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1章 願い事
進む人、止まる人、考える人
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-side萌奈美-
息も切れ、私達は泣きそうになりながら3の2の教室へ戻ってきた
あの赤黒い物は紛れも無く血で
あの液体の中に混ざっていた塊は…人の…
そこまで考えたところでまた吐き気こみ上げてきた
「カイ、アレは何なの??」
「なにって、見たままだよ~?七不思議にきまってんじゃん?」
ドカッ!
鈍い音と共に平橋くんが吹っ飛ぶ…
「平橋くんっ」
「カイ、テメェいい加減にしやがれよ!!何か知ってんなら今すぐに全部吐
け」
やまと君が拳を握りしめながら平橋くんを睨みつけていた
普段無気力系のやまと君がこんなことをするイメージがなかったから少しびっくりしていた
「何も知らないよ」
「ねぇ、カイ。あなた、次はって言ってたわよね?あれはどういうこと?」
「ごめんね、沙彩。それは言えない…」
平橋くんはそっと宮苑さんにノートを渡すと背を向けた
「ただ…僕は今回は間違えられない。それしか言えないや」
「カイ、あなた…」
「沙彩と神崎くんならきっと見つけられるよ正解を」
平橋くんは教室の外に出ようとする
嘘…あの子がいるのに!?
私が止めるより先に天谷くんが平橋くんの肩を掴んでいた
「ねぇ、一人でどうする気なの?」
「どうって…僕ができることをするだけだよ……それしかできないから…ね」
そう言って平橋くんは教室を後にしようとする…でも、ぴたっと止まってしまう
「ねぇ、神崎くん。君と沙彩は一番真実に近づきそうだから教えておくよ」
そう言って二人に向き直った平橋くんの顔は見たこともないくらい真剣な顔だった。こんな時なのに私の頬は微かに熱を持つ
「願い事はさ……正しく願ってね」
その声は誰よりも悲しそうな…辛そうな声だった…
私はいても立ってもいられなくなって
「平橋くんっ!」
「なぁに?どうしたの?萌奈美ちゃん」
すぅっと息を吸い込む
「私もつれてって!邪魔は絶対しないから!!」
私の言葉に平橋くんは一瞬驚いたような顔をして、次の瞬間吹き出した
「ふふっ、これはこれは。初めての展開だよ。いいよ、行こう。だけど邪魔になったら僕は君を置いていくよ?」
「う、うん!」
私と平橋くんは教室から出た。
不安しかないけれど、私は彼を信じると決めた。
もうすっかり暗くなってしまった校舎を二人で歩き出した……。
-side聡-
二人が出ていってから暫く、俺達は未だに教室にいた。
瑠梨は俺の腕の中で小さく震えている…
「大丈夫、大丈夫だよ、瑠梨。」
「さとくん…怖いよ…っ」
俺は瑠梨をあやすようにぽんぽんと、背中を軽く叩いてやった
「何かわかったか?」
「いいえ、ノートには噂通りの数え歌のようなものの歌詞と七不思議のことが少し詳しく書いてあるだけね…」
「なるほどな…やっぱり閉じているページにヒントがありそうだな…」
「そうね…」
やまと君と宮苑さんは二人で謎を解こうとしているみたいで…
俺も気にはなるけど、腕の中の愛しい子を一人にする訳にもいかないから、抱きしめていた
「なぁ、やまと」
「なんだよ、悠」
「俺さ、七不思議のこと調べたって言ったろ?」
「あぁ、それが?」
「実は、さ」
森野くんの口から出た話は、俺らが一番聞きたくなかったであろう話だった
この七不思議で死亡事件、行方不明者が多数居ること
そしてそれを調べようとしたら怪奇現象が起きたこと
それが真実だとするなら俺らは行方不明者となるのか、それとも………
そこまで考えたところで、腕の中の瑠梨が不安そうに俺を見ていることに気がつく
「どうしたの?」
「さとくん…るーちゃん達……死んじゃうの…?」
「大丈夫だよ、瑠梨は必ず俺が守るから」
「うん…」
ぎゅっと力を入れて瑠梨を抱きしめる
大丈夫、俺の命をかけてでも瑠梨は守るよ
次こそは絶対に
あれ?次??俺はなんで次なんて思ったんだろう?
瑠梨は一人だけなのに、なんでこんなこと
手の中の瑠梨を見つめ、俺は変な夢でも見たかなぁ…と笑いを漏らす
気にすることはない、俺は瑠梨を守って必ず願い事を叶えるんだ
「さとくん?」
「ん?」
「さとくんと、ずっと一緒だよね…?」
「うん、必ず一人にしない。離れないよ」
瑠梨は泣きそうになりながら俺にしがみついた
廊下ではあの少女が歩き回っているのだろう
コツン…コツンと足音が響いていた
七不思議…本当にあったのは紛れもない事実…
教室に入ってこないのは何かしらのルールなのか……
俺はやまと君たちを信じて待とうかな
俺にできることは瑠梨を守るだけなのだから……
息も切れ、私達は泣きそうになりながら3の2の教室へ戻ってきた
あの赤黒い物は紛れも無く血で
あの液体の中に混ざっていた塊は…人の…
そこまで考えたところでまた吐き気こみ上げてきた
「カイ、アレは何なの??」
「なにって、見たままだよ~?七不思議にきまってんじゃん?」
ドカッ!
鈍い音と共に平橋くんが吹っ飛ぶ…
「平橋くんっ」
「カイ、テメェいい加減にしやがれよ!!何か知ってんなら今すぐに全部吐
け」
やまと君が拳を握りしめながら平橋くんを睨みつけていた
普段無気力系のやまと君がこんなことをするイメージがなかったから少しびっくりしていた
「何も知らないよ」
「ねぇ、カイ。あなた、次はって言ってたわよね?あれはどういうこと?」
「ごめんね、沙彩。それは言えない…」
平橋くんはそっと宮苑さんにノートを渡すと背を向けた
「ただ…僕は今回は間違えられない。それしか言えないや」
「カイ、あなた…」
「沙彩と神崎くんならきっと見つけられるよ正解を」
平橋くんは教室の外に出ようとする
嘘…あの子がいるのに!?
私が止めるより先に天谷くんが平橋くんの肩を掴んでいた
「ねぇ、一人でどうする気なの?」
「どうって…僕ができることをするだけだよ……それしかできないから…ね」
そう言って平橋くんは教室を後にしようとする…でも、ぴたっと止まってしまう
「ねぇ、神崎くん。君と沙彩は一番真実に近づきそうだから教えておくよ」
そう言って二人に向き直った平橋くんの顔は見たこともないくらい真剣な顔だった。こんな時なのに私の頬は微かに熱を持つ
「願い事はさ……正しく願ってね」
その声は誰よりも悲しそうな…辛そうな声だった…
私はいても立ってもいられなくなって
「平橋くんっ!」
「なぁに?どうしたの?萌奈美ちゃん」
すぅっと息を吸い込む
「私もつれてって!邪魔は絶対しないから!!」
私の言葉に平橋くんは一瞬驚いたような顔をして、次の瞬間吹き出した
「ふふっ、これはこれは。初めての展開だよ。いいよ、行こう。だけど邪魔になったら僕は君を置いていくよ?」
「う、うん!」
私と平橋くんは教室から出た。
不安しかないけれど、私は彼を信じると決めた。
もうすっかり暗くなってしまった校舎を二人で歩き出した……。
-side聡-
二人が出ていってから暫く、俺達は未だに教室にいた。
瑠梨は俺の腕の中で小さく震えている…
「大丈夫、大丈夫だよ、瑠梨。」
「さとくん…怖いよ…っ」
俺は瑠梨をあやすようにぽんぽんと、背中を軽く叩いてやった
「何かわかったか?」
「いいえ、ノートには噂通りの数え歌のようなものの歌詞と七不思議のことが少し詳しく書いてあるだけね…」
「なるほどな…やっぱり閉じているページにヒントがありそうだな…」
「そうね…」
やまと君と宮苑さんは二人で謎を解こうとしているみたいで…
俺も気にはなるけど、腕の中の愛しい子を一人にする訳にもいかないから、抱きしめていた
「なぁ、やまと」
「なんだよ、悠」
「俺さ、七不思議のこと調べたって言ったろ?」
「あぁ、それが?」
「実は、さ」
森野くんの口から出た話は、俺らが一番聞きたくなかったであろう話だった
この七不思議で死亡事件、行方不明者が多数居ること
そしてそれを調べようとしたら怪奇現象が起きたこと
それが真実だとするなら俺らは行方不明者となるのか、それとも………
そこまで考えたところで、腕の中の瑠梨が不安そうに俺を見ていることに気がつく
「どうしたの?」
「さとくん…るーちゃん達……死んじゃうの…?」
「大丈夫だよ、瑠梨は必ず俺が守るから」
「うん…」
ぎゅっと力を入れて瑠梨を抱きしめる
大丈夫、俺の命をかけてでも瑠梨は守るよ
次こそは絶対に
あれ?次??俺はなんで次なんて思ったんだろう?
瑠梨は一人だけなのに、なんでこんなこと
手の中の瑠梨を見つめ、俺は変な夢でも見たかなぁ…と笑いを漏らす
気にすることはない、俺は瑠梨を守って必ず願い事を叶えるんだ
「さとくん?」
「ん?」
「さとくんと、ずっと一緒だよね…?」
「うん、必ず一人にしない。離れないよ」
瑠梨は泣きそうになりながら俺にしがみついた
廊下ではあの少女が歩き回っているのだろう
コツン…コツンと足音が響いていた
七不思議…本当にあったのは紛れもない事実…
教室に入ってこないのは何かしらのルールなのか……
俺はやまと君たちを信じて待とうかな
俺にできることは瑠梨を守るだけなのだから……
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