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3日目
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車の揺れに身を任せていると、眠気に襲われる
怖くなり、カスミの服の裾をつかむ
「せんせ…」
「んー?」
「少し、ねむ、い」
私の方にちらりと目線をやり、くすっと笑いを漏らしカスミは私の頭をなでた
「寝てていいよ」
「いやっ…」
カスミの言葉に反射的に声を上げてしまう
私にとっては寝るという事は忘れると言うこと
怖い…
でも私の身体はこの心地よさに身を委ねてしまいたいと言っている
「大丈夫」
「何がですか」
「椛が覚えてなくても俺が覚えてる。椛のことを全部」
カスミの言葉に顔を上げ、運転をしている横顔を見つめる
「また何度でも教えるよ。椛の記憶を」
「先生…」
「俺、教師だしね」
「ふふっ、なんですか、それ」
笑いながら、なんだか安心しちゃって……
私は眠気に抗う事なく、目を閉じるのだった
✗✗✗
寝息を立てて助手席にいる彼女を横目に、車を走らせている
「椛さーん?寝た?」
小さな寝息が俺の質問への答えなのだろう
彼女の寝息を聞くのは2日ぶりだった
2日前に彼女が家に帰るときに送ったきり
それからは彼女が学校を休み、会っていなかった
「まさか2日で全部忘れるなんてな」
言い訳にしかならないが仕事が忙しく、しばらく椛の話を聞けなかったせいかもしれない
それとも…
「俺と会わない2日間で…家で何かあったの?ワスレ」
目の前の青かった光が赤に変わり、俺はブレーキを踏み、車を止まらせる
そっと頬を撫でる
久しぶりに触れる暖かな体温に安心して息をつく
「ん……」
小さく声を漏らし身をよじるワスレ
彼女の事は他の人以上に理解しているし、わかってたはずだった
彼女から沢山のことを聞いていたから
眠るのが怖いと聞いた
眠ると忘れてしまうから、と
「お前、本当に無理し過ぎだ…バーカ」
独り言のように呟き、ため息を漏らす
「ワスレ、早く…」
俺は言い留まった
この先を言えばワスレに負担をかけてしまう
目的地につき、車を駐車場に止める
さぁ、はじめましてになるか、それとも……
「ほら起きろ、椛。ついたぞ」
俺は不安に塗れながらもワスレの肩を揺するのだった
不安と期待の入り混じった声で俺は彼女に声をかけるのだった
怖くなり、カスミの服の裾をつかむ
「せんせ…」
「んー?」
「少し、ねむ、い」
私の方にちらりと目線をやり、くすっと笑いを漏らしカスミは私の頭をなでた
「寝てていいよ」
「いやっ…」
カスミの言葉に反射的に声を上げてしまう
私にとっては寝るという事は忘れると言うこと
怖い…
でも私の身体はこの心地よさに身を委ねてしまいたいと言っている
「大丈夫」
「何がですか」
「椛が覚えてなくても俺が覚えてる。椛のことを全部」
カスミの言葉に顔を上げ、運転をしている横顔を見つめる
「また何度でも教えるよ。椛の記憶を」
「先生…」
「俺、教師だしね」
「ふふっ、なんですか、それ」
笑いながら、なんだか安心しちゃって……
私は眠気に抗う事なく、目を閉じるのだった
✗✗✗
寝息を立てて助手席にいる彼女を横目に、車を走らせている
「椛さーん?寝た?」
小さな寝息が俺の質問への答えなのだろう
彼女の寝息を聞くのは2日ぶりだった
2日前に彼女が家に帰るときに送ったきり
それからは彼女が学校を休み、会っていなかった
「まさか2日で全部忘れるなんてな」
言い訳にしかならないが仕事が忙しく、しばらく椛の話を聞けなかったせいかもしれない
それとも…
「俺と会わない2日間で…家で何かあったの?ワスレ」
目の前の青かった光が赤に変わり、俺はブレーキを踏み、車を止まらせる
そっと頬を撫でる
久しぶりに触れる暖かな体温に安心して息をつく
「ん……」
小さく声を漏らし身をよじるワスレ
彼女の事は他の人以上に理解しているし、わかってたはずだった
彼女から沢山のことを聞いていたから
眠るのが怖いと聞いた
眠ると忘れてしまうから、と
「お前、本当に無理し過ぎだ…バーカ」
独り言のように呟き、ため息を漏らす
「ワスレ、早く…」
俺は言い留まった
この先を言えばワスレに負担をかけてしまう
目的地につき、車を駐車場に止める
さぁ、はじめましてになるか、それとも……
「ほら起きろ、椛。ついたぞ」
俺は不安に塗れながらもワスレの肩を揺するのだった
不安と期待の入り混じった声で俺は彼女に声をかけるのだった
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