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38*カナン

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ダグの反応が良くなったことも。

腹が立つのに喜ばしいのは否めない。

「あ、はぁ、ああ、あぁっ」

キスひとつで目をトロッとさせて涙をにじませて喜んでいた。

光りを吸ってキラキラ輝く。

好んでするようになったことは予想外だった。

ぼろぼろとこぼす涙が頬や鼻筋を濡らす。

この表情に文句はない。

こうまでダグを変えたアリオンを処分したいと思うが、あの恨みの混じった瞳を思い出すと臆してしまう。

それにまた以前の頑なさに戻るかもしれないと躊躇していた。

閨の最中の甘える仕草も増えて可愛いげが増したことに喜びと悋気が複雑に絡む。

ダグとアリオンの扱いに考えあぐねた。

いつものガゼボで裸に剥いた四肢をテーブルに縫い付けて固いすぼまりに身を刺す。

痛みに最初は苦しむが、オイルを足してしばらくこねればすぐに喜びを見せるようになった。

ダグは私との閨を率先して楽しむようになったし、悋気が起きるが満足も大きい。

それに悋気以外にあれを処分するための理由も大義名分もない。

そうなれば手だてもない。

しばらくアリオンの件は目をつぶるかといら立ちながらそう考えていた。

「あ、これは申し訳ありません」

唐突に聞こえたアリオンの声に目を見開いた。

「団長にカナン様を呼びに行けと言われたもので」

アリオンは中庭のガゼボで私達の交合を見かけたのに軽く笑みを浮かべて余裕を見せる。

こちらは一瞬ぎくりとしたのに。

「あれ?アリィ?ん、ああ、はぁ、んっ、ふぅ、」

ダグは甘えた声を出したまま現れたアリオンへ微笑みを向けた。

「ダグ、持ち場にいないと思ったら可愛がられていたのか」

「あ、ふぁ、うん、カナン様にぃ、あ」

アリオンの微笑みを見た途端、きつく絞まり何も言えなくなった。

堪えるのに集中して前屈みに項垂れて怒ることも忘れた。

「ふふ、具合が良さそうだな、ダグは」

「ん、きもちぃーよぉ、んっ、ん、きゅうきゅうするぅ」

ダグもアリオンも気にしていなかった。

意味が分からない。

二人が愛し合うのなら私の存在を疎ましくなるはずなのに気にした風がない。

「カナン様、失礼します」

そう一言言って近づくと仰向けに貫いていたダグの胸を弄って昂らせ、手を出したことに叱ろうにも、ぎゅうぎゅうと締まりうねるそこに深く突っ伏してしまい、アリオンに退けと言いそびれた。

「カナン様、ダグの肉の具合はようございますか?」

「くっ、アリ、オン、……お、前っ」

睨むのに継ぎはぎの男振りを上げた顔を微笑ませて余裕綽々、私は悔しいが、ダグの激しい喘ぎとガクガクと痙攣する腰に言葉が出ない。

「あっ、ああっ、あああっ、ケツまんこも、おっぱいも、いいっ、気持ちいいぃっカ、カナン様。お、お願いですっ、まんこにちんちんずこずこしてくださいぃ。きゃあんっ!」

初めてそんな下品な物言いを。

どっと咄嗟に強く貫くと叫び激しく吐精しながら聞いたことのない喜びの混じった甲高い悲鳴をあげた。

「カナン様、うああっ、イクぅぅ!カナン様のちんこっちんこぉっ、好き!好きぃ」

続けて抜き差しをすれば私の名を呼びながら今までにない醜態を晒してあっという間に果てた。

「……ふっ、くっ」

いつもより早く私も。

搾り取られたと言っていい。

ダグは気をやって失神してる。

こいつが肉欲をねだって乱れて、しかも快楽だけでこんな姿を晒すのは初めてだ。

その原因はこいつかと腹が立つ。

息を乱しながら目の前で憎たらしく微笑む継ぎはぎの男を睨んだ。

「ダグが悩んでいました。どうするばカナン様のご期待に添えられるか、満足させられるか。奴隷の身で微力ながらお手伝いをいたしましたが、お気に召しましたでしょうか?」

堂々と手を出していると宣言するこいつの図太さ。

馬鹿にしてる。

そう感じてカッとなった。

整った身だしなみで腰に剣をかけていたら首をはねていた。

隠しようもないほどめらめらと滾る憎悪に包まれているのに、そんな私を見てアリオンが頬を緩める。

「お気に召しませんか?ならまた主人と閨の研究せねばなりませんね」

強気なせせら笑いにどうしてやろうか。

「ふてぶてしい。この羽虫が。首をはねさせるぞ」

「なぜ?次は何の咎で?」

ぼそっと脅しに呟けばアリオンは半笑いに肩をすくめた。

「たかが奴隷が主人の性欲処理をしているだけですよ。合法的に。そして主人の望み通り後孔は不可侵です」

失礼します、と手拭いを懐から出して目の前に膝まづいて私の始末をしようとするので手を叩いた。

「ダグにさせる」

「……無理でしょう」

ちらっとダグへ視線を向けて苦笑い。

「私は主人の奴隷です。それで堪えていただきたいのですが」

変わらず笑みを乗せたまま上目遣いにこちらの機嫌を取る。

「もとは高い身分な上に私からの拷問を受けたお前を信用しろと?しかもこいつに集る虫だと言うのに」

いつまでもこの男の前で無防備でいたくない。

自分のハンカチで拭って身支度を整えた。

「ふふ、私は弁えていますので」

「触るなっ!」

ダグの始末に手拭いを当てるアリオンを怒鳴り付けた。

「ではこのまま飾っておきますか?私はあなた様の迎えに来たので団長のもとへお連れせねばなりません。無防備な主人を残してどうなるか不安なのですが」

困ったと眉を下げる男にいら立つ。

手拭いを取り上げてダグの腹と太ももを拭ってやる。

こんなことをしたのは初めてだ。


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