24 / 31
5章 前世と向き合う覚悟
進むべき道は?
しおりを挟む
あの日から毎日、学校の時間になれば恭介くんが家まで迎えに来てくれた。
母さん達は嬉しそうに彼を家に迎え入れている
最近は恭介くんを交えて朝ご飯を食べてから学校に行くことが多い
隣でご飯を美味しそうに食べている恭介くんをみると、すぐに私の視線に気づいて嬉しそうに微笑みかけてくれる
なんだか心地いいこの居場所に私はこのままでもいいかもしれないと、そう思うようになった
「海愛に恭介くん、学校遅刻しちゃうわよ」
母さんに言われ時計を確認すればいつもより確かに遅い時間になっていた
「やば!恭介くん、行こ!」
「うん、海愛ちゃん」
二人してバタバタと部屋を出る
恭介くんは私のぶんの食器も下げてくれたようで…
あぁ、女子力なくてごめんよ!恭介くんは優しいなぁ…
なんて考えながら靴を履き終え、外に出ようとした瞬間フワリと地面から足が浮く
いや。性格には全体が浮いて…
「しっかり捕まっててね」
「は、はい!?」
恭介くんにお姫様だっこされていた。
細くて折れそうだとか女の子っぽいなぁって思ってた腕は考えてたよりしっかりしてて…
「男の子なんだなぁ」
ポツリと思ったことを言ってしまい、はっとしたけど、聞こえていなかったのか
「お義母さん、行ってきます」
「あら、行ってらっしゃい!気をつけてね」
恭介くんは嬉しそうに微笑みながらそのまま走り出したから何も言えずにしがみついた
重くないかな
とか
こんなに力あるんだ
とか
そんなことしか頭に浮かばなくて…
じっと見つめていた間に学校についていたようで…
「海愛ちゃん、ついてるんだけど…」
少し照れくさそうに笑う恭介くんに慌てておろしてもらう
「あ、ありがとう!ご、ごめんね!」
「大丈夫だよ、じゃあまた放課後ね」
ポンポンと頭を撫でてくれた
じんわりと胸が暖かくなる。
叶うなら…この温もりだけは奪われたくないと…そう思った
「あれ、海愛」
ゴクリと息を呑んだ。
背筋が凍る感覚……
見たくない、顔をそっちに向けたくない
でも、そっちに顔を向ければ、怖い顔をしたセナが立っていた…
私と目が合うとニヤリと笑みを浮かべた
「ねぇ、海愛ぁ。あんた、雪愛さんはどうしたのぉ?振られたの?」
「えっと、セ、セナ?」
「もう他の男いるんだぁ?眼鏡かけててダッサイ男」
クスクスと笑いながら私の隣にまだいた恭介くんを見定めるような目で見ている
あぁ……まただ…
「そんなこと言わないでよ、アハハ」
そう、笑って流せば周りには被害がいかない
笑え、私にできることはそれしかないんだから
「そう言うのって…男取っ替え引っ替えしてるってことだよね?私、そういう子無理だわぁ。海愛キモい」
ケラケラと大きな声で笑いながら言うセナ
周りの生徒たちもこちらをチラチラ見て、ヒソヒソと何かを話してるのが聞こえる…
「あの人って2年の佐賀宮さんよね?あ、今は森野?さんだっけ」
「あいつ男取っ替え引っ替えしてるってホントだったのかよ」
「こわ…」
冷めた視線が突き刺さる
痛い…苦しい
やだ、助けて
急に込み上げる吐き気に耐えながら笑みを浮かべていた
早く、早くやり過ごさなきゃ
「やめてください!」
大きな手が私を抱きしめ、そして私の耳をそっと塞いでくれた
「あなた、海愛ちゃんの友達ですよね?」
「そうだけど?ねぇ、海愛。腐れ縁の親友だもんね?」
「少なくとも!僕には貴方が海愛を利用してるようにしか見えません」
ドクン、ドクンと僅かに早い鼓動の音が彼の手から伝わってくる…
あぁ…この人は私の噂じゃなくて私自身を見ようとしてくれてるんだ
「はぁ、あんた、誰よ?先輩ではないわよね?」
「…僕は、1年の凛宮です」
「年下の癖に生意気じゃない?私は本当のことを言っただけじゃない」
私は恭介くんの腕の中で震えてるしかできなくて…周りの人たちも何か言ってるみたいだけど何も聞こえなくて、怖くてずっとしがみついていた
私が一人で生きていけたらこうなってなかったのかな
そんな考えがよぎる
「貴方は、同じことを言われたらどうします?」
「は?私の彼氏たちを取った女と同じこと言われるわけないじゃない。ばっかじゃないの?」
「最低ですね。大勢の前でこんな」
恭介くんが、私を抱きしめる腕に更に力を込める
ごめんなさい、私のせいだ
あの日頼ってしまったから
心を許してしまったから
私が
弱いから
ワタシガ
イナケレバ
そう考えた瞬間、2つの影が私達の前に立ちはだかった
「きょうちゃんさぁ、カッコつけるのはいいけど私達も頼りなよ」
「そーそ、大体、こんなところで馬鹿らしいこと言ってるそこの女の方が頭おかしいんだからさ」
そう言って可愛らしい女の子とニコニコしてる男の子が私達の前に出てくれた
「花陽に葵茨くん!」
「恭介くんはさぁ、少しは僕らに相談しなよー」
「そうそう、ぎばちゃんと私はきょうちゃんと同級生なんだからさ」
そこからは早かった
二人がずっとセナを睨んでいたおかげなのか、すぐに周りの野次馬も離れていって
セナも悔しそうにこちらを睨みつけ、校舎に入っていった
野次馬の中に雪愛の後ろ姿を見た気がしたけど私は見ないふりをした
「あの、ありがとう」
「きょうちゃんが守りたい子は私達も守りたいからね!気にしないで!」
「そうそう。気にしてもいいことないからさ」
二人ともヘラヘラと笑って先に校舎へ歩き出した
「あの、海愛ちゃん、大丈夫?」
「うん、ありがとう」
「何かあったらすぐに連絡して、飛んでいくから」
そのまま恭介くんは私を抱きしめてくれた
私は
選ばなくちゃいけない
過去を切り捨て前に進むのか
過去にすがりついて立ち止まるのか
恭介くんが居るなら前にすすめる気もする
でも…
野次馬の中にいた雪愛の悲しそうな目が頭にこびりついて離れなかった…
母さん達は嬉しそうに彼を家に迎え入れている
最近は恭介くんを交えて朝ご飯を食べてから学校に行くことが多い
隣でご飯を美味しそうに食べている恭介くんをみると、すぐに私の視線に気づいて嬉しそうに微笑みかけてくれる
なんだか心地いいこの居場所に私はこのままでもいいかもしれないと、そう思うようになった
「海愛に恭介くん、学校遅刻しちゃうわよ」
母さんに言われ時計を確認すればいつもより確かに遅い時間になっていた
「やば!恭介くん、行こ!」
「うん、海愛ちゃん」
二人してバタバタと部屋を出る
恭介くんは私のぶんの食器も下げてくれたようで…
あぁ、女子力なくてごめんよ!恭介くんは優しいなぁ…
なんて考えながら靴を履き終え、外に出ようとした瞬間フワリと地面から足が浮く
いや。性格には全体が浮いて…
「しっかり捕まっててね」
「は、はい!?」
恭介くんにお姫様だっこされていた。
細くて折れそうだとか女の子っぽいなぁって思ってた腕は考えてたよりしっかりしてて…
「男の子なんだなぁ」
ポツリと思ったことを言ってしまい、はっとしたけど、聞こえていなかったのか
「お義母さん、行ってきます」
「あら、行ってらっしゃい!気をつけてね」
恭介くんは嬉しそうに微笑みながらそのまま走り出したから何も言えずにしがみついた
重くないかな
とか
こんなに力あるんだ
とか
そんなことしか頭に浮かばなくて…
じっと見つめていた間に学校についていたようで…
「海愛ちゃん、ついてるんだけど…」
少し照れくさそうに笑う恭介くんに慌てておろしてもらう
「あ、ありがとう!ご、ごめんね!」
「大丈夫だよ、じゃあまた放課後ね」
ポンポンと頭を撫でてくれた
じんわりと胸が暖かくなる。
叶うなら…この温もりだけは奪われたくないと…そう思った
「あれ、海愛」
ゴクリと息を呑んだ。
背筋が凍る感覚……
見たくない、顔をそっちに向けたくない
でも、そっちに顔を向ければ、怖い顔をしたセナが立っていた…
私と目が合うとニヤリと笑みを浮かべた
「ねぇ、海愛ぁ。あんた、雪愛さんはどうしたのぉ?振られたの?」
「えっと、セ、セナ?」
「もう他の男いるんだぁ?眼鏡かけててダッサイ男」
クスクスと笑いながら私の隣にまだいた恭介くんを見定めるような目で見ている
あぁ……まただ…
「そんなこと言わないでよ、アハハ」
そう、笑って流せば周りには被害がいかない
笑え、私にできることはそれしかないんだから
「そう言うのって…男取っ替え引っ替えしてるってことだよね?私、そういう子無理だわぁ。海愛キモい」
ケラケラと大きな声で笑いながら言うセナ
周りの生徒たちもこちらをチラチラ見て、ヒソヒソと何かを話してるのが聞こえる…
「あの人って2年の佐賀宮さんよね?あ、今は森野?さんだっけ」
「あいつ男取っ替え引っ替えしてるってホントだったのかよ」
「こわ…」
冷めた視線が突き刺さる
痛い…苦しい
やだ、助けて
急に込み上げる吐き気に耐えながら笑みを浮かべていた
早く、早くやり過ごさなきゃ
「やめてください!」
大きな手が私を抱きしめ、そして私の耳をそっと塞いでくれた
「あなた、海愛ちゃんの友達ですよね?」
「そうだけど?ねぇ、海愛。腐れ縁の親友だもんね?」
「少なくとも!僕には貴方が海愛を利用してるようにしか見えません」
ドクン、ドクンと僅かに早い鼓動の音が彼の手から伝わってくる…
あぁ…この人は私の噂じゃなくて私自身を見ようとしてくれてるんだ
「はぁ、あんた、誰よ?先輩ではないわよね?」
「…僕は、1年の凛宮です」
「年下の癖に生意気じゃない?私は本当のことを言っただけじゃない」
私は恭介くんの腕の中で震えてるしかできなくて…周りの人たちも何か言ってるみたいだけど何も聞こえなくて、怖くてずっとしがみついていた
私が一人で生きていけたらこうなってなかったのかな
そんな考えがよぎる
「貴方は、同じことを言われたらどうします?」
「は?私の彼氏たちを取った女と同じこと言われるわけないじゃない。ばっかじゃないの?」
「最低ですね。大勢の前でこんな」
恭介くんが、私を抱きしめる腕に更に力を込める
ごめんなさい、私のせいだ
あの日頼ってしまったから
心を許してしまったから
私が
弱いから
ワタシガ
イナケレバ
そう考えた瞬間、2つの影が私達の前に立ちはだかった
「きょうちゃんさぁ、カッコつけるのはいいけど私達も頼りなよ」
「そーそ、大体、こんなところで馬鹿らしいこと言ってるそこの女の方が頭おかしいんだからさ」
そう言って可愛らしい女の子とニコニコしてる男の子が私達の前に出てくれた
「花陽に葵茨くん!」
「恭介くんはさぁ、少しは僕らに相談しなよー」
「そうそう、ぎばちゃんと私はきょうちゃんと同級生なんだからさ」
そこからは早かった
二人がずっとセナを睨んでいたおかげなのか、すぐに周りの野次馬も離れていって
セナも悔しそうにこちらを睨みつけ、校舎に入っていった
野次馬の中に雪愛の後ろ姿を見た気がしたけど私は見ないふりをした
「あの、ありがとう」
「きょうちゃんが守りたい子は私達も守りたいからね!気にしないで!」
「そうそう。気にしてもいいことないからさ」
二人ともヘラヘラと笑って先に校舎へ歩き出した
「あの、海愛ちゃん、大丈夫?」
「うん、ありがとう」
「何かあったらすぐに連絡して、飛んでいくから」
そのまま恭介くんは私を抱きしめてくれた
私は
選ばなくちゃいけない
過去を切り捨て前に進むのか
過去にすがりついて立ち止まるのか
恭介くんが居るなら前にすすめる気もする
でも…
野次馬の中にいた雪愛の悲しそうな目が頭にこびりついて離れなかった…
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
亡くなった王太子妃
沙耶
恋愛
王妃の茶会で毒を盛られてしまった王太子妃。
侍女の証言、王太子妃の親友、溺愛していた妹。
王太子妃を愛していた王太子が、全てを気付いた時にはもう遅かった。
なぜなら彼女は死んでしまったのだから。
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる