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キィ……と高い音を立てながら部屋の扉を開けた

暗い部屋に入ると中に居た人物に声をかけられた


「お前が扉をあけて入ってくるなんて珍しいな。弟にも見せてやりたいくらいだよ」


窓から差し込む月明かりに照らされて、あいつの瞳が……金色の瞳が怪しく輝いている


「君こそ、こんな夜に一人で黄昏れてたのか?オツムが弱いって言われてるくせに」


皮肉を込めて目の前の自分と同じ6歳の少年、アケビ・トルートに言葉をかける

アビーアケビは不機嫌そうに俺を睨む


「ネーディア嬢のことか?」

「あぁ、よくわかったね。アビーの自慢の頭のいい双子の弟にでも聞いたのかな?」

「そのとおりだよ。今日中にお前が来ると聞いていたからこの通り、お前の出入り口を開けて待ってたんだよ」

「それは悪かったね」

アビーは俺を睨んだまま警戒した体制は崩さない
全く失礼なやつだなぁ呆れつつ、アビーの出方を待った


「ネーディア嬢…レモン、と言ったか?彼女の話だろう?」

「そうだよ。なぜ彼女を嫌いなのか気になってね」


笑いながら言うとアビーは俺から顔を背け、窓の外を見る


「この国の人間じゃないお前には関係ないと思うが?」


顔を見られていなくてよかった。
眉間にシワが寄ってしまう
平静を取り戻そうとするが、窓にうつっていたのかアビーは小さく笑いを漏らす


「お前が顔に出すなんて珍しいな。今日は珍しい事だらけだな」

「大切な友人の話なんでね」


俺の言葉にアビーは笑いを漏らす


「友人、ね。ネーディア嬢が貴族でいられるのは血筋のおかげなんだ」

「血筋…?ネーディアの血になにか…」

「それこそ余所者には教えられない。まぁ答えれることは……俺はネーディア嬢が嫌いだ。だから避けている。ただそれだけだ」


そう言ってアビーは窓の外へ目をやった


「リア、お前は俺より賢いだろう?」

アビーの突然の問いに俺はあっけにとられる。
突然当たり前のことを聞いてどうしたんだ、この男は


「まぁ、君よりは賢いだろうね」

「リアはネーディア家についてどう思う?」


その言葉はどこか悲しげでいつものバカみたいな……子供じみているアビーとは思えないほど大人びていたように思う


「俺の友人の家,ただそれだけだよ」


アビーはなにもこたえず、早く帰れと背中で語っていた

しかたない。ここまでか


「また来るよ。さよなら。親友」


俺はそのままアビーの横に行くと窓に足をかけ、外へ飛び出した

アビーがどんな顔をしていたのかも、なんのための質問だったのかもわからないまま……
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