婚約破棄騒動を起こした廃嫡王子を押し付けられたんだけどどうしたらいい？

番外編※リカルド

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「ふぅ、」

疲れた。

思ったより手間取る仕事が多かった。

原因は昨日の寝不足のせいだがな。

ふぁ、と大きな欠伸をした。

ったく。

ライオネルとルーラの訳のわからん夫婦喧嘩のせいだ。

あの男は余所に移して後々仕返しとなる仕掛けをしたのだから放っておけばいいのに。

何を意地になったのかルーラは小物を構いに行って、反対にあの仕事をさせたくないライオネルは悋気でバカをやるし。

ディアナが言うには男の籠落はルーラが専門で行ってた仕事だ。

鈍った腕を確認したかったのかもしれんと。

他のメイド達は家庭に入って刺激がないからかもしれないだの色々と話をして、最終的には性癖が歪んでるのかもと心配していた。

そういうのは夫婦で話し合えと言いたい。

あの実力に頼って、頻繁に使っていた罪悪感はあるから仲裁のつもりで迎えに行ったが、いまだ罰を望む昨夜の懇願に己の価値を見出だせないと悟った。

彼女達が心配した通り歪みであることには間違いなかった。

それだけの存在などではないのに。

私には腹を割ることのできる代えのきかない優秀な側仕え。

ラインにとっては実の姉以上の存在。

ディアナ達も。

頼れる友人であり仲間。

夫のライオネルにはかけがえのない妻。

あれは遊びや同情だけで結婚まで受け入れない。

妙に過保護だったのも分かりやすい独占欲だったんだろう。

やっと全てが収まるところに収まったのに、本人が生きる意義を見いだせていない。

不安から鳥かごを自ら壊そうとしてる。

ドブさらいのような仕事ばかりさせたがもうさせたくないんだがなぁ。

自責と復讐だけで生きるのは寂しすぎる。

自分と関わった彼らの顔が自然と脳裏によぎった。

気がかりだが、ルーラのことはライオネルに任せればいい。

あいつが彼女の夫なのだから。

そう思いもう一度込み上げた欠伸を噛み締めた。