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最果ての森編

12. 操作の仕方

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「自分の魔力を感知できたようだから、今度はそれをゆっくり動かしてみよう。最初は、さっき感じた右手の魔力に意識を向けてみて。そしてそれを右肘まで動かせるかい?」

 うむむ。
 昨日やった要領でいいのだろうか。あの時はなんとなくだったから、今回はしっかり意識してやってみよう。

 さっきライの魔力の先に感じた自分の魔力。右の手のひらにある魔力に意識を向ける。
 動けと念じれば簡単に動く、という訳ではないようだ。
 まず、魔力がそこにあるとしっかり認識する。そしてそれをズズッと動かすイメージ。ゆっくりゆっくり、手のひらにあった魔力を右肘まで動かす。

 時間がかかったが、なんとか動かせた。結構集中力が必要だ。

「おお!一度で出来たね!ウィル君、センスがあるよ!」

 こんなに手放しで褒められるのは慣れてないから、なんだかくすぐったい。
 
 ところでライは僕の魔力の動き、なんで分かったんだ?

「あうー、あうあう?」

 ジェスチャーでなんとか伝わってくれ!

「うん?どうしたんだい?」

「あうー、あう?あう!」

「なんだあ?ウィル、腕が痒くなったか?」

「違うよー、テム。踊ってるんだよ。楽しいねー、ウィルくん!」

 楽しいよ!けど、違うー!

「・・・魔力の動きか?」

 ビンゴー!さすがジル!僕の父親!

「あう!」

「ああ、なるほど。いやあ、すごいね、ジル。ふふ、愛息子の言いたいことはちゃんと分かるんだね」

 このイケメン、すごくいい笑顔でイジってくる。

「ふふ、私は『魔力視』っていうスキルも持ってるんだ。魔力の動きが目に見えるんだよ。それからジルは、魔力感知の精度が高いからねえ。ジルもウィル君の魔力の動き、分かったでしょ?」

「ああ」

「こういう相手と対峙したとき、体内の魔力を動かすと、何かしようとしてるって警戒されるんだ。でも、それを防ぐ方法があるんだ。何だと思う?」

 視えたり感知できたりする相手にそれをさせない?
 ふむ。分かりません。

「ふふ、それはね、体内の魔力を均一にするんだ。魔力に偏りがあると、動いた時にすぐ分かるからね。濃度が均一のまま動かせば、相手からは分かりづらくなるよ。まあ、これはかなり難しいけどね。頑張って練習しようね!」

 それは、そんな面倒な相手と対峙する前提なのか?
 チキンハートには重過ぎる。

「このレベルまで精密に魔力を動かせるようになれば、色んな魔法が使いやすくなるよ。魔法の中には精密な制御を要するものもあるからね。例えば転移とか、空間収納とか」

 チキンハートが奮い立った。

 転移も空間収納も、めちゃくちゃチートな魔法じゃないか!
 けどそう簡単には習得できないのか。
 でもいいんだ!目標は高いほどいい!

「ふふ、やる気が出たようだね。一歩ずつ、着実に進んで行こう。まずは魔力を速く、広く、出来れば体の隅々まで自由に動かせるようになろうね」



 こうしてジルとライに見守られながら、魔力操作の練習を行った。
 テムとファムは途中から寝てた。

 なお、ジルはずっと僕の椅子だった。
 脚は痛くないのだろうか?ふと心配になってジルを見上げると、

「ん?ああ、気にするな。お前、軽すぎるんじゃないか?もっと肉をつけろ」

 とイケメンな言葉をもらった。



「うん、いい感じだね。だいぶスムーズになってきたよ」

 ぐるぐると体内で魔力を回していると、ライがそう言った。

「ウィル君、おめでとう。さっき、『魔力操作』のスキルがとれたよ」

 なんですと!
 どうりでさっきまでめちゃくちゃ集中して動かしていたのが、楽に出来るようになったと思った。頭のリソースを別のことにも割ける余裕ができた感じだ。

「このまま順調にいけば、今日中に『魔力感知』もとれると思うよ」

 おお!ワクワクしてくる!

「でも、そろそろいい時間だね。午前の練習はここまでにして、お昼にしようか」

 あ、集中してて気づかなかった。思い出したようにお腹が空いてきた。

 テムとファムが目を覚ました。




 名前:ウィル
 種族:人族ヒューマン
 年齢:1
 レベル:0

 スキル:成長力促進、言語理解、魔力操作
 魔法:
 耐性:

 加護:リインの加護
 称号:異世界からの転生者、黒龍帝の愛息子
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