夢現の世界、彼の世界

夢の話

目を開けたらいつもの暗い洋館だった

そしてすぐに感じる

これは夢なのだと


「またここ…」


キョロキョロとあたりを見回しながらゆっくりと歩みをすすめる

最初こそ不気味で、怖い洋館だったけど、今ではもう慣れたもの
だってここにいる化物を知っているから


「こんなところにいたのか」


低めの声が後ろから響く
彼にまた見つかったのか

振り返れば暗闇でも光る金髪に赤い瞳。
そして、口元で不気味に光る牙……

でも不思議と怖くない


「目が覚めたら廊下で」

「またそんな言い訳をして。逃げる気だったのか？」

「ううん。逃げないよ。だって怖くないもん」

「俺に血をすすられても？」

「うん、怖くない」


そっと彼の手が私の頬に触れる
冷たい手…それでも怖くない…


「ねぇ、私はなんでここにいるの？」

「またその話か……それは……」













ゆっくりと現実に引き戻される意識

ぴぴぴっとなるめざましをとめ、ゆっくりと体を起こす


「学校行かなきゃ」


そして私は今日も彼のことを考えながら、学校へ向かうのだった