4 / 13
旅立ち
同じ目をした少年
しおりを挟む
ダイさんに連れられ、私は可愛らしいピンク色の壁のお家の前に来た
息子さんの住んでいる所と言うにはとても可愛らしすぎる気がするのだけれど…
少し首をかしげるとダイさんは少し恥ずかしそうに笑い
「カミさんの趣味なんだよ。少しこっ恥ずかしいけどなぁ」
「そうなんですね…でも、とてもいいと思います。自分の好きなものを言えるのは」
「そうか?そう言ってもらえるなら嬉しい限りだ」
そう、好きなものを好きって言えるのはとても素晴らしいこと…
私は前も言えなかったから……
そう思いギュッと服の裾を掴んでしまう
「おーい、シアン。出てこい」
「うるせぇな…こっちは旅に出る準備で忙しいんだよクソ親父!」
目を奪われた…と言うべきなのか
扉を開けて出てきたシアンと呼ばれた青年は、私と同じような黒髪をサラリと靡かせ現れた…
そして目を開け私を見る彼の瞳は私と同じように青いベースに赤みがかったとてもきれいな瞳だった…
「え……」
「オヤジ、コイツ誰?」
「お前の旅の相棒だ。ほれ、嬢ちゃん、コイツが俺の愚息シアンだ」
シアンはそっと値踏みするような目を私に向けてくる
この目は今まで感じてきたことのある目…
両親や元婚約者たちから感じてきたあの目…
きゅっと口を結び、耐えていた
早く、早く終わって……と
「コイツ、いいじゃん?オヤジどこで見つけてきたんだよ?」
思いもよらない言葉にいつの間にか下げていた顔を上げる
きっと女だからと拒否されると思っていたのに…
「あぁ、酒場で旅の仲間を探しててなぁ」
「他のやつに連れて行かれないでよかった。オヤジもたまにはいいことするじゃねぇか」
たまには は余計だ。とシアンの頭をわしわしと撫でるダイさんに少し息をつく
こんな、何も価値のない女が仲間でいいのだろうか?
女だから……とそういった理由で逆に求められたのだろうか?
過去の凄惨な記憶を思い出し、少し身震いをする
あんなことにならないようにしなくては…
「なぁ、アンタの名前は?」
「あ…私は…アリアーナと申します…」
「じゃあ、アリアって呼ぶ。いいな?」
「あ、えっと…」
「俺のことはシアンと呼べ。仲間なんだからいいだろ?」
有無を言わせぬシアンの提案に、小さくコクリ、と頷いた
すると先程までとは打って変わって子供のような笑顔を見せた
あ……ダイさんの笑い方に似てる
やっぱり親子なんだな…
そう思い私も自然と笑みをこぼしていた
「アリア、笑ってたほうがかわいいじゃん」
「えっ」
唐突と言葉に顔に熱が集まるのを感じた
言われたことのない言葉になんともいたたまれない気持ちになる
「こら、シアン。あんまりからかうなよ?」
「からかってないだろ?ホントのことじゃねぇか」
「まぁ、否定はしないさ」
二人の会話に入れずうつむいてしまう
そんな私の頭をダイさんはまた撫でてくれた
「とりあえず入りな。今日は遅い。部屋ならあるから準備が終わってから出発すればいいさ」
「は、はい」
ダイさんに連れられ部屋に入ると中も可愛らしかった
全体的にピンクなお部屋は少し二人にはあってないような気はしてしまった
「アリア、お前その目について何か知ってんの?」
その言葉の意味がわからず首を傾げてしまう
「あの、私の目が、どうしたんですか?」
「やっぱ知らずにいたのか」
ダイさんとシアンは頷き、私を椅子に座るように誘導する
おとなしく席につくと、二人は真剣な瞳で私を見た
そして私は自分の瞳の色が家族と違った理由を初めて知ることになった……
息子さんの住んでいる所と言うにはとても可愛らしすぎる気がするのだけれど…
少し首をかしげるとダイさんは少し恥ずかしそうに笑い
「カミさんの趣味なんだよ。少しこっ恥ずかしいけどなぁ」
「そうなんですね…でも、とてもいいと思います。自分の好きなものを言えるのは」
「そうか?そう言ってもらえるなら嬉しい限りだ」
そう、好きなものを好きって言えるのはとても素晴らしいこと…
私は前も言えなかったから……
そう思いギュッと服の裾を掴んでしまう
「おーい、シアン。出てこい」
「うるせぇな…こっちは旅に出る準備で忙しいんだよクソ親父!」
目を奪われた…と言うべきなのか
扉を開けて出てきたシアンと呼ばれた青年は、私と同じような黒髪をサラリと靡かせ現れた…
そして目を開け私を見る彼の瞳は私と同じように青いベースに赤みがかったとてもきれいな瞳だった…
「え……」
「オヤジ、コイツ誰?」
「お前の旅の相棒だ。ほれ、嬢ちゃん、コイツが俺の愚息シアンだ」
シアンはそっと値踏みするような目を私に向けてくる
この目は今まで感じてきたことのある目…
両親や元婚約者たちから感じてきたあの目…
きゅっと口を結び、耐えていた
早く、早く終わって……と
「コイツ、いいじゃん?オヤジどこで見つけてきたんだよ?」
思いもよらない言葉にいつの間にか下げていた顔を上げる
きっと女だからと拒否されると思っていたのに…
「あぁ、酒場で旅の仲間を探しててなぁ」
「他のやつに連れて行かれないでよかった。オヤジもたまにはいいことするじゃねぇか」
たまには は余計だ。とシアンの頭をわしわしと撫でるダイさんに少し息をつく
こんな、何も価値のない女が仲間でいいのだろうか?
女だから……とそういった理由で逆に求められたのだろうか?
過去の凄惨な記憶を思い出し、少し身震いをする
あんなことにならないようにしなくては…
「なぁ、アンタの名前は?」
「あ…私は…アリアーナと申します…」
「じゃあ、アリアって呼ぶ。いいな?」
「あ、えっと…」
「俺のことはシアンと呼べ。仲間なんだからいいだろ?」
有無を言わせぬシアンの提案に、小さくコクリ、と頷いた
すると先程までとは打って変わって子供のような笑顔を見せた
あ……ダイさんの笑い方に似てる
やっぱり親子なんだな…
そう思い私も自然と笑みをこぼしていた
「アリア、笑ってたほうがかわいいじゃん」
「えっ」
唐突と言葉に顔に熱が集まるのを感じた
言われたことのない言葉になんともいたたまれない気持ちになる
「こら、シアン。あんまりからかうなよ?」
「からかってないだろ?ホントのことじゃねぇか」
「まぁ、否定はしないさ」
二人の会話に入れずうつむいてしまう
そんな私の頭をダイさんはまた撫でてくれた
「とりあえず入りな。今日は遅い。部屋ならあるから準備が終わってから出発すればいいさ」
「は、はい」
ダイさんに連れられ部屋に入ると中も可愛らしかった
全体的にピンクなお部屋は少し二人にはあってないような気はしてしまった
「アリア、お前その目について何か知ってんの?」
その言葉の意味がわからず首を傾げてしまう
「あの、私の目が、どうしたんですか?」
「やっぱ知らずにいたのか」
ダイさんとシアンは頷き、私を椅子に座るように誘導する
おとなしく席につくと、二人は真剣な瞳で私を見た
そして私は自分の瞳の色が家族と違った理由を初めて知ることになった……
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる