鬼人の姉と弓使いの俺

うめまつ

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二人目の花嫁

大人しいはずない

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「……姉さん」

「ダイネェも親父もバカ、ドリアドスさんも、全員……」

飲んべえどもが全員酔って暴れてる。

会場がめちゃくちゃ。

勢いに親父達はキスをせがまれて男女見境なく相手をして好きにしてるし、争奪戦の喧嘩。

ローラさんが焼きもちで怒り狂ってる。

まさか本部長も考えなしとは思わなかった。

祝いだと魔法の花火をあげまくって他のギルドの魔法使いが水魔法で消火活動。

グラナラさんやホッパーが同情してる。

「ふふ、でも鬼人のうちらしいんじゃない?」

「好きにできると思ってんだろ」

「んふふ、まあね」

隙あらばキスしてる。

「でも意外とあいつが静か。ビッチ」

「はーい、チサキ。おめでとう」

思ったよりはしゃいでる。

「これで私との縁が濃くなったわ」

「は?」

「ねぇ、チサキ。ラオ君の寿命を伸ばす秘法を知りたくなぁい?」

「え?」

「私を第二夫人にしてくれたら出来るわよ。不老不死とまでは言わないけどあんたの寿命に近づかせられる。どう?魅力的でしょ?」

「そ、れ」

「魔女は連れ合いに延命魔法をかけられるの。でも大がかりな仕掛けと魔力がいるから簡単じゃないけど」

魔法使いの伴侶はだいたいそうしてると言う。

「詳しく聞かせて」

「え、ちょっと、チイネェ?」

「もちろんあんたが第一夫人。本妻。私もちゃんとその辺は弁えてるから安心してよ」

「わかった」

「よく考えてね。嫉妬に狂ったあんたに首にねじられたら最悪。あんたの一族と我が家の全面戦争になるから」

「もっと詳しい話は今からできる?」

「今度にしましょう。今日はこんなだし」

「そうだね」

「お、俺は嫌だ!」

「あらそう?でもお父様とお姉様はどうかしらね?話を聞いてみたら?」

じゃあねと軽く手を振って行ってしまった。

会場の外扉に向かうから帰るんだ。

「……何考えてんの?」

「あんたが短命種だとかすぐ死ぬって脅すから」

「それは、嫌なこと言って悪かったよ。でもだからって、俺が、チイネェ以外と?あり得ないんだけど?自分だって嫌なくせに」

「寂しくなるもの。あんたがいないと辛い。お父さんの気持ち分かった。出来るならなんでもする。そう思うのおかしい?」

「……怪しい話に乗るのはどうかと思う」

「それは、そうだね。迂闊だった」

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