非習得したい!今までは僕が寝ているときなどに、ジルがやってくれていたのだろう。このイケメンには毎秒感謝しても足りないくらいだ。
ライが買ってきた服を並べる。どれもシンプルで、僕好みだ。
「ウィル君の好みが分からなかったから、無難なものになっちゃったけどね」
いえいえ、ありがたいです。
「悪いな、金は払う。いくらだ?」
「いや、いいんだ。マンティコアを売却したお金で買ったからね」
「それはお前のだろ」
「ふふ、そうだね。だから私のお金で、私が買いたい物を買ったんだ」
「···そうか。ありがとな」
ライが男前だ。特大ライトは勘弁してあげることにしよう。
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