魔女の生まれた屋敷

桜月 翠恋

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【あの日、私のすべてが変わった】

【全部全部全部全部】


【たった一人の少女の為に】










母様から引き離されて…それで……
何だったんだっけ


「さぁ、準備はすんだ」


男の言葉に身体を強張らせる
逃げようと思えば逃げれる…
でも、殺されそうで怖くて体が動かない

私はこんなに弱かったんだ


ガチャ……とドアが開く


そっちに目だけ向けると…


無残な姿の妹と義母がいた

キレイだった肌はボロボロで…
私のにそっくりだった


「パパァ…お顔痛いよぉ」


泣きながら目元をこすっているせいなのかヒビ割れた部分から涙が染み込み、傷が悪化して血まみれだった


「あなた、早くなんとかしてちょうだい」


義母の顔もボロボロだった


「もしかして…」


私は気づいてしまった
私の病気を集める体質を使って、二人を治すのだ、と


「いや……」


バタバタと手足を動かす
父に押さえられて動けない…

妹が本物のローズだったの?…

頭の中でぐるぐるといろんなものが回る


「こらこら、暴れるな。名前をかしてあげていたのに、まだ何か求めているのか?」


男の言葉に何も言えないでいると


きぃ………キィイ……と車椅子の音がする


「姉様!」


妹はボロボロになった人かもわからないモノにかけよって泣いていた


「だ…れ」


私の言葉も聞かずに男はそのナニカにかけよった


「何しているんだ!?お前は部屋にいなさいといっただろう!ローズ」

「ご……な、さぁ……」


聞き取れないくらいガサガサな声だった
男は何かを抱きしめて泣いていた

それはきっと……本物のローズ……

なら…








なら私は誰?



「わ、たしは、だれ?」


絶望に打ちひしがれている私を横目に、義母は男に寄り添う


「早くこの病気を直して頂戴?ご飯も食べられないの」


猫なで声で擦り寄る義母を男は振り払い、ローズを抱きしめている


「お前は黙っていろ!ローズが優先だ」


男のその言葉に義母は激怒する


「またその女!前の女の子供なんて早く忘れて私と娘を見てくださらないかしら!」


そんな義母を無視して男はローズを抱き上げ、他のベットに横たわらせた

改めて見てみると、やっぱり体がもうボロボロで、全てがボロボロの炭のような……
変わった色になっている


「ごぉ………な……ぃ」


何かを言いながらローズは私を見てきた


その目を私は知っている

真っ黒な肌の奥に見える








とても……






とてもキレイな青……



「ロー…ズ……?」

「ぁ……ちゃ……ぁ……」


掠れた声は意味をなしていない
けれど私に何かを必死に伝えようとしているのはつたわった……













【忘れた記憶】


【あぁ、私は何を忘れているの?】
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