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5章 前世と向き合う覚悟
君に声をかけた理由-side R-
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神社の息子として生まれた僕。
幽霊と呼ばれるたぐいというよりは、人との縁に関係するものの整理をする神様を祀ってるらしい。
メガネを外せばいろんな色の紐が色んな人にぐるぐる巻きにされているのが見える
両親に言われた言葉
「お前はな。前世でも縁に関する場所にいたんよ。だからうちみたいなとこに産まれてもうたんやな…」
そう言われてから僕は両親に縁が見えることを言わなくなった。
両親が悲しそうに僕を見るから
ずっと隠していこうと思ってた
春までは………。
見た目は人並みかそれ以上らしい僕
眼鏡をかけてひっそりと暮らしてたつもりだったのに
クラスメートになる予定の男の子達に眼鏡を奪われてしまってからが地獄だった。
嫌味なのか
そんな一言が事件の始まりだった気がする
僕はそんなつもり無かったし、どうしてこうなったのかもわからなかったけれど…
その日も確か男子に囲まれてたっけ?
それで、罵声を浴びせられて殴られて
されるがままだった僕
あぁ……このまましぬのかなぁ…
そんなバカみたいなことをぼんやりと考えてた
そんな時だった
「なにしてんの!!」
大きな女性の声が響いた
誰かわからなくて一瞬固まったけどみんなが慌ててどこかへ行くのが見えた
「君!大丈夫!?」
「え…」
顔を上げると優しそうな女性が立っていた。
制服のリボンからして先輩だということはわかった
「すみません、ありがとう御座います」
ヘラっと笑みを浮かべ、彼女の方を向く
「大丈夫?」
「あ、は、はい」
ヘラヘラ笑う僕に、彼女はビンタを食らわせてきた
「ぃっ………」
「馬鹿!痛いのに、辛いのに無理して笑わないで!」
彼女と目を合わせると、その瞳からはポロポロと涙が溢れていた
なんでこの人は僕のために泣いているのだろう…
そう思って手元を見ると僕と彼女の指に縁の糸が濃く繋がっているのが見えた
何で…彼女と僕がこんなに深い糸で結ばれているのだろう?
そんなことも関係なしに彼女のことを知りたいと思ってしまった
「あの…貴方は」
「佐賀宮、佐賀宮海愛。とりあえず保健室に行こう」
「ぼ、僕は大丈夫です」
そう言って立ち上がろうとすると、彼女に頭を叩かれた
彼女は不機嫌そうに頬を膨らませていた
その仕草があまりにも子供っぽくて僕は彼女が年上だということも忘れて頭を撫でた
自分より身長が低かったこともあり、彼女…宮原さんは驚いたように僕を見上げてくる
その頬が僅かに赤く染まっていたのを見た瞬間、胸がドキッと高鳴った気がした
そのまま彼女とは別れてしまったけど…
あの日から彼女のことが気になって仕方なかった…
たまにすれ違うたびに目で追ってしまうくらいには…
だからあの日
泣き崩れていた彼女を見た瞬間
声をかけずにいられなかった
誰かの後ろ姿をみつめてる彼女のことを知りながらも彼女を笑わせるためにいろんな話をした
何気なしにつないだ手から彼女の震えが伝わる
「佐賀宮さん」
「あ、海愛でいいよ」
ヘラっと笑う宮原さんに、いつかの自分を重ねた
「海愛」
「なーに?凛宮くん」
僕の方に目線を向けた宮原さんの頭をそっと撫でた
びっくりしたように目を見開き、すぐに顔を赤くして目を伏せた
「も、もしかして…凛宮く…」
「恭介、恭介でいいよ」
「きょ、恭介くん、前にもこうやって頭撫でてくれた事、ある?」
少し照れくさそうに言う宮原さんに笑いが漏れてしまった
「うん、思い出してくれた?」
「いや、全然」
「ゆっくりでいいよ」
優しく微笑むと、さっきのような作り笑いをせずに嬉しそうに微笑んでくれた
眼鏡の横からそっと繋いだ手を見る
赤い縁の線が二人の指に繋がっている
ずるいかもしれないけれど
僕は彼女を僕のものにしたい…
そう、切に願って
彼女を家に送り届けた
この縁の糸の理由を知りもせずに…
幽霊と呼ばれるたぐいというよりは、人との縁に関係するものの整理をする神様を祀ってるらしい。
メガネを外せばいろんな色の紐が色んな人にぐるぐる巻きにされているのが見える
両親に言われた言葉
「お前はな。前世でも縁に関する場所にいたんよ。だからうちみたいなとこに産まれてもうたんやな…」
そう言われてから僕は両親に縁が見えることを言わなくなった。
両親が悲しそうに僕を見るから
ずっと隠していこうと思ってた
春までは………。
見た目は人並みかそれ以上らしい僕
眼鏡をかけてひっそりと暮らしてたつもりだったのに
クラスメートになる予定の男の子達に眼鏡を奪われてしまってからが地獄だった。
嫌味なのか
そんな一言が事件の始まりだった気がする
僕はそんなつもり無かったし、どうしてこうなったのかもわからなかったけれど…
その日も確か男子に囲まれてたっけ?
それで、罵声を浴びせられて殴られて
されるがままだった僕
あぁ……このまましぬのかなぁ…
そんなバカみたいなことをぼんやりと考えてた
そんな時だった
「なにしてんの!!」
大きな女性の声が響いた
誰かわからなくて一瞬固まったけどみんなが慌ててどこかへ行くのが見えた
「君!大丈夫!?」
「え…」
顔を上げると優しそうな女性が立っていた。
制服のリボンからして先輩だということはわかった
「すみません、ありがとう御座います」
ヘラっと笑みを浮かべ、彼女の方を向く
「大丈夫?」
「あ、は、はい」
ヘラヘラ笑う僕に、彼女はビンタを食らわせてきた
「ぃっ………」
「馬鹿!痛いのに、辛いのに無理して笑わないで!」
彼女と目を合わせると、その瞳からはポロポロと涙が溢れていた
なんでこの人は僕のために泣いているのだろう…
そう思って手元を見ると僕と彼女の指に縁の糸が濃く繋がっているのが見えた
何で…彼女と僕がこんなに深い糸で結ばれているのだろう?
そんなことも関係なしに彼女のことを知りたいと思ってしまった
「あの…貴方は」
「佐賀宮、佐賀宮海愛。とりあえず保健室に行こう」
「ぼ、僕は大丈夫です」
そう言って立ち上がろうとすると、彼女に頭を叩かれた
彼女は不機嫌そうに頬を膨らませていた
その仕草があまりにも子供っぽくて僕は彼女が年上だということも忘れて頭を撫でた
自分より身長が低かったこともあり、彼女…宮原さんは驚いたように僕を見上げてくる
その頬が僅かに赤く染まっていたのを見た瞬間、胸がドキッと高鳴った気がした
そのまま彼女とは別れてしまったけど…
あの日から彼女のことが気になって仕方なかった…
たまにすれ違うたびに目で追ってしまうくらいには…
だからあの日
泣き崩れていた彼女を見た瞬間
声をかけずにいられなかった
誰かの後ろ姿をみつめてる彼女のことを知りながらも彼女を笑わせるためにいろんな話をした
何気なしにつないだ手から彼女の震えが伝わる
「佐賀宮さん」
「あ、海愛でいいよ」
ヘラっと笑う宮原さんに、いつかの自分を重ねた
「海愛」
「なーに?凛宮くん」
僕の方に目線を向けた宮原さんの頭をそっと撫でた
びっくりしたように目を見開き、すぐに顔を赤くして目を伏せた
「も、もしかして…凛宮く…」
「恭介、恭介でいいよ」
「きょ、恭介くん、前にもこうやって頭撫でてくれた事、ある?」
少し照れくさそうに言う宮原さんに笑いが漏れてしまった
「うん、思い出してくれた?」
「いや、全然」
「ゆっくりでいいよ」
優しく微笑むと、さっきのような作り笑いをせずに嬉しそうに微笑んでくれた
眼鏡の横からそっと繋いだ手を見る
赤い縁の線が二人の指に繋がっている
ずるいかもしれないけれど
僕は彼女を僕のものにしたい…
そう、切に願って
彼女を家に送り届けた
この縁の糸の理由を知りもせずに…
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