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一、
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「私と手を合わせて。ほら、あなたの苦しみが薄れていくでしょ」
私は深夜の街の路地裏で、心の中で死にたいと叫んでいた中年男性と手を合わせていた。両手をピッタリと合わせて彼の苦しみを吸い込む。彼の青白かった顔色はみるみるうちに良くなっていき、彼の心の死にたいという叫び声は消えていった。
「本当に俺を救ってくれたのか。なんとお礼を言っていいか…」
「お礼なんていらないの。あなたがこれから生きていってくれれば、私はそれでいい」
「そんなわけにもいかねぇよ。ほれ、これお礼だ。それと、俺これから人生ちゃんとやり直すよ。ありがとな。」
彼は私の手に一万円札を握らせて、お礼を言って去って行った。私は彼の命を救った。その命をこれからどう扱うかは、彼次第だ。どうか、もう彼が死にたいなどと思いませんように。そう思いながら、私は今日起こった事を思い出しながら家へと帰る。
今日もいつものように夜の街を歩いていたのだ。すると、
「会社をクビになった俺なんて、生きてる価値もねぇ。嫁と子供に合わせる顔もねぇ。もうこのまま死にてぇよ」
という心の叫びが聞こえた。
「あなた、死にたいの?」
私は彼に声を掛けた。
「そうだったら、なんなんだよ」
「私があなたを救ってあげる。こっちへ来て」
彼を路地裏へと無理矢理連れて行った。そして彼の命を救った。そう、私には特殊な能力があるのだ。
私は深夜の街の路地裏で、心の中で死にたいと叫んでいた中年男性と手を合わせていた。両手をピッタリと合わせて彼の苦しみを吸い込む。彼の青白かった顔色はみるみるうちに良くなっていき、彼の心の死にたいという叫び声は消えていった。
「本当に俺を救ってくれたのか。なんとお礼を言っていいか…」
「お礼なんていらないの。あなたがこれから生きていってくれれば、私はそれでいい」
「そんなわけにもいかねぇよ。ほれ、これお礼だ。それと、俺これから人生ちゃんとやり直すよ。ありがとな。」
彼は私の手に一万円札を握らせて、お礼を言って去って行った。私は彼の命を救った。その命をこれからどう扱うかは、彼次第だ。どうか、もう彼が死にたいなどと思いませんように。そう思いながら、私は今日起こった事を思い出しながら家へと帰る。
今日もいつものように夜の街を歩いていたのだ。すると、
「会社をクビになった俺なんて、生きてる価値もねぇ。嫁と子供に合わせる顔もねぇ。もうこのまま死にてぇよ」
という心の叫びが聞こえた。
「あなた、死にたいの?」
私は彼に声を掛けた。
「そうだったら、なんなんだよ」
「私があなたを救ってあげる。こっちへ来て」
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