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1章 大嫌いな義兄

最低で最悪の契約

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あの日から何日かたち、私の学校に義兄が転校してきた
まぁ、私のほうが年下なので?学年は別だけれど…

女子たちはキャーキャー騒ぐ
私の名字も佐賀宮から、森野に変わった
そのせいで女子たちからはどういうこと!?なんて責め立てられたりしたが、ちゃんとわかってくれた(説明を1時間ほどかけてした)


わかってはいた、モテるだろうと
サラサラな髪に、キリッとした瞳、笑顔は優しく、本当にイケメン…

「海愛、どったの?」

「セナ、ううん。どーもしてないよ」

「ふぅん…それならいいけど、今日はもう終わりでしょ、帰ろ」

「あ、うん、帰ろっか」

二人で他愛もない話をして校門を通った瞬間、後ろから肩を叩かれた

「ひゃい!?」

「海愛、一緒帰ろうぜ」

「雪愛…」

懐かれたのか何なのか…こいつは毎度毎度、私を追いかけてきては一緒に帰りたがる

いや、家が一緒ですものね、しかたないよね!?

「あらら、私はお邪魔みたいだからまたね、海愛」

「せ、セナ!?」

ぐっ!と親指を立てれば全力疾走でセナは走り去ってしまった

「海愛、行こう」

「は、はい…」

諦めて雪愛の隣を歩く

やっぱりかっこいい、横顔といい
何年たっても…この人は変わらないんだろうなぁ…

なーんて思いながら歩いていたら
いきなり腕を引かれる

「え、雪愛!?」

「いいからいいから、こっち」


こっち、と言われても!
なんて思ってる間に路地裏に連れ込まれた

「あ、あの。雪愛さん?」

「あのさ…義母さんと父さんから離れたいんだよね…」

「は、はぁ?」

突拍子もない発言に、私は拍子抜けする

あ、いや、変なこととか想像したわけではなく…


「だから…俺の彼女のふりしてよ」

「は!?」

「父さんと義母さんなら喜んで許してくれるだろうし、だからめんどくさい条件つけられる前に、なんもしなさそーな色気のない義妹なら俺もあんたも変なことしないでしょ」


前言撤回!こいつ、絶対あの人じゃない!!
私の眉間にシワがよる…

色気なくて悪かったな!!
アンタが前世で選んだ女だよ!!このやろう!!

「あの、失礼じゃないですか?」

「まぁまぁ、どう?」

「…私のメリットは?」

「好きなものなんでも買ってあげる」


すきな、もの……

私の頭に浮かぶのは大量の本やグッズ、お菓子…

「ほ、ほんとに?」

「うん、何でも」

揺らぐな、いや、でも、ほら、幸せ応援するんだから…幸せにできるので、は?

「さ、どうする?あぁ、安心しろよ。変なことは絶対にしないし、本当の彼女できたら家に返してやるし、さ」

イラッとするが、最悪な提案だが…受けないと、お互いに不幸、か?

「わかった、ただし…嫌になったらやめるから!」

「その場合は、他の子に代役頼むから」

黒い笑みを浮かべる義兄

唐突に現れた黒い兄

私は…本当にこの人を幸せにするべきなの、か?

そう悩んでる私は、背後にいる彼が少し微笑んでいることを、その時気が付かなかった…
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