うちの妻はかわいい~ノンケのガチムチ褐色が食われる話~

うめまつ

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第一章※本編

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どうやら俺はモテる。

犬と罵るくせに、まわりにはコバエが多い。

うんざりした。

ケツを握っていく上司もごめんだ。

「遠慮します。」

「残念だ。」

断れば笑って許す奴等はまだましだ。

強引に迫ってくる上司も少なからずいる。

掘られるのは嫌だった。

「勃ちませんので。」

「お前は勃たなくてもいい。」

死んでも嫌だ。

知り合いの軍医達になんとか取りなしてもらって諦めてもらった。

ケツを守ってくれなんて他人に頼む日が来るとは思わなかった。

くそが。

身長もまた伸びて死ぬほど体を鍛えた。

吐くほど食べた。

体を大きくしたかった。

もっと大きくすればこんな目に遭わないと信じたからだ。

体格は良くなり、犬と面と向かって言う奴等は大人しくなった。

「抱いて!」

だが、今度は新入りに追いかけられた。

そっちも趣味じゃない。

やめろ。

部屋に勝手に入ってくるな。

裸で待つな。

「…頭が痛い。」

「大丈夫か?また何かあったか?」

庶民出身の兵士とは親しくなった。

その身分でこの隊に入ったのはかなり優秀だから。

性格もいい。

名はイルザン。

少し俺より小さい。

隊の中でも小柄な方。

女好きだから気楽だ。

「部屋に戻れない。」

最近、ちゃんとベッドで寝てない。

適当なところに潜り込んで寝ていた。

昔、野宿が当たり前だったが、こんなに続いたのは初めてだ。

さすがに体がキツい。

「ああ、またか。お気の毒。」

眉を下げて困った顔を見せた。

「男は嫌だ。」

「また花街に行くか?」

「行く。」

女遊びをすれば多少は男に構われることが減る。

「恋人を作れば?男よけに。」

「めんどうだ。」

「ははっ、確かに。」

夜に出掛ける約束をした。

俺の分の外出申請をついでにしてくれる。

他の奴等も来ることになった。

「お前がいると女の反応がいいから助かるわー。」

「お目当てをかっさわれることもあるけどな。おこぼれおこぼれ。」

「ムスタファが行くなら俺も。」

下級貴族の令息まで混ざって大所帯になる。

10人ほどで花街へ。

「イルザン、宣伝でもしたのか?」

「一人二人には話したよ。そしたらあっという間に。選考もれもいるぞ。お前がいるとマジで女捕まえるの楽なんだよね。」

「色が嫌いなくせにな。」

2年経つがいまだに犬と呼ばれる。

体が今くらいに育つまでメス犬だった。

「そうでもないよ。市民には多い。そんな気にするほどのことはないさ。」

「うちにも下働きにいるぜ。」

「俺の弟は嫁にしたぞ。今時、色なんて。」

「頭の固いバカって言ってるようなもんだぜ。あはは。」

「他国との協定もあるからなぁ。お前の色の国があるだろう。」

それぞれが好きに話しているのを黙って聞いた。

花街で食事をして一人二人と女を捕まえて俺とイルザンが残った。

「まだ決めないのか?タダでいいって言ってた女もいるじゃん?」

「ああ。お前は?」

「金が足りねぇ。食い過ぎた。」

「ふ、ふ。そうか。」

帰ろうかと思い、寮の方へ歩く。

「帰るのか?」

「ああ。気分が乗らない。」

「贅沢なやつ。」

病気が怖いからな。

少しでも気になったら無理だ。

領地で治療した頃を思い出した。

ふたりで歩く。

男娼にも声をかけられたが、無視して歩く。

「ムスタファ、お前は男に興味ないのか?」

「ない。」

男を食ったとなると、あいつらがうるさくなる。

「俺、ある。」

「あ?」

「ちょっとやってみないか?」

「嫌だ。」

「気持ちいいらしいぜ?」

「掘られるのは嫌だ。」

「あー、俺も。お互いに掘らないなら良くね?」

「そうだな。」

「じゃあ、キスだけさせてくれよ。」

立ち止まって顔を見た。

「その気になった?」

「いや、どういう顔をしてるか見たかっただけだ。」

「1回だけ。」

「金貸すから女を買え。」

「えー、なんだよ。それ。」

舌打ちして手を出したので、懐の金を適当に掴んで手のひらに乗せた。

金を掴まず手首を捕まれ引っ張られた。

「ん、む、」

一歩、前に体勢を崩して襟首を捕まれる。

ちゅぱ、と唇を舐められ吸い付かれた。

殴ろうかと思ったが、まあいいかと好きにさせた。

目が合うと思ったより怯えた顔をしていたから。

だが、ここは往来で人目が嫌になり、イルザンの髪を掴んで引き離した。

「やめろ。」

「…抵抗しなかったな、ムスタファ。」

「そうだな。」

「少しは好きか?」

「…別に。」

仲はいいだけだ。

「犬に構うな。」

「犬じゃないよ。」

さっき手渡しそびれた金を拾って俺に返してきた。

「女を買え。」

「いらない。飲みいこうよ。」

酒は飲みたい気分だった。

適当な安い店に入って二人で飲んだ。

「またさせてくれよ。」

「嫌だ。」

何がとは聞かない。

「気持ちよかったのに。」

「遠慮する。」

「お前、一瞬だけ優しい目した。」

「知らん。」

怯えて可哀想だとは思った。

それだけだ。

「今日の寝床はどうする?」

「適当にする。」

「俺の部屋に泊まりにくればいいよ。部屋で寝れないんだろ?」

じろっと睨むと手をあげて引いた。

「これは善意だよ。下心じゃない。」

「信用ならん。」

発情期の奴と同室はごめんだ。

「夜勤の時だけ使えば?俺はいないからさ。」

その提案には頷いて答えた。

いないなら借りよう。

夜、俺の部屋には交代で人が来る。

起きたら咥えられてて驚いた。

庶民もその手のやつが多いが、貴族も多い。

身分をかさに掘れだの掘らせろだの。

鍵がついてるのに、寮長のマスターキーを盗んだり賄賂をやって持ち出したり。

冗談じゃない。

疲れた時はお嬢様の手紙を見て過ごす方が穏やかになれる。



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