うちの妻はかわいい~ノンケのガチムチ褐色が食われる話~

うめまつ

文字の大きさ
上 下
9 / 67
第一章※本編

8

しおりを挟む
おさらばと思ったのに。

「延期ですか?」

「ああ。」

あとひと月で退役の日だった。

隊長に呼ばれたと思ったら話はこれだ。

隣国が他所と戦争をして我が国まで治安が悪化していた。

「どのくらいでしょうか?」

「…わからん。」

難民が押し寄せてる。

賊も増えた。

医者も通訳も足りてない。

兵士としての能力もあり、言葉を話せて治療もできる俺は手放せないそうだ。

しばらく言葉が出なくて黙っていた。

「悪いな。」

「…いえ。」

旦那様からも手紙が来た。

同じ内容だった。

うすらハゲに絡まれたが構う気分にならずシカトした。

落ち込んでも仕方ないと働くがあまり覇気が出なかった。

気晴らしに女でもと思ったのに、花街も寂れて活気がなかった。

しばらくすると人手が足らないからと辞めたイルザンが戻ってきた。

他にも見知った顔ぶれが増えた。

「久しぶりだな。」

「…ああ。」

「どうした?以前より暗くなったな。」

「戻りそびれた。」

「ああ、それか。楽しみにしてたよな。」

頷いて返す。

帰りたかった。

人が増えたことで寮の部屋が足らなくなり、二人部屋になる。

俺の同居人はうすらハゲと知り合いで見下げてくるからそいつも気に入らなかった。

寮長と相手に部屋の交換を申し出てイルザンと同室にした。

イルザンの方も高位貴族の五男坊で気が合わないそうだ。

また噂が再燃してうるさかったが、今は非常時ということで暇潰しに構われることは少なかった。

「ん、ふ。」

「は、ん」

部屋で二人の時に手紙の話を持ち出され、キスをしたいとねだられた。

こいつなら構わないと思って俺からした。

噂になっても事実だからどうでもよかった。

時折、こうやってキスをして遊んだ。

以前より筋肉が細くなって抱きしめやすくなっていた。

ベッドに座って壁を背もたれに、イルザンを膝に乗せている。

キスをし、服の上から尻を掴んで遊んだ。

「あ、ん、んん。」

部屋にキスと吐息だけ聞こえる。

竿を触れば固くなっていた。

片手でぐにぐにと揉むと喘ぎが大きくなる。

「うるさい。外に聞こえる。」

「あ、あ。わかったよ。あ、はぁ、」

肩に頭を預けて声を堪えている。

「キスしろ。」

「ん、あ、」

隙間に入る舌を咥えて音をたてて吸った。

じゅ、じゅ、と。

目がとろけて舌を俺にこりこりと噛まれたまま涎を垂らしている。

ひくん、ひくんと全身が揺れる。

握った竿に上から両手をかけてこすっていた。

久々に楽しいと思った。

「むふたは、ふいでいい?」

「あ?」

分からなくて舌を離して、もう一度聞いた。

「…脱いで良い?ズボンが、苦しい。」

「ああ。」

ボタンを緩めるのを手伝ってやった。

初めてのことに驚いていたが、俺の手に自分の手を乗せて撫でてきた。

いつもは粘っこいキスしかしない。

今日は気が向いた。

「舐めていい?」

「ああ。」

どこを、と思ったがキスのことだと考えて了承した。

膝から後ろにずれて座り直し、俺のズボンを緩めて顔を近づけてきた。

「そっちか。」

「あ、む。うん、ここだ、よ。」

咥えたまましゃべるからひく、と体が揺れた。

必死で舐めるのが可愛くて頭を撫でた。

耳を触って首筋を撫でる。

イルザンは口で咥えて玉を揉んでいた。

片手は自分のを慰めてる。

体を前に倒してイルザンのシャツをたくして、胸を弄った。

「んっ、んんっ」

こねたり引っ張ったり。

乳首が小さい。

一瞬ないのかと戸惑った。

胸板をしつこく撫でて黒子かと思ったのがたぶん乳首。

控えめに膨らんだ小さな突起を捕まえた。

喘ぎが大きくなって反応はいい。

「いつまで舐めるんだ?」

「ん、んぶ。…んはぁ。き、気がすむまで。次いつその気になるかわからない。…んれぇ、…れろ、ん、」

舌を大きく絡まれて体に力が入る。

「ああ、そうだな。」

その気になるまで時間がかかる。

今日はなんとなくだった。

髪の毛に指を絡ませてほぐす。

地肌をなぞって首と後頭部の付け根を触った。

首の後ろより耳の下の方が弱い。

親指の短い爪でカリカリと引っ掻くと体が時折硬直する。

自分が気持ちよくなるのも好きだが可愛がる方が好きだ。

気に入らないとやる気にならない。

「ひ、ふうん、…ぐすっ」

痛くしたつもりはない。

イルザンの泣き声に不思議になった。

「どうした?」

前髪を後ろにかけてやる。

座っていた体勢をごろっとベッドで横になり、腕と肩を軽く引っ張って隣へ寝転ばせた。

「嫌になったか?」

イルザンは女好きだ。

唐突に男相手が嫌になったかと思った。

「ふっ、く。ぐす。違うよ。嬉しいんだ。」

俺の胸に頭を寄せてしばらく泣いていた。

嫌ではない。

可愛いと思えてそのまま黙って抱き締めた。

お互いにすっきりしてないが満足はした。

イルザンは二人っきりの時だけこうやって甘えてくるようになった。

嫌じゃない。

だいたいは抱き締めてキスをした。

外では昔通り。

「お前ら、出来てるのか?」
 
興味本意でわざわざ聞きに来る奴がいる。

「だったらなんだ?関係あるのか?」

「仲間入りしたいのかな?」

二人でからかうように言えば、喜ぶ奴もいれば慌てて逃げる奴も。

「ばーか。あはは。」

イルザンの言葉につられて笑った。

尻をお互いに使わないので、どうにも出したい時は適当に花街へも行く。

お互いに別の相手を買う。

ケツを使うのは負担がでかい。

兵士だ。

尻が痛くてやられたら洒落にならん。

それに、身元の明るい俺達が店に出入りした方が安心する店も多い。

たまに買うとは言え、普段の俺が行くのは夕暮れの明るい時間帯。

その上、大所帯だ。

「来てくれて助かるわ。」

「そうか。」

「最近、荒っぽい客が増えて困ってたの。女の子に怪我させられて商売上がったり。」

『ムスタファ!来てくれたのね!』

『久しぶりだ。最近はどうだ?』

『嫌な客が増えた。こわい。』

奥から娘らがわらわら出てくる。

俺が馴染みにしてるのは言葉の通じない娘が多い。

年の離れた妹くらいの娘達に囲まれた。

出身がバラバラで娘同士も言葉が交わせないものがいる。

治療と通訳を兼ねてあっちこっちと出入りしてる。

「はあー、言葉がわからんが可愛い子が多いなぁ。」

連れの一人が娘を気に入ったようだ。

『顔は悪いが良い奴だ。愛想よくしとけ。』

頷いて笑う。

「は、じめ、めして。たのしんでくらさい。」

「いら、たいませ。」

『練習したな。よく言えた。』

それぞれの拙い言葉を誉める。

女将も笑顔で見ていた。

イルザン達に安くて異国の若い娘らを紹介した。

「良くしてやってくれ。戦禍に巻き込めれてここしか拠り所がない子が多い。」

離れた国の戦争だったが、行く宛のない女子供がこちらの国へ奴隷として流れてきている。

任期が明けるまでこの子らの身分はない。

育った国は違うが、同じ血筋。

同郷の者として気がかりだった。

「かわいいって何て言うんだ?」

連れが気に入ったようだ。

『かわいい。』

『かはいい。かはひ。』

『え?何を言いたいの?』

困る娘の顔を見て笑った。

「がんばれ。」

「難しいなぁ。でも覚えたい。」

そうやっていくつかの店を転々と回った。

後日、こいつらにメモを渡した。

適当な日常会話。

娘達にも。

店のマスターや女将に絵のついた木板を勧めた。

酒や飯の絵だ。

会話が楽になるだろう。

「ありがとうよ。助かるわ。」

それぞれに感謝された。

字を読めない兵士らにはまとめて口説き文句の練習に付き合った。

女を介して言葉を使えるものが増えて普段の勤務にも役立ってるようだった。

隊長はほくほくしていた。

隊員の識字率や語学力があがったそうだ。

渋面だった副隊長も、女を使って下品だと文句を言いながらも結果を認めた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

年越しチン玉蕎麦!!

ミクリ21
BL
チン玉……もちろん、ナニのことです。

フルチン魔王と雄っぱい勇者

ミクリ21
BL
フルチンの魔王と、雄っぱいが素晴らしい勇者の話。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

処理中です...