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2章 新生活と義兄の真意

あの日の私達

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私はどこかの貴族?
彼はどこかの平民

結ばれるはずのない私と彼

それでも、二人は惹かれ合い
愛し合った

あの日までは……








『❈❈様!』

『❃❃…やっと逢えた…』

『ずっと、お会いしたかった』

ぎゅっと抱きしめ合う私とイケ男様。
幸せそうに微笑みながら、お互いの存在を確かめ合う

ここでは仮にイケ男と美子としよう

二人は本当に心の底から愛し合っていた

ずっと…これが続くと思っていた


二人で秘密の場所で密会して、毎日手を繋いだりするだけで心が満たされていた

なのに…あの日は違ったの…


『❃❃様、帰りますよ』

『貴方は…雷浬らいり!』

そう、私の従者に見つかってしまったのだ

『また、下等なゴミ共と会っていたのですか?姫も物好きだ』

『彼を侮辱することは許しません!』

『姫…貴方は自覚すべきだ…貴方の周りのものを消すくらい容易いということを』

美子はその時思ってしまったの
彼を殺されるかもしれない、と

『私……』

『さぁ、姫行きましょう』

『だめだ、美子っ!』

イケ男は美子を引き寄せた
そして離さない、と言うように従者を睨みつける

『調子に乗るなよ…下民のくせに!』

彼に向かう切っ先…
かけよる美子、二人は赤く染まった

美子の身体から溢れる赤い液…
泣きながら美子の名前を叫ぶイケ男

『…ごめ、な、さ』

『美子っ!美子っ!俺のためにっ…』

『愛しております…貴方だけを…』

意識が飛ぶ間際、美子が見えたのは
イケ男に向かって切っ先が降ろされる瞬間だった













「いやぁぁぁあっ!!」

大きな声を上げ、飛び起きる
ここは?まだ夢の中?
違う、ここはちゃんとした現実だ…

涙が止まらない

あの次の世界でもその次の世界でも
彼は私のせいで殺された

もう二度と、あんな思いをしたくない…

私はそっとオルゴールを見つめ、眠りについた…
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