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ゾクっとした悪寒を感じ身震いする

体育の授業中、ましてやぽかぽかとした春の暖かな日差しの下だ

嫌な予感がして、私はあたりを見回す


「凛宮!!危ない」


その声に反応したときはもう遅かった

目の前に何かの影が迫っていると認識した時には私の顔には鈍い痛みが走っていた

ボールがこっちに飛んできていたのだった


痛みに顔をゆがめていると誰かが私に近づいてくる
心配かけてはいけないと起き上がろうとすると、ぽろっと私の眼鏡が顔から落ちた

しまった

顔面でボールを受けてしまったことで、大切な眼鏡が壊れちゃったらしい


「やば……」

「大丈夫か、凛宮」

「うん、少し鼻血出ただけだから大丈夫だよ。有原くんは気にしないで」


壊れた眼鏡を隠し、鼻血をおさえながら笑う

有原くんはボールを当ててしまったことと、眼鏡の事を謝ってくれた

大丈夫だと笑い、鼻血が収まってから授業に戻った

昔ほどあやかしは見えないのか、校庭から教室まで何もいなかった

安心しながら残りの授業を受けて、下校時間になった
有原くんは送るよ、と声をかけてくれたが断り、一人で帰り道を歩いていた

私の家が山の方にある神社だからなかなか同じ下校ルートの子はいない

少し不安に思いつつ、帰路を急ぐ


「ぴっ……」


高い何かの鳴き声に驚いてあたりを見回す
少し先の草むらの横に何か小さな動物が倒れているのが見えた


「ぴ、ぃ……」

と、今にも息絶えそうな声に慌てて駆け寄る


「大丈夫!」

「ぴ……」


駆け寄ると、小さな小鳥が傷だらけで横たわっていた

動物病院なんて近くにない

どうしよう……と思っていると茂みの奥からガサガサと何かがうごめいた

それは蛇のような動きだったが、大きさがおかしい

人より大きいんじゃないかと言うくらいの動きに、私はあやかしだ、と察して小鳥を抱きかかえ家に走り出す


「ぅォォオ」


唸るような女性の声に、私は恐怖に襲われながらも家に向かう

家に帰れば悪いものは入ってこれない

そういう結界を、お父さんが作ってくれている

早く、早く早く早く!

私は息を切らしながらなんとか鳥居を潜る

怖くて振り返れなかったけれど後ろから大きな金切り声の様な奇声だけは聞こえていた


家に入るとお父さんが怖い顔をして立っていた


「おと、さ」

「ほのか、お母さんのところに行ってなさい」

「はい」


お仕事モードのお父さんは怖い顔のまま外に出ていった

私は震える足を、もうひと頑張り、とお母さんの所まで必死に動かした


「お母さん、ただ、いま」


へたり込むと腕の中で小鳥が小さく「ぴぃっ」と鳴いた

すっかり忘れていた
疲労で動かない身体を動かし、私はタオルを探しに行くのだった
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