僕のことを君は知らないけれど、君は僕を愛してる

3・5

目が覚めるといつも耐え難い衝動に駆られる

顔も知らない誰か

昔に愛していた誰か


それを思い出して胸を掻きむしる


愛しい人に口づけたい

首筋に噛み付いて、また自分のものだと証明したい


それはいつも愛しい人の夢を見たときだった



「っ……はぁ、はっ……」


息が詰まりそうになる

荒くなる息

胸が痛い



いつもと違った夢


「なんで……」


今日に限って彼の顔が頭から離れない

赤らんだ頬

僕を見るたびに恥ずかしそうに目を逸らす愛おしい仕草


「……僕は……最低なのかな」


ポロポロと涙を流し、ゆっくりと目を閉じる


いつもならすぐには寝れないのにその日だけは何故か眠りにつけたのだった