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2章 新生活と義兄の真意

引っ越しと不安

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あぁ、良い天気

空は快晴!鳥たちが鳴いてる、桜吹雪が綺麗!

なんて現実逃避はこの辺で…

今日は義兄、雪愛もとい、最低最悪な男との引っ越しの日


うふふ…あぁ、母さんと義父の嬉しそうな顔…
そりゃそうだ。
新婚家庭に子供は邪魔だろう…
いや、ただ、私達が恋人?のふりをしてるのが嬉しいのか…

「海愛ちゃん、雪愛くん、行ってらっしゃい!」

「はい、お義母さん、行ってきます」

「海愛さん、雪愛に何か迷惑かけられたらいつでも話してくださね」

「は、はい、お義父さん…」

私はうまく笑えてなかったと思う、いや、笑えてなかった!

だって


『色気のない義妹』

と言われた男との暮らしだぞ!?誰が喜ぶんだ!

いや、家事とか全部してくれるらしいし?任せてもいいかなーなんて…

「ほら、行こう、海愛」

あぁ、この笑顔に今日も流されてしまう

いや。別に好きなわけではない…
ただ、前世のせいだ、きっとそうだ…


顔を背けながら私は雪愛の手を取った

新居に向かって……





新居は案外広くて住みやすそうなマンション。
なんとお互いに個人の部屋を持てるくらいの広さだ

私の部屋はいつの間にか整えられており、見たことない可愛らしい家具などもおいてある

「きゃー!なにこれ、可愛いっ!」

小さなオルゴールを見つけ、かけよる

ネジがないのか、回せない…
残念だけどまた探してみよう…

「そっちはすんだ?」

「あ、うん、雪愛は…」

「俺はとっくに終わってる」

「さ、さいでっか…」

リビングのソファーにポフンっと座れば、一気に疲れが出る

あぁ、今日からここが私達の家…

「あ、海愛」

「んー?」

「俺の部屋はいるなよ?」

「誰が入るか!」

隣のウサギのぬいぐるみを雪愛に投げつける

「いてっ」

「あんたこそ!私の部屋入ったら許さないから!!」

「入んねーし、入ったとしても何もしねぇよ、貧乳」

カチン!と頭にくる

これでも、胸はおっきい方だ…貧乳、だと!?許せぬ!

私は雪愛を睨みつける

こいつ、絶対イケ男じゃない!

似てるけど別人!!



イケ男だったら…

『君は可愛いよ、とても大切な彼女だ』

なんて優しく微笑んでくれるのに…

なんて考えてたら


「大丈夫か、海愛」


目の前に雪愛がいた…


「っ!!」


ドキンと、高鳴り始める胸
かぁあっと顔にも熱が集中するのがわかる

弱い声に弱い顔

ずるいよね、こんな…今でもイケ男が好きなのに

「海愛?」

「だ、大丈夫!!も、もう疲れたから私寝るね!」


バタバタと部屋に帰り、布団にダイブする



こんな気持ちで彼のそばにいれるのかな

こんな、ドキドキしちゃう私なんて…いらないのになぁ…



ゆっくりゆっくり眠りに落ちる私


その日夢を見た


イケ男が私を抱きしめてくれる夢

温かいぬくもりを感じながら、私はその日いつもより深く眠りについた…

過去の恋人のぬくもりを確かめながら…
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