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何事もなく日々は続き、俺と春は関係に変化があるわけでも無い

四月だというのに、まだ肌寒く、震えながら体育の授業を受けていた


ジャージを忘れた俺は半袖半ズボンでガタガタと震えながら体育館の隅っこで丸まっていた


「さ、む、い」


震える俺を見ながら、クラスの連中はケラケラ笑っていた

知り合いがいないせいなのか、視線が余計に冷たく感じてしまう

黒谷達がいたら、いつものようにからかいながらでもジャージを貸してくれたりしたのに…
もういっそ、前のクラスで一緒だった山田でもいい。

山田なら


『林堂くん。これ、よかったら使って』


って、眼鏡越しにやさしく笑ってくれてたのに!!

なんて現実逃避してたらいつの間にかバスケをすることになっていた

最悪だ…

あんまり得意じゃないのに…

なんて思った矢先……


足首が嫌な音を立てた



「いってぇっ!!」



最悪だ

見学、と言うことで隅っこで体育座りして、様子を見る


「大丈夫?」

「大丈夫、春はやらねーの?」

「たくみが心配できたんだよ」


ジャージと眼鏡に隠れて表情はあまり見えないけど、眉が優しく下がっていたので多分笑ってるんだろう

こいつも俺と同じで運動オンチなのか?
なんて馬鹿なことを考えているとクスクスと女子たちが笑っている


「あの人たちダサいよねぇ」

「陰キャならしかたないんじゃなーい?」

「林堂くん、かっこいいと思ってたのになーマジでないわー」


そんな言葉に俺は無言でうつむく

そりゃあ、かっこよくなんてないし、ダサいよ…
でも、隣の春まで笑われてるのは悔しい


「…ねぇ、たくみ。アレってトモダチ?」

「え?」


春の方を向くと冷めた目で女子を睨んでいた


「いや、友達ではねぇけど…」

「じゃあ、待ってて」

「え、あ、おい、春!」


春は立ち上がると女子たちの前に行く

喧嘩するつもりじゃ……

止めようと立ち上がろうとすると痛みでうずくまってしまった


「いっ……」


「ねぇ、笹原さん、本田さん、宮下さん」

「は?何?名前覚えてんの?キモ」


怯えた様子の女子共に、春はそのまま冷たく告げた


「全部訂正して。」

「は?」

「今からバスケで勝つから、それを見たらたくみがキモいとかかっこよくないって言ったの訂正して」


春の言葉に俺はキョトンとしてしまう
何言ってんだ、あいつ……


「アンタが勝てるわけ無いじゃん、馬鹿じゃないの?」

「訂正して。自分のせいでたくみまで変に見られるのは嫌だ」


一瞬にして俺の顔は真っ赤になった

あいつは天然でそんなことを言ってるんだろう
ほんと…何なんだよ……


胸がキュッと苦しくなるのを感じながら俺は4人を見てることしかできなかった
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