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33*カナン
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そう思えたのも長続きしなかった。
気高いより、やはりこいつは図太い。
増えた交わりの多さにさっさと慣れた。
また涙のひとつも見せずにしれっと。
泣かせるためにまた必死になり単純に手荒な扱いが増える。
「自分、そう簡単に泣けませんよ」
「……そうか」
諦めてほしくて言ったのだろうが私としては挑戦として受けてたつ気になった。
道具を使ってみたり人前で醜態を晒させてみたりしつこく吐精させたり。
もともと外でするのは好きだった。
日差しに照らされて黒い輝きの艶が濃くなるから。
白い肌も、形のいい顔や肢体を存分に楽しめる。
私が泣かそうと躍起になればなるほど手荒になり、疲れて失神する事が増えるばかりで逆に泣く回数は減った。
そうなればまた三人からの叱責が増えた。
「殺す気ですか」
青筋をたてた団長とトロンソ。
心労でやつれた家令の号泣。
これが三人の口癖だ。
「代わりを用立てます」
納得したくないが、数えられないほど失神させて今も寝込ませたばかりなので諦めた。
また男娼の出入りする生活に逆戻りしてしまった。
男娼が来たらすぐ小遣いに金を渡すとダグはいつものように淡々と受け取った。
「あの、カナン様」
その日は珍しくダグから問いかけがあった。
黙って顔を見れば神妙な顔つきで謝る。
「こういうのを手切れ金というんですよね」
「…………は?」
何を言い出したと顔が崩れた。
「ここに来ていた新しい人達から色々と教えてもらいました。最後にお金を貰ったらちゃんと挨拶するもんだって。今まで黙って貰うばかりで申し訳ありません。カナン様、お世話になりました。後任の方と末永く仲良くされてください」
ぺこっと頭を下げてこちらが呆気に取られているうちに部屋を出ていった。
側にいた護衛の団長もぽかんと口を開けている。
「……ダグ?……あ?……おい、」
ぽつりと団長から呟きが漏れる。
団長もあれが本気で答えたと分かっているが信じられずに茫然としている。
「……あれはアホか?」
いつも素直でいい子だと言い張る団長もさすがに否定出来ずにいた。
私の執着が分かっていないと思っていたがここまでひどいとは思わなかった。
誰がいつ手切れ金だと言った。
非力なお前のために他の男で堪えているというのに、あのアホ。
「……もうよい」
手荒だったとは言え5年も囲って一番手間暇かけたのにここまでコケにするか。
椅子を蹴飛ばす勢いで立ち上がって執務室を飛び出した。
「ダグ!待て!」
「カナン様!ダグに何を!」
「邪魔をするな!あれを抱き潰して死ぬほど分からせてやる!あのアホ!」
背後から追いかける団長にそう怒鳴り付けた。
堪えて他を抱くのが馬鹿らしくなった。
なぜここまでしてやってるのにと腹立ちしかない。
ダグに追い付く前に通路の途中で団長に背中から羽交い締めにされた。
「死にますから!ダグが死にますから!あいつは非力なんですよ!寝床から起き上がったばっかりでまだ子供並みの体力なんですから!」
「離せ!あのアホに分からせてやる!」
「無理ですってば!だいたいあなたが悪いんでしょうが?!」
「はぁ?!」
「ケツ掘るばっかで放ったらかして!あいつはまだガキなんですから!もっとちゃんと言わなきゃ分かんないんですよ!」
「何を言えと言うんだ?!この私が!」
「愛してるでも好きでも何でもいいでしょうがぁぁぁぁ!」
「貴族の私があれに言って何になる?!」
「死ぬまで手放す気ないならそんくらい言えよぉぉ!」
「やかましいわぁぁ!誰があのアホに言うかぁ!」
「だぁぁ!めんどくせぇぇ!この色ボケ伯爵がぁ!」
団長との掴み合いの殴り合いに使用人達が集まり、他の警護の団員達に団長と二人で取り押さえられた。
その頃のダグはもう先に私兵団の住み込み部屋に戻って騒ぎを知らずにいたと聞いて腹が立った。
あれから5年も経つが拗れて説明はしていない。
絶対言うものかとこちらも維持になっている。
相変わらず手切れ金と思って受け取り、新しい方とお幸せにと告げていつも部屋を出ていく。
このアホ。
呼ぶタイミングは必ずお前が死にかけた時だと言うのにいまだ気づいていない。
それ以外は察しが良くて賢いのに。
どうにもアホだ。
しかも気が向いたので金以外に何か欲しいかと尋ねたら退団許可が欲しいと言う。
誰がそんなものやるか。
尻を叩いて折檻したあと団長に理由を聞いてみたら、全く育たない体格で悩んでいると言う。
なら今からでも使用人として屋敷で仕付けると話を出したら、よその屋敷ならまだしも私のいる本邸なら無駄に寝込ませるからだめだと団長に止められた。
その話し合いもダグに折檻しすぎて寝込ませたから団長が駆けつけていた。
否定出来ないのでその案は引っ込めた。
気高いより、やはりこいつは図太い。
増えた交わりの多さにさっさと慣れた。
また涙のひとつも見せずにしれっと。
泣かせるためにまた必死になり単純に手荒な扱いが増える。
「自分、そう簡単に泣けませんよ」
「……そうか」
諦めてほしくて言ったのだろうが私としては挑戦として受けてたつ気になった。
道具を使ってみたり人前で醜態を晒させてみたりしつこく吐精させたり。
もともと外でするのは好きだった。
日差しに照らされて黒い輝きの艶が濃くなるから。
白い肌も、形のいい顔や肢体を存分に楽しめる。
私が泣かそうと躍起になればなるほど手荒になり、疲れて失神する事が増えるばかりで逆に泣く回数は減った。
そうなればまた三人からの叱責が増えた。
「殺す気ですか」
青筋をたてた団長とトロンソ。
心労でやつれた家令の号泣。
これが三人の口癖だ。
「代わりを用立てます」
納得したくないが、数えられないほど失神させて今も寝込ませたばかりなので諦めた。
また男娼の出入りする生活に逆戻りしてしまった。
男娼が来たらすぐ小遣いに金を渡すとダグはいつものように淡々と受け取った。
「あの、カナン様」
その日は珍しくダグから問いかけがあった。
黙って顔を見れば神妙な顔つきで謝る。
「こういうのを手切れ金というんですよね」
「…………は?」
何を言い出したと顔が崩れた。
「ここに来ていた新しい人達から色々と教えてもらいました。最後にお金を貰ったらちゃんと挨拶するもんだって。今まで黙って貰うばかりで申し訳ありません。カナン様、お世話になりました。後任の方と末永く仲良くされてください」
ぺこっと頭を下げてこちらが呆気に取られているうちに部屋を出ていった。
側にいた護衛の団長もぽかんと口を開けている。
「……ダグ?……あ?……おい、」
ぽつりと団長から呟きが漏れる。
団長もあれが本気で答えたと分かっているが信じられずに茫然としている。
「……あれはアホか?」
いつも素直でいい子だと言い張る団長もさすがに否定出来ずにいた。
私の執着が分かっていないと思っていたがここまでひどいとは思わなかった。
誰がいつ手切れ金だと言った。
非力なお前のために他の男で堪えているというのに、あのアホ。
「……もうよい」
手荒だったとは言え5年も囲って一番手間暇かけたのにここまでコケにするか。
椅子を蹴飛ばす勢いで立ち上がって執務室を飛び出した。
「ダグ!待て!」
「カナン様!ダグに何を!」
「邪魔をするな!あれを抱き潰して死ぬほど分からせてやる!あのアホ!」
背後から追いかける団長にそう怒鳴り付けた。
堪えて他を抱くのが馬鹿らしくなった。
なぜここまでしてやってるのにと腹立ちしかない。
ダグに追い付く前に通路の途中で団長に背中から羽交い締めにされた。
「死にますから!ダグが死にますから!あいつは非力なんですよ!寝床から起き上がったばっかりでまだ子供並みの体力なんですから!」
「離せ!あのアホに分からせてやる!」
「無理ですってば!だいたいあなたが悪いんでしょうが?!」
「はぁ?!」
「ケツ掘るばっかで放ったらかして!あいつはまだガキなんですから!もっとちゃんと言わなきゃ分かんないんですよ!」
「何を言えと言うんだ?!この私が!」
「愛してるでも好きでも何でもいいでしょうがぁぁぁぁ!」
「貴族の私があれに言って何になる?!」
「死ぬまで手放す気ないならそんくらい言えよぉぉ!」
「やかましいわぁぁ!誰があのアホに言うかぁ!」
「だぁぁ!めんどくせぇぇ!この色ボケ伯爵がぁ!」
団長との掴み合いの殴り合いに使用人達が集まり、他の警護の団員達に団長と二人で取り押さえられた。
その頃のダグはもう先に私兵団の住み込み部屋に戻って騒ぎを知らずにいたと聞いて腹が立った。
あれから5年も経つが拗れて説明はしていない。
絶対言うものかとこちらも維持になっている。
相変わらず手切れ金と思って受け取り、新しい方とお幸せにと告げていつも部屋を出ていく。
このアホ。
呼ぶタイミングは必ずお前が死にかけた時だと言うのにいまだ気づいていない。
それ以外は察しが良くて賢いのに。
どうにもアホだ。
しかも気が向いたので金以外に何か欲しいかと尋ねたら退団許可が欲しいと言う。
誰がそんなものやるか。
尻を叩いて折檻したあと団長に理由を聞いてみたら、全く育たない体格で悩んでいると言う。
なら今からでも使用人として屋敷で仕付けると話を出したら、よその屋敷ならまだしも私のいる本邸なら無駄に寝込ませるからだめだと団長に止められた。
その話し合いもダグに折檻しすぎて寝込ませたから団長が駆けつけていた。
否定出来ないのでその案は引っ込めた。
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