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6章 前世の真実

向き合うみんな

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私の部屋に雪愛と恭介くんが集まっていた

セナを呼ぶことも考えたが、たぶん今呼んではごちゃごちゃするんじゃないかと思い、あとで話すことにした


「あのさ」


雪愛が口を開く


「お前らは前世って信じるか?」


雪愛の言葉にやっぱり、と目を伏せる
私の思いとは裏腹に恭介くんはしっかりとした目で雪愛を見ていた


「僕は信じます。僕の家系が縁にまつわる神様を祀っている神社です。僕の指にもお兄さんの指にも糸がついていて、縁がある人には濃く色づいています」

「縁…?」


その言葉に私も雪愛も困惑する

そんな話、一度も聞いたことない…

ドキドキしながら、二人の次の話を待った


「僕の家系は昔から人の縁を繋いだり、切ったりするのが仕事でした。二人には赤い糸が結ばれています。切っても切れないような赤い縁が…」


悲しそうに笑う恭介くんに、胸がズキッと痛む

それは恭介くんが私への気持ちが彼にあることもわかっていたのだと…それが伝わってしまったから


「僕と海愛さんの糸とは違ったので…わかっていたことなんですけどね」

「違う?」

「過去、生まれる前から何かの良縁があると僕には緑に見えるんです、糸が。それが赤く変わることもあるんですけどね」


少し遠い目をして言う彼

雪愛は続けた


「俺は前世で大切な女性がいた」


その言葉に私は固まってしまった
来てしまったのだ、この時が

両思いになってしまえば彼は死ぬ未来しかない
どの時代でもそうだった

ごくっと息を呑む


「だけどそれが誰かわからなかった」

「わからない?」

「あぁ、そしたらセナに…色々話されてセナが探してたやつなのかもって…」


良かったはずの言葉に胸がズキズキする

私よ、と言いたいのだろう
前世の私の思いが唇を震わす

だめ、だめなの、雪愛に告白したら
終わってしまう

愛する人が死んでしまう

ぎゅっと唇を結び、私は話を聞く


「俺は、何を忘れているんだ、海愛」

「え…」


いきなり振られた会話に、私は固まる

なんで私に、そんなこと……


「……海愛ちゃん、知ってることがあるなら話して。僕も協力するから」


優しく私の手を握る恭介くん
今までの時代、どこかでこんな人がいた気もする
私を支えようとしてくれてた人が…


優しい恭介くんの眼差しが、始まりの記憶にいる、兄と重なる


「おに…ちゃ……」

「…?」


雪愛が首を傾げる

血塗れの二人の姿がフラッシュバックし、私の視界はそのまま暗転した


我ながら弱くなったものだ……


過去の自分に怒られた気がした

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