うちの妻はかわいい~ノンケのガチムチ褐色が食われる話~

うめまつ

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第一章※本編

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警備で呼ばれたはずなのに。

この隊に所属してから毎回、ダンスに呼ばれる。

何人かご婦人のお相手をしてもとの配置へと移動した。

最初は出来ないと断っていたが、なぜか余計喜んで呼び出されて練習と言ってホールに呼ばれた。

出来ないのが初々しく良かったらしい。

俺からしたら笑い者にされてキツかっただけだ。

通常呼ばれるのはうちの隊長の上。

団長と副団長、他の高位貴族の令息だ。

貴族の中に混じって一人。

たまに見目の良いイルザンが混じるが本当にたまにだ。

俺だけ毎回。

おかげで団長にダンスを教わる羽目になったんだ。

他の摘まみ食いが趣味の部隊長まで参加して食われかけたり。

恐ろしかった。

さっさと覚えて逃げ出した。

中庭の配置に戻ってほっとため息をついていたら、後ろから走って草を分け入る音がして振り返った。

「ムスタファ?待って、足早いよ。」

「あ?ハシント、お前のところも来ていたのか?」

名簿に名前がなかったはずだが。

「いや、ちがうよ。旦那様の上の大旦那様に僕は貸出しされてんの。お二人は別の商会だから。僕は大旦那様にも気に入られてる。」

「へえ。さすがに嫉妬深くても上には逆らえなかったか。」

「まあね。」

「それともお前の手腕かな。さすがだ。」  
 
二人相手に手玉にとってる様が目に浮かぶ。

「はは、あんたが言うと嫌味に聞こえないね。不思議。」

「ああ、俺は人の扱いが下手だからな。本気で感心してる。その旦那の元にいなくて良いのか?」

「少しならね。で、あのことだけどさ。…あー。」

饒舌だった様子に陰りが見えた。

「子供の件か?」  

「どんな?」  

「まだ何も。」

昨日の今日だ。

すぐには反応が悪い。

あの後を支度の時間ギリギリまでフノーや旦那様に聞いて回ってみたが、やはり芳しくない。

お嬢様に手紙を送るか考え中だった。

「…どうにもならない時は言って。」

「宛があるのか?」
 
「でも、良いとは言えないよ。」

「そうか。」 

「子供じゃなくて、君にだけどね。」

「どういう意味か?」
 
「こっちも条件を通してるところ。詳しく言えない。」

「…わかった。期限は?」

「…ないよ。いつでも良い。」

「碌な話じゃなさそうだな。」

「まあね。そこまでする意味あるかも分からない。」

話はそれで終えた。

パーティーが終わり馬車の警備へ。

来賓を馬車へと誘導する。

高位貴族が終わり次は商人だ。

それでも、もとは貴族の血筋が多い。

下手なことは出来ない。

ひとり、俺の前で立ち止まる。

「君が噂のムスタファか。」

ハシントを連れた年寄りに声をかけられた。

恭しくお辞儀をする。

じろじろ見られて品定めされるのがわかった。

「ふむ。ハシント、状況は?」

「まだです。こちらの条件を整えているところなので。」

「そうか。良いようにしなさい。」

「…はい。」

年寄りは馬車へ乗り、ハシントが俺に顔を寄せる。

「そちらの条件は全て飲む。1週間待って見つからなかったらいつもの手紙に返事をくれ。」

「そちらの条件は?」
 
「1週間後だ。後日、説明する。」

頷いて答えた。

“そこまでする価値があるか分からない”  

その言葉が頭を回った。

俺にとって不本意な事を求めてる。

条件を聞いてから決める。

それでいい。

“価値があるか?”

あの子は他人だ。
 
身内でもない。

ただの患者。

どこまでするか考えあぐねた。

「ねえ、あなた。ちょっと待ちなさい。」

帰るつもりだったのに、ここの主催者の奥方に呼び止められた。

団長と副団長は困惑していた。
 
「はっ。」

頭を下げようとしたら、顎を指で持ち上げられた。

腰を屈めたまま顔を上げさせられる。

慣れた妖艶さが醸し出されている。

「残りなさい。」
 
「あ?は?」
 
「一晩借りるわ。」

「いえ、隊員を置いては、」

副団長が慌てていた。

「ねえ、私の方が身分が上よね?」

「…はい。」
 
たった一言で黙らせた。

「奥方には相応しからぬかと思いますが?」

団長が引き継いで言葉にする。

「そうかしら。」

つーっと指で頬を撫でて鼻筋をなぞる。

「ふふ、ふ。」

爪で唇をなぞられる。

ぞわぞわして顔をしかめた。
 
「明日には返すわ。」

腕を引かれて屋敷に戻った。

後ろの団長達を振り替えって見つめたが、困惑するばかりでどうにもならないようだ。

部屋に入り、酒を進められた。

何が入ってるか分からないものを飲む気にならない。

口をつけて飲むふりをする。

ドアが開き、主催者、つまりこの女性の主人が部屋に入ってきた。

この状況に恐ろしくなった。

修羅場になるかと思った。

「ああ、やはりそれを選んだか。」

「ええ、楽しみの邪魔をしないでくださる?」

「色違いは趣味じゃない。しかも厳つすぎる。」  

「えー?そうだったかしら?でも顔が良いわよ。体も、ねえ?」

ぷつぷつと胸元のボタンを外されて仰け反る。

「あら、意外と純情?ふふ、花街の色男と言われてるのに。」

圧倒されて奥方が座る反対側に体が傾く。

「うふふ、意外と可愛いわぁ。」

上にのし掛かられて唇を押さえ込まれた。

酒の臭いと紅の香り。

不快だった。

顔を横に向けて、体を起こして逃げた。

「申し訳ありません。奥様には、相応しからぬかと存じ上げます。」

ごそごそと股間を触られるが反応しなくて怒りだした。

「申し訳ありません。緊張しております。」

床に膝まずいて頭を下げた。

しばらく怒鳴る声を聞いて、大人しく床に這いつくばった。

髪を捕まれて体を起こされた。

目の前に裸の主人が立っていた。

「あ?…あが、な、」

なんでだ。

呆然としてる間に口をこじ開けられた。

「男も女もと聞いていたが、違ったようだな。」

「あーあ、旦那様しか楽しめないなんて!がっかりだわ!」

「…や。やめ、んっ!ぶっふ、お!」

無理矢理、喉に突っ込まれて嗚咽が。

乱暴に頭を揺すられる。

「君としてるのも見たかったけどな。残念だ。」

「そうね!この役立たず、旦那様にかわいがってもらいなさい!」

抵抗したくて手がさ迷う。

だが、怪我をさせたら?

理由など意味もない。

俺の身分では。

俺が、有罪だ。

「お、がぁ」

ゴンゴンと喉に叩きつけられる。

涙目になりながら震える手をゆっくり下げる。

自分の膝に置いて強く、強く握った。

「歯が当たってるぞ。下手くそが。」

「んぐうう。う、お、おご、」

「ああ、そうだ。口を開けて。上手いぞ。」

誉められたくねえよ。

ぼろぼろ泣きながらただ口を開けた。

いてえ。

ちくしょう。

このくそやろう。

身分さえなきゃぁ。

こんなほそっこいオッサン。

俺の方が。
 
一層、激しく叩き込まれ喉の奥へ。

臭くて、ドロッとした熱いものが勢いよく。  

「うっぷ。」

「吐くな。絨毯が汚れる。」

えずいて込み上げてきた。

頬を叩かれた。

慌てて口を塞ぎ出たものを飲み込む。

だが、鼻から出た。

なんで、俺がこんな目に?

「お、お許しください。」

頭を床につけて頼む。

袖でこそっと絨毯を拭いた。

文句言われたくねぇ。

頭を冷やす。

怯えるのは嫌だ。

怒っても身分で勝てねぇ。

頭を大人しく下げて様子を窺う。

諦めて受け入れるか、抵抗するか。

頭を集中させた。

「せっかく噂の犬を楽しもうと思ったのに。女がだめなんて、上のメス犬ってのが本当のうわさのようね。」

奥方の声に怒りが涌き出る。

急に頭を捕まれて上を見上げさせられる。

内心、またかと毒づきながら。

「じゃあ、次はうちの奥方を楽しませてくれるかい?犬なら舐めるのが得意だろ。」

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