うちの妻はかわいい~ノンケのガチムチ褐色が食われる話~

うめまつ

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第一章※本編

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ちゅぱっとぬめった音。

「ん、んん。」
 
イルザンは舐めるのが好きだ。

裏筋から玉の裏まで溶けそうなくらい舐めてくる。

部屋にいるとこうやってすぐ舐めたがるが、時々断る。

いつもだと疲れるから。

俺は舐める気になれなくて手でしごいてやる。

キスしながらしごくのが好きだ。

「ん、んんんっ、」

しごきながら上から被さって唇を塞ぐ。

塞がれてくぐもった声で俺の名を呼ぶ。

「すき、ムスタファ、すきだ。んん、んふん、」

最初、俺の名前しか聞き取れなかった。

好きだと言ってると気づいて驚いた。

興奮すると泣きながら好きだと言う。

関係をやめるかと尋ねてみた。

キスしてしごき合うくらいに気に入ってるが、それだけだ。

ケツをいじり合うほどではない。

「いい。今のままで。」 

顔をじっと見つめると笑った。

「気にするなよ。」

唇をぺろっと舐めてきた。

「気持ちいいのが好きなんだ。お前、最高だ。」

下唇を吸うのを好きにさせた。

髪に指を絡ませてほぐすのが気持ちいい。

目を細めて撫でられたままじっとした。

「ムスタファと同じで俺もケツは嫌なんだ。貸したくもねぇし、お前に入れるのもなぁ。…なんか違う。俺はこのくらいがいい。」

「ああ、なるほど。」

それならわかる。

瞳からもハシントを思い出す。

あいつは好きだとなついていたが、俺より損得が大事で気持ちよければのタイプだった。

たまにムラムラしたからさせてくれと頼んだ。

タイミングが悪ければ太客の前だから帰れとか疲れてるから嫌だとかあっさり断られて笑った。

執着のなさは気楽だった。

「好きは好きなんだが。ん、…んん。」

「わかる。俺もだ。ん。」

俺もイルザンの唇を吸う。

唇の形を舌でなぞった。

「俺はこのくらいがいいなぁ。」

「合わせてる訳じゃなさそうだな。」

表情を見てそう言葉にした。

「まあ、なぁ。好きすぎるのも疲れる。」

嫌そうな顔に笑った。

「通りで他に買っても怒らんはずだ。」

「はは、お互いな。」

「ん、む、れろ、だが泣くとヒヤッとする。すぐ泣くな。」

「あ、む、…ん。ごめんな。」

少し赤い目元にキスをした。

「毎回好きと言いながら泣く。あれ、なんだ?」

「好きなんだよ。お前が。」

「泣くほどか?」

「ああ。だけど、このくらいがいい。」

「…へえ。…よくわからん。」

「あはは、俺もだ。」

乳首を避けて体を撫でた。

服がすれて痛いらしい。

代わりに脇や腹を撫でる。

「お前、綺麗だよなぁ。」

「あ?」

「好きだわー。はは。」

「ふぅん。」

眉や鼻筋をなぞってくる。

「体も。」

にぃっと口角をあげて、裸をじろじろと見てる。

二人とも服を脱いでベッドで転がってる。

「よくこれだけ鍛えたな。」

撫でるのを好きにさせた。

「ケツを守りたかった。」

「ぶは!あは!あはは!」

「笑うな。毎日、恐ろしかったんだ。」

「あー、だったなぁ。いつもぴりぴりしてた。肌の色よりそういう雰囲気だったから目立ってた。」

「なんでだよ。」

「生意気そうだから。その癖、背がでかくて今ほどじゃなくてもがたいもいいし。けっこう可愛かったぜ。」

「あ?どこが?がたい良かったのに。」

「体は仕上がってたけどまだ顔に幼さが残ってた。大人びてたけど年相応な感じで。」

「ふぅん。そうか。」

それのどこが可愛いのかわからん。

だが、どうでもいい。

昔のことだ。

「なあ、続きどうする?」

お互いに抜いてはいる。

「そうだな。俺はこのままだらだらしたい。お前は?」

「このままで。…ん」

裸の体を重ねてキスをしながら眠る。

気持ちいい。

昔の夢を見た。

お嬢様とマックス。

庭を駆けてた。

走って、三人で。

草むらに転がってる。

三人で笑っていた。

“チョコレート。私のチョコ。だぁい好き。”

鈴がなるようなくすぐったい声。

大人しいマックスの穏やかな微笑み。

二人とも腕を掴んで振り回してやると喜んだ。

照れたマックスを抱えたりお嬢様の願うまま肩車をしてやった。

弟弟子は敬意を払って接してくれて お嬢様は楽しそうに駆け出した。

二人で追い掛けて幼いお嬢様を可愛がって。

遠くから先生達が俺達を微笑んでくれた。

微笑んで見守られていると離れていてもわかった。

手を振ってたので俺達も手を振った。

帰りたい。

会いたい。

残りたかった。

「…タファ、ムスタファ?」

「あ?」

「…おはよ。」

「あ、ああ、おはよ。」

イルザンが心配そうに覗きこんでいた。
 
違和感から目元を触ると濡れていた。

「俺は泣いていたのか。」

「夢見悪かったか?」

「いや、良い夢だった。」
 
目蓋にキスをされた。

「ありがとう。」

「ん、気にするな。」

腕を回して抱きつくと頭からすっぽり包んで抱き締められた。

それが心地よかった。

そうして過ごしていたら起床の鐘がなる。

動き出してからはいつも通りだ。

だが、いつもより甘い。

部屋を出る前にキスをされた。

「なんだ?」

笑って尋ねると微笑んでいた。

「年下が可愛いから。」

「そうか。」

仕返しに俺からも唇を舐めて抱き締めた。

こいつの背中を撫でる腕が好きだと思った。

食堂へ着いたら山盛りの朝飯を食べる。

「多くないか?」

「最近は忙しい。食って回復する。お前が少ない。もとの体に戻らんぞ。」

通訳に往診。

通常勤務もある。

夜勤は免除されてるがやることが多かった。

あとでフノーのところにも寄らないといけない。

治安が悪化して現場への同行が多い。

行けば怪我人が出るまで一般勤務。

何かあれば隊員以外の診察も。

他にもいるが両方の現場で動ける軍医は俺だけだった。

「いや、軽くて動きやすいからこのままでも良いんだけど。」

「なら構わん。さっさと食っていくぞ。」

「はいはい。」

他の奴等も合流してテーブルがやかましくなってきた。

声がでかくてイルザンの話が聞こえなくて耳を寄せ聞いた。

今日の予定のことを話してなかった。

フノーのもとに寄るのであとで現地に行くと俺も顔を寄せて答えた。

それを見たこいつらはひゅーっと口笛を鳴らして喜んだ。

「お前ら、仲いいな。はは。」

「そうだな。」

囃し立てられたが、適当に肯定して頷いて話を続けた。

「やめろ、打ち合わせが聞こえない。」

「打ち合わせがいるのかよ。」

「医局の仕事もある。もたつくと困る。」
 
ごっと椅子を蹴られて振り向いた。

揺れただけで大したことはないが驚いた。

「自慢かよ。」
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