4 / 11
序章 −私達−
非日常の始まり
しおりを挟む
部室に忘れ物を取りに来たのはいいんだけれど…
なんで私までついてくるって言っちゃったんだろう
ただ彰くんから離れたくなかったことだけは覚えている
最近は自分の行動と心がバラバラな気がするけれど…
勝手に口をついていろいろ出てくるんだから仕方ないよね?
部室に入れば彰くんはガサガサといろんなところを探し始めた
私も手伝うべきかなぁと、中に入り一緒にあたりを探し始めた
「ねぇ、何を忘れたの?」
「あぁ、いつも使っているペンだよ」
「何色?」
「うーんと、青っぽいペンだよ」
言われた色のペンを探し始める
けれど私が見ているあたりにはペンのようなものはない…
うーん?どこか違う場所に転がってるのかな
そう思い机の下も探していると
ふわりといい香りがした…
「いてっ…」
「どうしたの?」
彰くんの声に慌てて振り向く
振り向いたはずだった…
彰の指から溢れる赤いモノに目を奪われる
頭は理解していた
何かが刺さって彰は怪我をしたのだと…
わかっているのに、私の意識がぼんやりしていく…
「みゆきちゃん?」
彰の声が遠くで聞こえた
私の体は私の意思と関係なく彰くんに近づいていった
「ちょ、どうしたの?」
無言のまま彼の指を取りそのままその指を口に含んだ
「ちょ、どうしたの?」
「美味しい…」
私の口から漏れた言葉は私が発した言葉では無かった
そのまま血のついた唇を舐め、ゆっくりと彰にのしかかる形になる
「ちょ、本当に落ちつい…」
「ねぇ、もっと」
ゆっくりとみゆきの唇は彰の首筋に近づき…
そして
ガリッと牙を突き立てた
「っあっぐ…」
僅かばかり痛そうな声を上げる彰に、みゆきは嬉しそうに微笑み
そしてそのまま溢れる液体を飲み始めた
溢れるたびに舌で舐めとり…
溢れないように啜ってを繰り返していた
「みゆ、きちゃ……やめっ」
「だめ、もっと…欲しいの」
はむっ…と傷口に唇を当て、チュウっと吸っていると、僅かばかり相手の吐息が熱を帯びているように感じる
「やめ、ろって!」
「っぁ…」
とんっと押されて唇が首筋から離れる
あぁ、だめ、もっと……
そう頭の中で考えた瞬間、彰と目があった
あれ?私…なんでこんなことしてるんだっけ…?
ぼんやりとしていた頭が徐々にはっきりしていく
「っ!!」
正気に戻ったみゆきはがたっと音を立てて後ろにへたり込む
私、彰くんに何をした?
彰くんの首筋が赤く染まっているのをみて、震えだす自分の身体
何もかもが初めての経験で頭も心も何もかもが追いつかない
早く、早くなにか言わなきゃ
「そんなに俺のこと好きなの?噛んだり、襲いたくなるくらいに」
「え…」
「好きだからこんなことしたんじゃないの?」
ヘラっといつもと変わらぬ笑みを浮かべる彰に、みゆきは少し安堵する
「あの、ごめんなさい」
「美味しかった?俺の血は」
「本当に、こんなことするつもりじゃ…」
「いいよ、なんかさっきのみゆきちゃんは、みゆきちゃんじゃないって思うくらいには正気じゃなかったしね」
「ごめんなさい…こんなに、血が…」
そっとハンカチを出し、傷口を拭う
さっき沢山飲んだせいなのか、今は冷静でいられた…
けれど、今のみゆきに血を求めてしまうかもしれない事を話すことはできなかった
またこんなことをしてしまうと思われたら…二度と一緒にいられなくなるとそう考えたからだ
「みゆきちゃんさ、なんで俺だったの?」
「え、何が…?」
「襲うなら…さっき、陽日斗くんでも良かったよね?」
「えと…それは…」
「俺、そんなに好かれてたのかな?」
クスッと笑う彰の笑顔にみゆきは頬が赤くなっていく
どんどん早くなっていく心臓をおさえながらみゆきは首を横に振った
「し、知らない!わかんないよ!そんなの!」
「そっか、俺、みゆきちゃんならいいかなって思ったんだけどな」
「へ……な、何言ってるの?」
「んー?」
自分がしたことを忘れてるわけじゃないし、なんなら彼を傷つけたと思っている
けど、彼がまるでみゆきを好きだというような事を言うから
思わせぶりなことを言うからだ
そう、言い聞かせた
「わ、忘れ物探して、帰ろ?」
「ん、さっき見つかってるんだ」
「あっ、じゃあ…私が引き止めちゃってたのかな…」
「まぁ、そうなるね」
「ご、ごめんなさいっ」
これで嫌われてしまうだろうか…
不安ばかりが頭をよぎるが、彰は気にしてないと言わんばかりに頭を撫でた
「さ、帰ろ」
「う、うん」
彼の背中を追いかける
どこかいつもより遠くなってしまった背中を
胸が締めつけられたように痛む
この気持ちが恋だというのなら
私の恋は報われない
それだけはみゆきの中で確かなものだった
「なんか飯食ってから帰るか?」
「あ、彰くん、私、甘いもの食べたい!」
「太るぞ?」
「ひど!?」
「あぁ、手遅れだったな」
「はぁ!?成長期なだけですから!」
むっと頬を膨らませているけど、この時間が私にとっては特別で
彰の隣にいると鼓動が早くなる気がした
「ほら、クレープでいいだろ?」
「やった!いこいこ!」
彼の斜め後ろを歩きながらワイワイと他愛もない事を話す
何かが変わってしまったけれど
このまま、幸せが続けばいいのに
そう考えたみゆきの頭に響いた声は
『だめよ、他の子になんてあげちゃ…ちゃんと全部私のものにしなきゃ』
自分の声に似た別の声だった
その声を振り払うように首を横に振り、彰の後をついていった
変わり始めた日々に気づかぬふりをして……
なんで私までついてくるって言っちゃったんだろう
ただ彰くんから離れたくなかったことだけは覚えている
最近は自分の行動と心がバラバラな気がするけれど…
勝手に口をついていろいろ出てくるんだから仕方ないよね?
部室に入れば彰くんはガサガサといろんなところを探し始めた
私も手伝うべきかなぁと、中に入り一緒にあたりを探し始めた
「ねぇ、何を忘れたの?」
「あぁ、いつも使っているペンだよ」
「何色?」
「うーんと、青っぽいペンだよ」
言われた色のペンを探し始める
けれど私が見ているあたりにはペンのようなものはない…
うーん?どこか違う場所に転がってるのかな
そう思い机の下も探していると
ふわりといい香りがした…
「いてっ…」
「どうしたの?」
彰くんの声に慌てて振り向く
振り向いたはずだった…
彰の指から溢れる赤いモノに目を奪われる
頭は理解していた
何かが刺さって彰は怪我をしたのだと…
わかっているのに、私の意識がぼんやりしていく…
「みゆきちゃん?」
彰の声が遠くで聞こえた
私の体は私の意思と関係なく彰くんに近づいていった
「ちょ、どうしたの?」
無言のまま彼の指を取りそのままその指を口に含んだ
「ちょ、どうしたの?」
「美味しい…」
私の口から漏れた言葉は私が発した言葉では無かった
そのまま血のついた唇を舐め、ゆっくりと彰にのしかかる形になる
「ちょ、本当に落ちつい…」
「ねぇ、もっと」
ゆっくりとみゆきの唇は彰の首筋に近づき…
そして
ガリッと牙を突き立てた
「っあっぐ…」
僅かばかり痛そうな声を上げる彰に、みゆきは嬉しそうに微笑み
そしてそのまま溢れる液体を飲み始めた
溢れるたびに舌で舐めとり…
溢れないように啜ってを繰り返していた
「みゆ、きちゃ……やめっ」
「だめ、もっと…欲しいの」
はむっ…と傷口に唇を当て、チュウっと吸っていると、僅かばかり相手の吐息が熱を帯びているように感じる
「やめ、ろって!」
「っぁ…」
とんっと押されて唇が首筋から離れる
あぁ、だめ、もっと……
そう頭の中で考えた瞬間、彰と目があった
あれ?私…なんでこんなことしてるんだっけ…?
ぼんやりとしていた頭が徐々にはっきりしていく
「っ!!」
正気に戻ったみゆきはがたっと音を立てて後ろにへたり込む
私、彰くんに何をした?
彰くんの首筋が赤く染まっているのをみて、震えだす自分の身体
何もかもが初めての経験で頭も心も何もかもが追いつかない
早く、早くなにか言わなきゃ
「そんなに俺のこと好きなの?噛んだり、襲いたくなるくらいに」
「え…」
「好きだからこんなことしたんじゃないの?」
ヘラっといつもと変わらぬ笑みを浮かべる彰に、みゆきは少し安堵する
「あの、ごめんなさい」
「美味しかった?俺の血は」
「本当に、こんなことするつもりじゃ…」
「いいよ、なんかさっきのみゆきちゃんは、みゆきちゃんじゃないって思うくらいには正気じゃなかったしね」
「ごめんなさい…こんなに、血が…」
そっとハンカチを出し、傷口を拭う
さっき沢山飲んだせいなのか、今は冷静でいられた…
けれど、今のみゆきに血を求めてしまうかもしれない事を話すことはできなかった
またこんなことをしてしまうと思われたら…二度と一緒にいられなくなるとそう考えたからだ
「みゆきちゃんさ、なんで俺だったの?」
「え、何が…?」
「襲うなら…さっき、陽日斗くんでも良かったよね?」
「えと…それは…」
「俺、そんなに好かれてたのかな?」
クスッと笑う彰の笑顔にみゆきは頬が赤くなっていく
どんどん早くなっていく心臓をおさえながらみゆきは首を横に振った
「し、知らない!わかんないよ!そんなの!」
「そっか、俺、みゆきちゃんならいいかなって思ったんだけどな」
「へ……な、何言ってるの?」
「んー?」
自分がしたことを忘れてるわけじゃないし、なんなら彼を傷つけたと思っている
けど、彼がまるでみゆきを好きだというような事を言うから
思わせぶりなことを言うからだ
そう、言い聞かせた
「わ、忘れ物探して、帰ろ?」
「ん、さっき見つかってるんだ」
「あっ、じゃあ…私が引き止めちゃってたのかな…」
「まぁ、そうなるね」
「ご、ごめんなさいっ」
これで嫌われてしまうだろうか…
不安ばかりが頭をよぎるが、彰は気にしてないと言わんばかりに頭を撫でた
「さ、帰ろ」
「う、うん」
彼の背中を追いかける
どこかいつもより遠くなってしまった背中を
胸が締めつけられたように痛む
この気持ちが恋だというのなら
私の恋は報われない
それだけはみゆきの中で確かなものだった
「なんか飯食ってから帰るか?」
「あ、彰くん、私、甘いもの食べたい!」
「太るぞ?」
「ひど!?」
「あぁ、手遅れだったな」
「はぁ!?成長期なだけですから!」
むっと頬を膨らませているけど、この時間が私にとっては特別で
彰の隣にいると鼓動が早くなる気がした
「ほら、クレープでいいだろ?」
「やった!いこいこ!」
彼の斜め後ろを歩きながらワイワイと他愛もない事を話す
何かが変わってしまったけれど
このまま、幸せが続けばいいのに
そう考えたみゆきの頭に響いた声は
『だめよ、他の子になんてあげちゃ…ちゃんと全部私のものにしなきゃ』
自分の声に似た別の声だった
その声を振り払うように首を横に振り、彰の後をついていった
変わり始めた日々に気づかぬふりをして……
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
完結【R―18】様々な情事 短編集
秋刀魚妹子
恋愛
本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。
タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。
好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。
基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。
同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。
※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。
※ 更新は不定期です。
それでは、楽しんで頂けたら幸いです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【R18 大人女性向け】会社の飲み会帰りに年下イケメンにお持ち帰りされちゃいました
utsugi
恋愛
職場のイケメン後輩に飲み会帰りにお持ち帰りされちゃうお話です。
がっつりR18です。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる