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第三章※その後
番外編※イルザン
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中からムスタファの鳴き声がたくさん聞こえた。
嫌だって。
やめてくれって甘く鳴いてた。
早く入れて、助けてくれって。
ぞくぞくしたのに。
スッゴい興奮したのに。
俺は反応しなかった。
ずっとどんな風に鳴くのか知りたかったはずなのに。
扉の向こうでムスタファはビスの名前を呼んでいた。
隊員からも元気がないと気にされた。
「最近、女を買いませんね」
「歳かな」
「またまた何言ってるんですか、あはは」
見た目から若く見られるが結構なおっさんだ。
ムスタファとは10近く離れてる。
あいつが歳より貫禄あるから釣り合ってたけど。
マルシェと比べたらもっと離れてる。
この子が生まれた時にはもう軍に入って働いていたんだ。
本当におっさん。
そのマルシェが積極的になってるから戸惑ってる。
「お嫁さんにしてください」
事あるごとにそう言われる。
「だめ、歳の差が大きいから」
「好きです」
「だめ、おっさんだから」
「私なら幸せにできます」
「すごい自信」
「自信ありますもん」
「なんで?」
「大好きだからです」
こっちが赤くなるようなことを平気でいつも言う。
「マルシェ」
「はい、大好きな副団長。なんですか?」
「嘘ついたよね?ムスタファのこと」
そう言うと真っ青になって項垂れた。
「……はい、すみませんでした」
なんで、と聞くつもりはない。
「正直だね」
「……大好きだからです。本当は言いたくありませんでした」
下げた頭を撫でる。
「気持ち分かるよ」
気持ちは分かるけど俺とは違う。
俺はムスタファにこんなに必死にならなかった。
なれば違ったかもしれない。
今さらだ。
それに、へこんでる俺にはこの子の愛情が心地よかった。
「マルシェ、ありがとう。うれしいよ」
そう言って肩に手を置いて小さな体を抱き締めた。
まさかその場で押し倒されて結婚の承諾までもぎ取られるとは予想してなかったが。
「よし!お父さんとお母さんに報告しましょう!今すぐ!」
引きずられて店主とおかみさんに伝えると喜ばれた。
ムスタファが領地に固執したように。
俺もこの居場所をなくしたくないと強く思った。
~終~
嫌だって。
やめてくれって甘く鳴いてた。
早く入れて、助けてくれって。
ぞくぞくしたのに。
スッゴい興奮したのに。
俺は反応しなかった。
ずっとどんな風に鳴くのか知りたかったはずなのに。
扉の向こうでムスタファはビスの名前を呼んでいた。
隊員からも元気がないと気にされた。
「最近、女を買いませんね」
「歳かな」
「またまた何言ってるんですか、あはは」
見た目から若く見られるが結構なおっさんだ。
ムスタファとは10近く離れてる。
あいつが歳より貫禄あるから釣り合ってたけど。
マルシェと比べたらもっと離れてる。
この子が生まれた時にはもう軍に入って働いていたんだ。
本当におっさん。
そのマルシェが積極的になってるから戸惑ってる。
「お嫁さんにしてください」
事あるごとにそう言われる。
「だめ、歳の差が大きいから」
「好きです」
「だめ、おっさんだから」
「私なら幸せにできます」
「すごい自信」
「自信ありますもん」
「なんで?」
「大好きだからです」
こっちが赤くなるようなことを平気でいつも言う。
「マルシェ」
「はい、大好きな副団長。なんですか?」
「嘘ついたよね?ムスタファのこと」
そう言うと真っ青になって項垂れた。
「……はい、すみませんでした」
なんで、と聞くつもりはない。
「正直だね」
「……大好きだからです。本当は言いたくありませんでした」
下げた頭を撫でる。
「気持ち分かるよ」
気持ちは分かるけど俺とは違う。
俺はムスタファにこんなに必死にならなかった。
なれば違ったかもしれない。
今さらだ。
それに、へこんでる俺にはこの子の愛情が心地よかった。
「マルシェ、ありがとう。うれしいよ」
そう言って肩に手を置いて小さな体を抱き締めた。
まさかその場で押し倒されて結婚の承諾までもぎ取られるとは予想してなかったが。
「よし!お父さんとお母さんに報告しましょう!今すぐ!」
引きずられて店主とおかみさんに伝えると喜ばれた。
ムスタファが領地に固執したように。
俺もこの居場所をなくしたくないと強く思った。
~終~
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先にこちらから読みまして、その後に本編の白豚の方を読ませて頂きました。
前半の当馬時代……泣きそうになりました。下半身共から頑張って耐えたなぁとか、イルザンの気持ちも分かるけど苦しいなぁとか、お嬢様に会えて良かったね……とか。
最終的に捕まったのがビックリするようなタイプで驚きましたが、絆されてもそれでも良い関係になるならそれで良いんだよーと本編(白豚の方)も読みながら納得しました。
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作品面白かったです。
2作品も読んでいただいいた上に感想までありがとうございます!
面白いなんて、そんな、嬉しさのあまり語彙力が崩壊しております。
重ねてありがとうございます!
退会済ユーザのコメントです
はい!同感です!お仲間嬉しいです!感想もありがとうございます!
本作の前座がかなり長くて申し訳ありません。
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