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番外編※リカルド

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「うぅ、でも」

痛みですぐ泣くくせにまだ頑張るつもりでいる。

こっちだって途中で手加減できん。

本気で好きなんだ。

「そのうちだ。そのうち。私が焦ってないのだからラインものんびりしとけばいい」

なだめるつもりで何度も呟やいてラインの背中をさすり続けた。

「……辛そうです」

「……多少だから気にしなくていい」

本当はかなり。

だが言えばラインは無理する。

泣きながらでも相手をしたがる気がして。

無理して先に進んだとしてルーラに以前、指摘された通り“仕事として”交わることになりそうで、それも避けたかった。

「時間を置けば落ち着く」

「……はい」

不満そうだが大人しくなってホッとした。

「……そういえば。……蜂蜜を塗って舐めるって言ってたなぁ。……それならできるかも」

静かになったと思ったら今度は怪しいことを言い出す。

小さな囁きはしっかり耳に届き、眉間にでかい亀裂が走った。

「……誰からの、何の話だ。実家での話なら無視しろ」

「はっ、はいぃっ」

頭を起こして睨むと慌ててまた首にしがみついてきた。

話から逃げるな。

「ライン、誰からだ?答えていないっ」

「無視しますっ!無視しますから!」

圧に怯んでますます縮こまる。

ぎゅうぎゅうに締まる首が少々苦しい。

腰の圧迫も。

これ以上怖がらせるつもりはないから黙るが、この返答ならやっぱり実家か。

本当にとんでもないことばかり吹き込んでくれたな。

いつでもどこでも差し出せるように中に仕込むだのなんだの。

知識と精神的な汚染はあるが、暴力や肉体改造などの恐ろしい仕打ちを受けていないことが唯一の救いだ。

想像するだけでゾッとする。

ここまで無邪気でいられなかっただろうし、出会わなかったかもしれない。

むーっとして黙ってると抱きついてたラインがまたごそごそ動き始めた。

「降りるか?」

寂しいが仕方ない。

いつまでもこんな動かれたらこっちも我慢できん。

「今でもいいんですよね?」

「ん?」

「……今」

「何がだ」

「だから、さっきのを、今か、ら」

「は?」

「……え、と。……続き」

キスの続き、と恥ずかしそうに呟いてる。

「話は分かる。驚いただけ、だ」

早速ひっくり返して組み敷きたいが、これで気が変わったら泣く。

というか泣かせる。

止まる自信がない。

落ち着くために平静を保つが声が裏返ってしまった。

お互いがお互いの顔色を伺って視線が絡む。

泣きそうな顔に一瞬躊躇するが、頬を赤らめて目尻に涙をにじませた上目遣いに思わず唇を舐めた。

「……すいません」

「いや。嬉しい誘いだ。ラインから好きなようにしてみなさい」

腕の中のラインに、不安になったらやめていいと伝えた。

「ん、ちゅ、……れ、」

あむあむ、と不器用に。

飴を舐めて口遊びしてるような。

性感を刺激するというより、赤ん坊の指おしゃぶりみたいな手練。

長く続く焦れた感覚。

まだ足らないとぎゅうぎゅうに抱きつかれて。

口遊びとのし掛かる重さの心地よさに目がチカチカするほど興奮した。

行く宛のない手は何層にも重なった分厚いスカートの上から足や腰を掴む。

捲って直に触れたい。

裸にしたい。

以前よりふっくらした房に触れたい。

もっとはっきりした快楽が欲しい。

この焦れた扱いに耐えかねて、いっそのこと自分が求めるままにと気持ちが傾くが、私の名を呼んで「大好き」と呟かれてしまうと手が止まる。

何もしていないのにラインの唇からこぼれる喘ぎ。

薄い刺激と空気に焦れて自分から求めてる。

自分から押し付けて下手くそに体を揺らして、荒い呼吸には色気がのってた。

今までにない。

こんな乱れた姿。

新手の拷問に耐える価値があると喜んでいた。

ラインの仕打ちのせいで興奮した体から汗を吹き出す。

私は首もとを緩めてだらしなく晒した熱い肌を空気で冷やす。

開いたシャツの隙間に伸びたラインの手が肌をじかに触れる。

「私も、触らせてくれ」

どさくさに紛れてラインの背中のボタンをゆっくり外す。

緩んだ服がたるんで指をかければ簡単に滑り落ちた。

「熱い、です」

「脱げばいい」

「……違う、ここの、中が」

苦しいとか細い声は切なく。

白い手がスカートの上から下腹の奥を擦った。

「胸も、苦しい」

コルセットに持ち上げられた白いなだらかな房も。

「あぁ、……でも怖い」

ポロポロと目から涙をこぼして熱い吐息を落とす。

はだけた胸元から覗く柔らかい谷間に顔を埋めた。

毎回、私もラインの肉の固さと狭さにかなり痛む。

受け入れるラインは内側から引き裂かれるような痛みなのだろう。

「好きなように。ゆっくりやればいい」

「んん、」

チュッと軽く音を鳴らして柔肌にキス。

ふるっと小さく震えて喘いだ。

「リカルド、おうじィ」

私の頭にしがみついて、この溶けて溺れた様子に我慢の限界だ。

食べてしまいたい。

でもまだ。
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