うちの妻はかわいい~ノンケのガチムチ褐色が食われる話~

うめまつ

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第三章※その後

番外編※イルザン

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夜も更けた。

飲んでいた隊員の奴等は床に大の字で寝るものやテーブルに突っ伏したり、並べた椅子に寝こけるもので店内は溢れていた。

店主とおかみさんが片付けをして寝転ぶ奴等に毛布をかけてやってる。

「騒いですまなかった」

「いいえ、たまにはよろしいんですよ」

俺も酔ってフラフラになりながら2階に。

時々、階段の段差に爪先を引っかけながら。

でも部屋には誰もいなくて代わりに見知った若い娘が寝床の用意をしていた。

「あ、あれ?客がいただろ?どこ?」

戸惑ってボンヤリしていたら店主の末娘マルシェが青い顔をして頷いた。

「先生ならお帰りになりました。」

「え、帰った?ムスタファが?」

「はい、副団長が下にいるうちに。」

なんで?

頭が動かない。

酔った体が辛くてその場にしゃがみこむ。

「副団長、どうぞベッドへ」

「わかった、わかったから。」

腕を捕まれて立たせようとするのを押し返す。

「遅いから、この部屋は君が使いなよ。おかみさんと。俺は下に行くから」

よろよろと階下に戻ろうと背を向けたら、よろける体を支えられた。

「いいから、手はいらないよ。おお、と。酒が足に来てる。立てないや」

片ひざをついてしゃがむと目の前にマルシェが心配そうに顔を覗きこんでくる。

再度伸ばされた手を断る。

白い顔、そばかすが可愛い。

若くて魅力的だ。

間違いがあってはならない。

それよりムスタファのことが気になった。

「あいつ、何か言ってた?俺、なんか怒らせちゃったかなぁ。機嫌崩すと面倒でさぁ。はは」

床に這いつくばったまま尋ねる。

「……恋人のところへ戻ると。次に会うときは友人だそうです」

「は?うそ、」

「本当です」

顔をあげてじっと見つめると当然のように答えた。

「……そっかぁ、またかぁ。……また俺の手から」

黙らなきゃと思うのに、口がペラペラと軽く動く。

「やっと俺のところに戻ったのにまたどっか行っちまった。もう何年あいつのこと待ってるんだっけ?はち?きゅう?俺は一目見たときから、こんなにあいつのことばっかなのに。」

ずるずると自分を支えていた腕が潰れた。

もう顔は床についてる。

「あいつは俺じゃないんだ。寂しいときだけ。そんなときしか、俺のこと構わねぇ。ひでえよな。うう、ず、」

「私も好きな人がいます。私になんか目もくれないひどい人です」

「ひでぇな、そいつ。マルシェはこんな可愛いのに。ぐず、」

「ひどいですよね、見てくれないなんて」

「ああ、そいつはアホだ。」

床の冷たさが頬に当たり気持ちいい。

「先生もひどい人です。こんなに想われてるのに」

「そうだね、ひどいよね?」

頭を撫でる手が優しかった。

「ね?ひどい人でしょう?」

酔いと眠さに身を任せたまま目をつぶって頷いた。
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