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【怖い】
【怖い怖い怖い怖い】
部屋の扉が開く音がする
ヘレ二を迎えようとそちらへ笑みを浮かべ向き直る
「おかえりな……さ……」
私の言葉が止まる
体が震える
全身から冷や汗が吹き出る
そこに立っていたのは……父だった
「ローズ、来なさい。お前が必要なんだ」
そう言って父は私を抱き上げた
「いや、はなして!」
私は暴れるが父は気にも止めず歩き出す
「離して!離してっ」
「おかしいなぁ…あの時アイツに心を壊す魔法を使ってもらったはずだったんだが…」
「ま、ほう?」
聞き慣れない単語に首を傾げる
その様子に父は面白がるように笑った
「それも忘れていたのか?」
「どういう…こと?」
父は立ち止まり、私の顔をのぞき込んだ
その目はひどく盲信的にみえて……とても、怖かった
あの日の…
あの、足を潰された日のように
「魔法はわかるね?」
魔法、本で読んだりしたことはある
なんでもできる不思議な力、魔法
おとぎ話の中でしかありえないこと…
「わかり、ます」
なら話が早い、と父は優しく笑った
「魔法使いは実際に存在する。魔法は実現するのさ!!」
父の言葉の真意がわからず混乱する
「魔法が使える人がいるとして……私に、何か関係があるんですか…?」
その言葉に父はにやぁっといやらしく笑った
「お前は私の大切な妻と娘のために必要なんだよ」
その言葉に、私はさらに疑問が浮かぶ
「娘っ……って」
「あぁ、そこも忘れていたのか。まぁ、心を殺すには言ったほうがいいか」
ブツブツとつぶやき、父は私を冷めた目で見る
「オマエは大切な妻と娘の為に生きているイラナイ存在だ」
その言葉に私は息が止まりそうになる
「ローズと妻の為に存在してるんだよ」
ローズ父から出た言葉
私の名前なのに私がいらない存在、とは……?
「父様、ローズは、私の名前で、す」
自分でも顔が引きつっていくのがわかる
「自分の娘の足を潰すわけ無いだろう?」
その言葉で私は察してしまった
私は……この人の子ではないのだと
この人にとっては本当に最初から道具でしか過ぎないと
「お前の本来の母の家系は魔法を使えるものがたまに生まれるんだ」
そう言って嬉しそうに笑いながら父だった男は暗い部屋に入った
そして私をベットに下ろす
「悲しそうな顔をするな。大丈夫大丈夫。オマエは殺さないよ。あの日だって抵抗するからあの子に頼んだんだからね」
「あの、こ?」
今と同じベットに寝かされたことがある気がする
そう……
私の足を父だったこの男がぐちゃぐちゃにしたあの日だ
アノ日、私はこの男につれて来られたんだ…
【憎い】
【憎い憎い憎い】
【この男が憎い】
【怖い怖い怖い怖い】
部屋の扉が開く音がする
ヘレ二を迎えようとそちらへ笑みを浮かべ向き直る
「おかえりな……さ……」
私の言葉が止まる
体が震える
全身から冷や汗が吹き出る
そこに立っていたのは……父だった
「ローズ、来なさい。お前が必要なんだ」
そう言って父は私を抱き上げた
「いや、はなして!」
私は暴れるが父は気にも止めず歩き出す
「離して!離してっ」
「おかしいなぁ…あの時アイツに心を壊す魔法を使ってもらったはずだったんだが…」
「ま、ほう?」
聞き慣れない単語に首を傾げる
その様子に父は面白がるように笑った
「それも忘れていたのか?」
「どういう…こと?」
父は立ち止まり、私の顔をのぞき込んだ
その目はひどく盲信的にみえて……とても、怖かった
あの日の…
あの、足を潰された日のように
「魔法はわかるね?」
魔法、本で読んだりしたことはある
なんでもできる不思議な力、魔法
おとぎ話の中でしかありえないこと…
「わかり、ます」
なら話が早い、と父は優しく笑った
「魔法使いは実際に存在する。魔法は実現するのさ!!」
父の言葉の真意がわからず混乱する
「魔法が使える人がいるとして……私に、何か関係があるんですか…?」
その言葉に父はにやぁっといやらしく笑った
「お前は私の大切な妻と娘のために必要なんだよ」
その言葉に、私はさらに疑問が浮かぶ
「娘っ……って」
「あぁ、そこも忘れていたのか。まぁ、心を殺すには言ったほうがいいか」
ブツブツとつぶやき、父は私を冷めた目で見る
「オマエは大切な妻と娘の為に生きているイラナイ存在だ」
その言葉に私は息が止まりそうになる
「ローズと妻の為に存在してるんだよ」
ローズ父から出た言葉
私の名前なのに私がいらない存在、とは……?
「父様、ローズは、私の名前で、す」
自分でも顔が引きつっていくのがわかる
「自分の娘の足を潰すわけ無いだろう?」
その言葉で私は察してしまった
私は……この人の子ではないのだと
この人にとっては本当に最初から道具でしか過ぎないと
「お前の本来の母の家系は魔法を使えるものがたまに生まれるんだ」
そう言って嬉しそうに笑いながら父だった男は暗い部屋に入った
そして私をベットに下ろす
「悲しそうな顔をするな。大丈夫大丈夫。オマエは殺さないよ。あの日だって抵抗するからあの子に頼んだんだからね」
「あの、こ?」
今と同じベットに寝かされたことがある気がする
そう……
私の足を父だったこの男がぐちゃぐちゃにしたあの日だ
アノ日、私はこの男につれて来られたんだ…
【憎い】
【憎い憎い憎い】
【この男が憎い】
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