うちの妻はかわいい~ノンケのガチムチ褐色が食われる話~

うめまつ

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第三章※その後

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別室のベッドには歩いて行く。

そうしながらもお互い離れるのが嫌で触れあいながら。

ごろ寝してキスして笑った。

「…こういうのがいい。」

「そう?」

ダークブラウンの髪。

ビスより固くて俺より柔い。

くしゃくしゃに撫でると嬉しそうに目を細めた。

緩んだ髪紐をほどくと顔に垂れて雰囲気が変わる。

それでも柔らかい顔立ちは変わらない。

顔を引き寄せると唇に舌を。

俺も舌を出して応えるとちゅくちゅくと吸われた。

「ん、」

「ふ、…あ、」

しばらくはキスしてお互いの肌を触って、またキスして。

目が合うと笑った。

「気持ち良さそうだね。」

「ああ、気持ちいい。…安心する。」

無理矢理、果てさせられるとこも縛られることもない。

嫌なことをされない。

それだけですごい穏やかになれた。

髪にもぐる指が心地よくて目をつぶった。

「脱ぐとまた、…すごいね。」

驚く声。

黙って頷いた。

なぞる場所で何のことかわかった。

ひりつく痛みに呻く。

手首や足首に限らず胸から背中に二重、三重と縄目の跡がある。

二の腕や太もも、腰、どこもかしこも残っている。

自分でも驚いてた。

意識があるうちに巻かれるのは手首か足首。

あとは気づく間もなくだ。

「…あいつの手際はどうにもならん。」

「勝てない?」

「ああ、無理だ。悔しいけどな。」

「はあ…。ムスタファが勝てないってのもなぁ。化け物じゃん。」

「だな。…もう今はいい。萎える。」

あれはどうにもならん。

何を考えてるのかもわからん。

「はいはい。ん、」

太ももをお互いに使うかと話をしていたら、一階から騒ぐ声が聞こえて中断した。

せめて店が閉まってからだ。

イルザンも同様に階下の喧騒を聞いてキスや触れ合い以外は仕掛けてこない。

「…まだ下が賑やかだな。」

寝返りを打って見えるはずのない床を見て呟いた。

「珍しいな。いつもはもう少し早く閉まるのに。」

イルザンがうつ伏せになった俺の背中にのし掛かって賑やかな階下の様子を伺う。

喧嘩らしい音は聞こえない。

歌って騒いで盛り上がってるのが聞こえる。

気のせいか階段を登る昇る音も。

「おい、2階に誰か来るぞ。」

一人じゃなくて数人の足音。

「え?うそ、なんで?」

イルザンも聞こえるらしくて慌ててベッドから飛び起きて服を着ていた。

ドンドンと強く戸を叩かれ若い男らが名を呼んでいた。

仕方なしに俺も服を着る。

「問題か?」

「さあ?」

先に着替え終えたイルザンが隣の部屋へ向かう。

戸が開く音。

「なんだよ、お前ら。」

「ふくだんちょー!のみましょー!」

「はああ!?ちょ、まて!こら!」

陽気な声と共に数人がイルザンを引っ張って部屋に降りて行った。
 
その合間に俺も着替えが終わる。

「…先生?」

振り替えると寝室の入口に若い娘がいた。

お嬢様よりは年上に見える。

「初めまして。以前は甥がお世話になりました。」

ペコッと頭を下げたのでこちらも軽く頭を下げて見せた。

「ということは、ここの主人の娘かな?」

「…はい。先生もどうぞ、皆さんとお酒を、」

「いや、明日が早いから俺はいい。」

寄ってくるのを後ろに下がって避ける。

「…そう、ですか。…でも、少しくらい。」

「気持ちだけで。」

そう応えるとまだこちらをじっと見て思案している。

寝室は薄暗い。

廊下にランプを置いているせいで娘の顔は逆光で見えない。

ただ、何か腹に隠したものを感じて警戒心が湧いてきた。

「まだ何か?」

もごもごと口ごもる様子にはっきりしない態度。

歓迎されてない空気はわかった。

「…私、いつも。…副団長のお世話をしてます。」

洗濯やらは老夫婦に頼んでると聞いていたから驚くこともない。

「…そうか。…イルザンから聞いている。」

「…私はあなたが誰か分かります。」

「あ?」

先程、甥を診た医者とわかった口振りだった。

何を言いたいのかわからない。

「…誰、と言うと?」

目元に手を。

拭うしぐさに泣いていると察した。

「ふ、副団長の想い人ですよね?」
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