9 / 13
冒険の始まり
いざ出発!
しおりを挟む
準備も終わり、ダイさんに頭を下げ、シアンとともにあの家をあとにする
ほんの少しの間だったけど、ダイさんは私のことを本当の娘のように扱ってくれた
家では受けられなかった無償の愛、と言うやつだろうか?
とても心地が良かった
旅立ちにはもってこいの晴天
少しだけ浮足立ってしまう
「アリア、とりあえず最初はビードリール向かうけどいいか?」
「ビードリールですか?」
たしかビードリールは音楽が栄えている街だったはず…
この街から近いし、確かに最初の目的地にはいいかもしれない
「そうですね、そうしましょう」
「じゃあ決まり。道はこっちだ」
二人して他愛もない話をしてビードリールまでの道のりを歩く
「アリア、下がれ」
急に声色の変わったシアンに少し身構える
草かげからプルプルとした水のようなものが這ってくる
スライムだ
「こいつはまだ低級だとは思う。アリア、できるか?」
「やってみます…」
きゅっと短剣を握り、魔法の詠唱を唱える
じわじわと短剣に魔力が集まるのを感じる
瞳も少し熱くなる
風を刃にするイメージを頭に浮かべ、そして放つ
「スラッシュっ」
イメージよりは小さいものの風の刃がスライムを切り裂く
そしてスライムはサラサラと砂のようになり、消えていった…
「やったな。アリア」
「シアンがギルドから出たあと魔法の使い方を教えてくれたおかげですよ」
「アリアは魔石は錬成できるくせに魔法知らなかったからな」
ケラケラと笑いながらも私の頭をワシャワシャ撫でるシアン
本当にダイさんにそっくりだと思う
「ほら、アリアこれ」
砂の中から拾った結晶を私に渡す
「これが、魔獣結晶…」
魔獣結晶は、魔物を倒したときに現れるもので魔物の魔力の塊らしい
これをギルドに渡すことで換金してもらえるらしい
他にも自作の武器、魔石なども買い取ってるらしいけれど…
「そういや、どこのギルドの受付もうちのとこみたいにエルフがしてるのかね」
「らしいですね。主に記述、鑑定に秀でたエルフが選ばれるらしいです」
「ギルドの事あんま知らなかったわりには詳しいじゃん」
「…昔、お友達に教わったんです」
そう、彼女と出会わなければ私は
きっと旅にすら出なかっただろう
あの子が私の全てだったから
「いい友達じゃん」
「自慢の友達です」
自然と笑みが溢れてたらしい
あの子の話をしているときだけは笑顔になれる
昔は、そうだった
「今日中につけるかな」
「速度上昇の魔法かけます?」
「あ、それいいじゃん!二人分かけれるの?」
「た、たぶん…」
「頼りにならない後方支援だなぁ」
「こ、これからなんです!」
バカみたいに笑えて話せる人がいるとは思わなかった
これが幸せ?
そんなことを思いながら私達はビードリールへの道のりを歩いた
ほんの少しの間だったけど、ダイさんは私のことを本当の娘のように扱ってくれた
家では受けられなかった無償の愛、と言うやつだろうか?
とても心地が良かった
旅立ちにはもってこいの晴天
少しだけ浮足立ってしまう
「アリア、とりあえず最初はビードリール向かうけどいいか?」
「ビードリールですか?」
たしかビードリールは音楽が栄えている街だったはず…
この街から近いし、確かに最初の目的地にはいいかもしれない
「そうですね、そうしましょう」
「じゃあ決まり。道はこっちだ」
二人して他愛もない話をしてビードリールまでの道のりを歩く
「アリア、下がれ」
急に声色の変わったシアンに少し身構える
草かげからプルプルとした水のようなものが這ってくる
スライムだ
「こいつはまだ低級だとは思う。アリア、できるか?」
「やってみます…」
きゅっと短剣を握り、魔法の詠唱を唱える
じわじわと短剣に魔力が集まるのを感じる
瞳も少し熱くなる
風を刃にするイメージを頭に浮かべ、そして放つ
「スラッシュっ」
イメージよりは小さいものの風の刃がスライムを切り裂く
そしてスライムはサラサラと砂のようになり、消えていった…
「やったな。アリア」
「シアンがギルドから出たあと魔法の使い方を教えてくれたおかげですよ」
「アリアは魔石は錬成できるくせに魔法知らなかったからな」
ケラケラと笑いながらも私の頭をワシャワシャ撫でるシアン
本当にダイさんにそっくりだと思う
「ほら、アリアこれ」
砂の中から拾った結晶を私に渡す
「これが、魔獣結晶…」
魔獣結晶は、魔物を倒したときに現れるもので魔物の魔力の塊らしい
これをギルドに渡すことで換金してもらえるらしい
他にも自作の武器、魔石なども買い取ってるらしいけれど…
「そういや、どこのギルドの受付もうちのとこみたいにエルフがしてるのかね」
「らしいですね。主に記述、鑑定に秀でたエルフが選ばれるらしいです」
「ギルドの事あんま知らなかったわりには詳しいじゃん」
「…昔、お友達に教わったんです」
そう、彼女と出会わなければ私は
きっと旅にすら出なかっただろう
あの子が私の全てだったから
「いい友達じゃん」
「自慢の友達です」
自然と笑みが溢れてたらしい
あの子の話をしているときだけは笑顔になれる
昔は、そうだった
「今日中につけるかな」
「速度上昇の魔法かけます?」
「あ、それいいじゃん!二人分かけれるの?」
「た、たぶん…」
「頼りにならない後方支援だなぁ」
「こ、これからなんです!」
バカみたいに笑えて話せる人がいるとは思わなかった
これが幸せ?
そんなことを思いながら私達はビードリールへの道のりを歩いた
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
「おまえを愛することはない!」と言ってやったのに、なぜ無視するんだ!
七辻ゆゆ
ファンタジー
俺を見ない、俺の言葉を聞かない、そして触れられない。すり抜ける……なぜだ?
俺はいったい、どうなっているんだ。
真実の愛を取り戻したいだけなのに。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!
つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。
他サイトにも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる