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陛下ってせっかち。
夜からここに住むことになった。
私は屋根裏で良かったのに。
リカルド王子の奥様だからお隣。
嫁いびりと思われるからちゃんとした部屋を使いなさいって。
隣と繋ぐ扉もついてる。
ガチャガチャしても開かなかったし、メイドさん達に鍵を聞いても知りませんって。
開かないし鍵もないなら気にしなくていっか。
その夜の晩餐でリカルド王子の機嫌がいい。
陛下が今夜は頑張れと励ましてた。
「今夜は冷えるから風邪を引かぬように。ラインは細くて病弱そうだから。リカルド、夜は気にしてあげなさい。早めに切り上げて、」
「父上、黙ってください。口出しは止めてください。二人の前でそこまで言うと下品です」
何か分からなくて首をかしげた。
やっぱりルルドラ王子も。
相変わらず二人で目を合わせてきょとんとしてる。
「分からないけど、ライン義姉様は風邪に気を付けて。母も風邪を拗らせたせいだと聞いてますし」
「はい。ルルドラ王子もお部屋を暖かくしてくださいませ」
「は、い」
なんだか心細そう。
「良かったら寝る前に私とおしゃべりしませんか?」
ルーラさんがしてくれたみたいに。
「いいんですか?」
きゃっ!
またルルドラ王子のお顔が華やいだ。
笑うと本当に天使だ。
眩しい。
「ルルドラ王子のお部屋にご訪問しますね。寝る前の本を持っていきます」
あとで図書室の本をお借りしよう。
話すばかりじゃ話題がないかも。
「待て、ルルドラの部屋にだと?」
「ラインが行くのか?」
「え?だめでしたか?では私の部屋にしましょうか?ルルドラ王子」
「はい、ライン義姉様!」
きゃー!
天使の微笑み。
「ルルドラ、待ちなさい。ラインも」
「成人してなくてもルルドラは男だ。義姉との同室はいかん。お前の嫁はおぼこにもほどがあるぞ」
あれー?
きょとんとする私達にパブリックルームへ行けとお二人から叱られた。
側には陛下とリカルド王子。
お二人は私達を眺めてお酒をちびちび。
リカルド王子はまだ不調だから飲まない方がいいのに。
だめですって言ったら少しだけとごねた。
陛下も甘いから少しだけならだって。
もうっ、あとで具合が悪くなっても知らない。
二人ともお酒を飲むなら違う部屋に行けばいいのに。
専用のお部屋があるんだから。
「うう、ルルドラ王子の方がお勉強出来ますね」
「僕は王子だもの。しっかり勉強しないと」
ルルドラ王子とのゲーム。
カードで単語作り。
並べて単語を作るんだけど負けっぱなし。
「ねえ、ライン義姉様。こっちで遊びます?」
「それ、なんですか?」
盤と駒。
分からないから教えてもらう。
これも負けっぱなし。
ぼこぼこにされた。
泣きそう。
「……難しい」
「じゃあ、こっち」
今度はカードをひっくり返して同じ絵柄を探すだけ。
これはいい勝負。
「やっと勝てたぁ!」
「むーっ」
初勝利!
「もう一回!」
「私も混ざろうかな」
「わしも」
陛下とリカルド王子も。
嬉しかったのは最初だけ。
ルルドラ王子と頑張るんだけど二人からぼこぼこにされた。
何やってもぼこぼこ。
ルルドラ王子と二人で泣いた。
「すまん、ルルドラ」
「ごめん、ライン」
「ゲームって分かってますけどぉ、ひっく」
「うわーんっ!」
特に幼いルルドラ王子は号泣。
こんなぼこぼこにしなくても。
可哀想だから抱っこした。
いい子いい子と頭を撫でる。
「……私にもさせたことないのに」
「何がですか?」
「うっ、すまん。睨むな」
ジト目のリカルド王子は可愛くない。
涙目で睨むと首をすくめた。
この手加減下手くそ王子。
ぼこぼこにされてちょっと恨んでるんだからね。
夜からここに住むことになった。
私は屋根裏で良かったのに。
リカルド王子の奥様だからお隣。
嫁いびりと思われるからちゃんとした部屋を使いなさいって。
隣と繋ぐ扉もついてる。
ガチャガチャしても開かなかったし、メイドさん達に鍵を聞いても知りませんって。
開かないし鍵もないなら気にしなくていっか。
その夜の晩餐でリカルド王子の機嫌がいい。
陛下が今夜は頑張れと励ましてた。
「今夜は冷えるから風邪を引かぬように。ラインは細くて病弱そうだから。リカルド、夜は気にしてあげなさい。早めに切り上げて、」
「父上、黙ってください。口出しは止めてください。二人の前でそこまで言うと下品です」
何か分からなくて首をかしげた。
やっぱりルルドラ王子も。
相変わらず二人で目を合わせてきょとんとしてる。
「分からないけど、ライン義姉様は風邪に気を付けて。母も風邪を拗らせたせいだと聞いてますし」
「はい。ルルドラ王子もお部屋を暖かくしてくださいませ」
「は、い」
なんだか心細そう。
「良かったら寝る前に私とおしゃべりしませんか?」
ルーラさんがしてくれたみたいに。
「いいんですか?」
きゃっ!
またルルドラ王子のお顔が華やいだ。
笑うと本当に天使だ。
眩しい。
「ルルドラ王子のお部屋にご訪問しますね。寝る前の本を持っていきます」
あとで図書室の本をお借りしよう。
話すばかりじゃ話題がないかも。
「待て、ルルドラの部屋にだと?」
「ラインが行くのか?」
「え?だめでしたか?では私の部屋にしましょうか?ルルドラ王子」
「はい、ライン義姉様!」
きゃー!
天使の微笑み。
「ルルドラ、待ちなさい。ラインも」
「成人してなくてもルルドラは男だ。義姉との同室はいかん。お前の嫁はおぼこにもほどがあるぞ」
あれー?
きょとんとする私達にパブリックルームへ行けとお二人から叱られた。
側には陛下とリカルド王子。
お二人は私達を眺めてお酒をちびちび。
リカルド王子はまだ不調だから飲まない方がいいのに。
だめですって言ったら少しだけとごねた。
陛下も甘いから少しだけならだって。
もうっ、あとで具合が悪くなっても知らない。
二人ともお酒を飲むなら違う部屋に行けばいいのに。
専用のお部屋があるんだから。
「うう、ルルドラ王子の方がお勉強出来ますね」
「僕は王子だもの。しっかり勉強しないと」
ルルドラ王子とのゲーム。
カードで単語作り。
並べて単語を作るんだけど負けっぱなし。
「ねえ、ライン義姉様。こっちで遊びます?」
「それ、なんですか?」
盤と駒。
分からないから教えてもらう。
これも負けっぱなし。
ぼこぼこにされた。
泣きそう。
「……難しい」
「じゃあ、こっち」
今度はカードをひっくり返して同じ絵柄を探すだけ。
これはいい勝負。
「やっと勝てたぁ!」
「むーっ」
初勝利!
「もう一回!」
「私も混ざろうかな」
「わしも」
陛下とリカルド王子も。
嬉しかったのは最初だけ。
ルルドラ王子と頑張るんだけど二人からぼこぼこにされた。
何やってもぼこぼこ。
ルルドラ王子と二人で泣いた。
「すまん、ルルドラ」
「ごめん、ライン」
「ゲームって分かってますけどぉ、ひっく」
「うわーんっ!」
特に幼いルルドラ王子は号泣。
こんなぼこぼこにしなくても。
可哀想だから抱っこした。
いい子いい子と頭を撫でる。
「……私にもさせたことないのに」
「何がですか?」
「うっ、すまん。睨むな」
ジト目のリカルド王子は可愛くない。
涙目で睨むと首をすくめた。
この手加減下手くそ王子。
ぼこぼこにされてちょっと恨んでるんだからね。
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