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6章 前世の真実

話す真実

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震える声で私は恭介君に話し始めた


前世を覚えていたこと

前世で雪愛とあったことすべてを…


恭介くんはじっと私の話を聞いてくれていた
私が話し終わると恭介くんは優しい笑みを浮かべ私を見た


「海愛ちゃんは、どうしたいですか?」

「私、は……」

「どうなったとしても僕は……海愛ちゃんの意思を尊重したい」


また、まただ
優しく笑う恭介くんの顔がいつかの兄に重なる
そんなわけない、だってあの人は私に笑いかけたことなんてないんだから……


「恭介くん、一つだけ……聞いてもいいかな」

「なーに?」

「……恭介くん、昔……どこかで」


そこまで言ったところで、大きな音に阻まれた


ピンポーン、ピンポーン……ピンポーン

何度も玄関のチャイムが鳴らされ、嫌な予感がする
心臓が高鳴る


「あ……」

「……海愛ちゃん。少しだけ待ってて。僕と雪愛さんで行ってくるから」

「だめ!!」 


突発的に叫んでた
だって、絶対に玄関にはあの子セナがいるから

もう、あの子に何も取られたくない



そこまで考えた所で、私は頭の中の矛盾に気がつく




誰をセナはころしたの?

そんな前世知らない

また頭がショートするんじゃないかってくらい痛くなる


「海愛ちゃん。大丈夫。だから少し隠れていて」

「……うん」


恭介くんは私をクローゼットに隠れさせると部屋の外へ出ていってしまった

静まり返った部屋に私の心臓の音だけが響く

バクン、バクンと大きな心臓の音が私がセナを怖がっていることを表していた

少しして大きなセナの声とこの部屋……私の部屋に向かってくる3つの足音が聞こえる

ガチャ

私の部屋のドアが開く


「本当にいないのね」

「だから、そう言ってるだろう。セナちゃん、君は今非常識なことをしていることに気がついている?」

「非常識?どっちが??義理の兄と恋したり、後輩を誑かしてる海愛の方が非常識なんじゃないの?」


クスクスと私を笑う声が聞こえる
じわりと目頭が熱くなる

きゅっと目を閉じ、膝を抱え、クローゼットの中で震える

セナは私の大切な親友だった

本当に大切で…私がセナを壊してしまったのかもしれない

私とセナ、雪愛と恭介くん
みんな傷つかなかったかもしれない
巻き込んでしまった恭介くんの幼馴染の平井さんや、葵茨くんもそう

考え出すときりがない

声を押し殺していると、私の居るクローゼットの前に誰かが座った気配がした

ドキッと心臓が跳ねる

もしかしてセナにバレたの?
いやだ、怖い

震える体を抑えていると、そばから聞こえたのは……


「妹に恋したのは俺だよ。非常識なら俺を攻めろ」











雪愛の声だった
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2021.08.24 ユーザー名の登録がありません

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